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みおこんぼ
「悪趣味」②
Yさんは「よく気づいたね。」と、軽くTシャツを撫で、「これは僕のデザインなんだ。Tシャツプリントを安くしてくれるところがあってね、まあ、趣味なんだよね。」と、微笑みます。
「オリジナルなんですね!」驚いて、改めて今日のYさんのTシャツに目を落としました。若い女性が、静かに微笑んでいます。
(あれ、私…この女性、見たことある、気がする……。)なんとなく、嫌な感じがしました。
(誰だっけ、最近見たような気がする……。)思い出してはいけないような、そんな気がしました。でも、目が離せません。
「これ、誰か、わかる?」Yさんが近寄り、真顔で私の顔を覗き込みます。正確には、口元は笑っていますが、目が全く笑っていません。冷たく、射るような目。一気に鳥肌が立ちました。
「あ……わかりません。」なんとか声を絞り出し、その場を離れた私には、もう、わかっていました。
(なんで……なんのために?)混乱する私の耳には、蝉の鳴き声。
(まさか、今までのやつ、全部?)
そう、そのTシャツで微笑んでいたのは、ここ連日テレビで目にしていた、殺人事件の被害者でした。
他の部員は、気付いていたのでしょうか。
その日以来、私はYさんを見ないようにして過ごし、1度も話すことはありませんでした。もちろんYさんのことを他の部員と話すこともありません。心底気味が悪かったのです。
ただ、素晴らしいティンパニの音色と、あの夏の日の事が、忘れられずにいます。
これは私の実話です。
#私の実話シリーズ
#GRAVITY百物語
#人怖な話も結構あるんです
#怖い話

コメント
関連検索ワード
ケンイチ君
実話?怖っ!けどこうゆう話は好き💀
モーゼの10階
なるほどー 変わった趣味の人がいるものね… 未解決事件のだったら1人くらいやってたりしてね。
フラペチーノ
変な人ですね[目が回る]
ぐっさん😺
怖ぁ〜[びっくり]わざわざ作ってるトコロも サイコパス感ありますね[泣き笑い]
ショウ
わざわざ殺人事件の被害者の顔をプリントしたTシャツを着るってかなりサイコパスな人ですね、それに気付いて話し掛けて来る人に対して共感を求めるのか?ただのイタズラ心なのか?どちらにせよYさんの感覚はちょっと異常ですね。