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こんばんは。
承認ありがとうこざいます。
読書記録です。

埴輪は語る
若狭徹 著
ちくま新書

『日本書紀』には、殉死の風習を嘆いた乗仁天皇が、野見宿禰の意見を取り入れて出雲の土部(はじべ)に埴輪を作らせて古墳に置き、人の死に替わらせたする伝説が載っています。
しかしながら本書のp98の解説によると、考古学的には人物埴輪の登場が埴輪の中で最も遅いため、この説は否定的に捉えられており、ホッとしました。
この伝説は、古墳づくりや倭王の喪葬に関わった土師氏の祖先伝承として後付けされたものと考えられているそうです。

埴輪は、古墳の一画に据え置かれた展示物でした。
なかでも人物埴輪は、群像として配置されており、何らかのストーリーが込められていたと考えられます。
それを筆者は、古墳の主である「王」の治世のようすを、「絵巻物のように」ビジュアル化したものだとする説を唱えています。
第1章や第3章で、保渡田八幡塚古墳の埴輪を例に、人物埴輪は、王の祭祀、王の狩猟、王の武威、王の経済力を示したものであると考察されています。
著者は、古墳時代の王は、司祭者であり、武人であり、経済人であったので、王の多様な権能を表すために、様々な群像を配置したと解釈されています。

自然環境の変動は「神の仕業」と信じられていた古代において、地域の王は、民のために神を祀って環境を安定させ、悪神が里に災いをもたらさないように務める使命を帯びていました。
また、農地の実りを保証し、遠来の物資を確保し、最新技術を移入して地域を富ませなければならない宿命を負っていました。
埴輪群像は、この世を去った被葬者のそうした生前の事績を示し、それをみる共同体の人々に認知させるための仕掛けだったというのが、著者の結論となっています。
#読書
#読書感想文
#歴史
#古墳時代
#埴輪
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こんばんは。
読書記録です。

埴輪
古代の証言者たち
若狭徹 著
角川ソフィア文庫

文庫判ながらカラー図版が160点も掲載されており、様々な種類の埴輪の写真が楽しめます。
埴輪の笑いは「喜び」ではなく、魔を退ける「あざ笑い」と考えられているそうです。
ゆるキャラ的な笑いではなかったんですね。
埴輪といえばp176、177、178に載っている武装男子ですが、ただの兵士ではなく、王権から賜与された甲冑をまとった首長の姿だそうです。
p27、28では埴輪のルーツは、呪的な祭器であった特殊器台であることが解説されており、勉強になります。
ミロのヴィーナスや秦の始皇帝陵の兵馬俑などと比べると埴輪の造形はずいぶんと緩いですが、納期に間に合うことを優先したのか、緩い造形が古墳時代の精神性ということなのか。
古墳時代についてもっと知りたくなりました。
#読書
#読書感想文
#古代
#埴輪
#古墳
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こんばんは。
読書記録です。

人類5000年史Ⅵ
1901~2050年
出口治明 著
ちくま新書

新しい知見が広がる内容でとても勉強になりました。

半藤一利の研究によると、明治政府は日英同盟という後ろ盾を得た段階で対露戦争を計画していたそうです。
司馬史観に反して日露戦争は中国大陸へ向けての侵略戦争という面が大きかったそうです。
ただ日露戦争は日本の国力を限界まで使い果たした戦争で、セオドア・ルーズベルトの斡旋によってポーツマス条約を結ぶことができました。
ただ戦争をするために煽られた世論は国力がギリギリであることの内情は知らされていなかったため、賠償金をとれなかったことに暴発して日比谷焼き打ち事件を起こし、怒りの矛先は米国にも向けられました。
これが米国を日本脅威論へ傾けさせる伏線となりました。

1910年には、天皇を狙ったという政府のでっち上げによって幸徳秋水をはじめとする社会主義者が検挙されて処刑されました。
山縣有朋、桂太郎、平沼騏一郎による策略で、明治体制の本質とは何かということを象徴しています。

1915年には日本政府は、第一次大戦の火事場泥棒さながらに対華二十一ヶ条の要求を突きつけました。
米国や大英帝国が日本を警戒するようになったターニングポイントとなりました。

1922年のワシントン海軍軍縮条約で主力艦の保有比率を英米5:日本3になったことについて、日本は反発しました。
しかし、米国の経済規模は日本の5倍を上回っているため、5:3という比率はむしろ米国の軍備増強に歯止めをかけるものでした。
また米国は大西洋と太平洋の二正面作戦をしなければならず、太平洋のみの日本の方が有利でした。
このあたりから日本の無分別さ、分不相応な振る舞いが目立つようになります。
1930年のロンドン海軍軍縮条約は日本にとって有利な比率でしたが、政友会が軍部と結託して統帥権干犯問題をでっち上げのが、日本が亡国への道を歩むターニングポイントとなりました。
1932年の満州国建国によって、米国は決定的に日本と敵対するようになってしまいました。

1938年の12月に日本軍は重慶に対する無差別爆撃をおこないますが、これが世界で初めての、継続的な大都市に対する無差別爆撃でした。

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#読書感想文
#歴史
#20世紀
#戦争

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こんばんは。
読書記録です。

頼山陽
-詩魂と史眼
揖斐高 著
岩波新書

頼山陽の伝記についてはとても興味深かったです。
若年期は躁うつ病や神経症的な傾向があったこと。
青年期は放蕩生活をしたり脱藩騒動を起こしたために、廃嫡されたこと。
問題児だったからこそ、大局的な観点から世界をみる器量があったのか、あるいは謹慎処分中に自由に物事を考える時間を得たからこそ、歴史の物語を紡ぐ知的活動が花開いたのか。
酒豪だったり、書籍を集めるより書画を収集することに熱心だったり、大人になってからも破天荒な傾向があったようです。
本書では頼山陽が吟じた漢詩を漢文読み下しの文語体で紹介されています。
難解ですが、歴史の人物や出来事の物語を紡ぐというのは、こういう事なんだなというのが、なんとなく分かったような気がします。
#読書
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#頼山陽
#歴史
#伝記
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こんにちは。

昼間はボーリングをしました🎳
2ゲームやりました。
1ゲーム目はスペアを2つとってスコア95でした。
2ゲーム目はストライク2つとスペアを1つとってスコア110でした。
ストライクがとれると嬉しいですね。

読書記録です。
女たちの平安後期
-紫式部から源平までの200年
榎村寛之 著
中公新書

百人一首には中盤から後半にかけて女流歌人が多数載っていて、摂関政治の時代の著名な女房である紫式部や清少納言から院政期の女院に仕えた待賢門院堀河、皇嘉門院別当、殷富門院大輔などがいます。
皇后・中宮・女御や女院のサロンがなぜここまで栄えることができたのか。
10世紀の伊勢斎宮・賀茂斎院を務めた女性たちのサロンは、神に仕える女性の宮殿という、世俗が立ち入りにくい空間でした。
そういうアジール的な伝統を受け継いでいることに加えて、女院には荘園領主としての経済基盤があるということが大きな要因であることが分かりました。
八条院というスーパーお姫様は、巨大な荘園領主で大富豪であり、女院という高い権威を持ちつつも、表の政治に対する関わり方は消極的だったからこそ、アジール扱いされてサロン文化の絶頂期を謳歌できたのかなと感じました。
#ボーリング
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#歴史
#平安時代
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こんばんは。
読書しました。

SF脳とリアル脳
どこまで可能か、なぜ不可能なのか
櫻井武 著
講談社ブルーバックス

主に神経科学を専門とする医学者である著者が、SF作品でお馴染みの設定についての実現可能性を考察した内容となっています。
第1章は人体のパーツを機械化する「サイボーグ」について
第2章では脳に電子デバイスを埋め込んで外部と情報をやりとりする「電脳化」はどこまで可能なのか
第3章では脳の機能を全て電子デバイスにして、「意識を移植する」ことははたして可能なのか
第4章では宇宙旅行や未来旅行を扱うSFでおなじみの「コールドスリープ」や「人工冬眠」について。その実現可能性は脳が鍵を握っていた。神経科学を第一線で研究している著者だからこその見識が述べられていて面白いです。
第5章ではSF作品では「記憶の書き換え」はしばしば使われるプロットだが、実現可能性についてはどうなのか述べられています。

後半部では第7章において、実はぼーっとしている時でも脳はフル稼働しており、「脳は10%しか使っていない」はウソであることについて解説しています。
第8章では、2023年に中国の国立生物学研究所において、マウスが眠ると溺れてしまうという環境をつくって、完全な断眠をさせたという実験について取り上げられています。睡眠をとらないとなぜ死んでしまうのかついて興味深い考察がなされています。

いわゆるSFにありがちなサイボーグだの電脳化だのは現時点では実現可能性は低いという見解になんとなくホッとしました。
#読書
#読書感想文
#SF
#近未来
#神経科学

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こんばんは。
読書記録です。

なぜヒトは心を病むようになったのか?
小松正 著
文春新書

第3章の人間はなぜ差別するのか、なぜ戦争を起こすのかについての論考はとても勉強になりました。

人間には自分が所属している集団の外のメンバーと内のメンバーを峻別して内のメンバーを贔屓にし、外のメンバーに対しては敵対的になるという習性が、遺伝子レベルで組み込まれているそうです。
この状況は「偏狭な利他主義」と呼ばれ、十数万年前の地球規模の寒冷化の時代に、食料などの資源の確保を巡るテリトリー防衛のための集団間対立が激化したときに、「偏狭な利他主義」で動く集団のほうが有利になるため、その集団が繁栄して現代に繋がっているという説があるようです。
味方に対する助け合いの心と敵に対する憎しみの心というのは、進化の観点に基づくと、実はコインのように表裏一体であると考えられているそうです。
ただ、誰が敵で誰が味方かというカテゴリー分けは可変的であって、例えば、国籍・民族・人種・宗教など、ある属性では自分と異なる集団に属する人であっても、仕事や趣味では自分と同じ集団に属するとみなせるケースがあります。
教育・情報アクセス・科学的および技術的生産性・法の支配などの向上によって、自由と平等を重んじる価値観が集団内に広まることは可能であり、集団のカテゴリー分け自体も変化させることは可能なので、人類の進歩に希望を持ち続けることが大切であるように思います。
#読書
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#人間
#心理学
#平和
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こんにちは。
読書しました。

天皇の歴史④
天皇と中世の武家
河内祥輔
新田一郎 著
講談社学術文庫

皇統の連続を司る役目を負っていた摂関家が保元の乱で壊滅したので、皇統の安定性の回復を司る主体が武家に移るきっかけとなったという説は興味深かったです。
平治の乱が後白河・二条の親子対決という説は他の著者の著作でも読んだことがありますが、承久の乱が、鎌倉方の文官が京攻めを主張したのは、後鳥羽の同母兄である守貞親王のほうが本来であれば皇統を継ぐ存在だと思っていたから、後鳥羽を攻めることに恐怖感がなかったという解釈は初めて読んだので新鮮でした。
後醍醐の悲願は自分の皇統の確立であって、最初から鎌倉幕府打倒ありきではなかったというのは目からウロコでした。
鎌倉幕府が両統迭立状態を解決していれば、突然の倒幕もなかったのかもしれませんね。
p278以降の伏見宮家の成立についての解説はとても興味深かったです。
崇光流は皇統を継ぐことを禁止されたかわりに、世襲親王家としての伏見宮家となり、王家の所領や持明院統累世の家記典籍を預かる家臣としての役割を与えられたそうです。
第四章では、戦国時代に入って、公家の文化が武士や民衆に広まったことで、京都や古典を鑑とする近代にまで伝わるいわゆる和風の文化世界がはじめて全国に広がったというのが、戦国時代の画期であることが述べられていて興味深いです。
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こんにちは。
読書記録です。

フランス革命の代償
ルネ・セディヨ著
山崎耕一 訳
草思社文庫

1789年から勃発したフランス革命というのは、神権にもとづく君主制から人民の同意に基礎を置く体制へ移行しようとする大いなる理想を掲げた大政変であるが、大変大きな犠牲を強いるものでありました。
本書ではあらゆる分野においてフランス革命が支払った代償を総決算しています。
特に興味深かったのは第三章の法制上の決算です。
アンシャン・レジームにおいて君主制は集権化を目指していたものの、実際には古い特許状や新しい条約によって、自由権や諸特権の網がもつれて入り組んでおり、中央権力は束縛され、各職業組合は独自の規約を持ち、都市はそれぞれに自由権を持っていました。度量衡の単位さえ、各地方でバラバラでした。
例えば、貧民が畑で落穂を拾ったり、モンタルジの非課税者が納税を拒んだりする自由がありました。
これが、近年では絶対主義体制ではなく社団国家体制と言い換えられているアンシャン・レジームの実態です。
ではフランス革命が掲げた「自由・平等・友愛」とはなにか。
狩猟権の平等というのはまさに象徴的な意味においても重大でした。
大革命が勃発してまもなくの頃にすべての市民に狩猟権が認められ、国中で狩猟権が濫用されました。
一方で、ブルターニュの自治権の自由や用益権と呼ばれる貧民が収穫後の落穂を拾う自由は奪いました。
労働者の社会保障については、中世以来続いていた同業者組合の相互救済慣行は廃止され、雇用主による私設の被用者援助制度とその法的枠組みが整えられるのは、大革命勃発から100年の時を待たなければなりませんでした。
フランス革命というのは大いなる理想を掲げながらも、国力の発展という面では大いなる犠牲をもたらしてしまったといえそうです。
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こんばんは。
読書記録です。

近代ヨーロッパの覇権
福井憲彦 著
講談社学術文庫

印象が一番残ったのはp288~291の19世紀におけるナショナリズムと排外主義ですね。
昨今のヨーロッパにおける極右の台頭について関連することですが、ナショナリズムの二面性、自民族の特徴や固有性を強調すること、外部に明確な敵性国家ないし敵国民を設定することはコインの裏表、表裏一体なのだと思います。
それはナショナリズムが内外の境界を明確に引くことにおいて成り立つものだからです。
歴史的な脈絡では19世紀の末になると、工業化が進行するなかで多極化しつつあった経済覇権をめぐる抗争、激化した植民地獲得競走や勢力圏争い、こうした状況において、国家の威信とか権威といった観点が重みを増してきました。
特に1880年代から90年代というのは世界の景況が芳しくない時期にあたり、国民国家における異分子、外国からの出稼ぎ労働者や移民、ユダヤ人などがスケープゴートにされました。
ネイションとして内部をまとめるためには、外部に敵を設定することが好都合だからです。
昨今の極右の台頭も19世紀的な国民国家体制に依然として固執していることを示しています。
地球規模の課題に対して、一国主義的な国益優先思考を打破できるかどうかが、希望ある未来へ進める分岐点となるのかもしれません。
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こんにちは。
読書しました。

武士の誕生
関幸彦 著
講談社学術文庫

東国に焦点を当てて、王臣家の末裔が武芸を生業とする軍事貴族として 、在地的武威と結合して、職能集団としての兵(つわもの)から、荘園などの領主としての武士に脱皮した履歴を描いた内容となっています。
平将門の乱、平忠常の乱、前九年の役、後三年の役を検討することで、兵が武士になった過程、
どのように在地の領主へ転身したのか、
どのように武士団が成立したのか、
それは所領・所職を媒介とした主従制の形成がカギだった。
東国における争乱の諸段階は、その主従制の進展に大きな役割を演じた。
武士というのは、一部の傍流貴族が変質したものであるということが明らかになったように思いました。
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