「世界は五反田から始まった」星野博美著 読了。 大佛次郎賞を受賞した作品です。著者の祖父が残した手記をもとに、戦中戦後の歴史を背景に五反田を中心とした1.5KMの世界に住む市井の人々の生活を描きます。五反田、戸越、大崎、白金、高輪など土地勘のある地名が出てきてぐいぐい読み進めることが出来ました。皇室、共産党、満州事変と五反田界隈の意外なつながりや、ソニー、藤倉、荏原、チッソなどの企業との関連も興味深かったです。一人の人間の語り(手記)を分析する手法も参考になりました。一部企業史の中で事実誤認と思われる箇所がありましたが、面白さには変わりありませんでした。