【読後感】本が好きなのに、紙がどこで作られているのかを、私は知りませんでした。この本を読んで改めて、私の本棚を眺める。たくさんの本が静かに納まっている。いろいろな表情と香り、大きさ、手触り、色。私は紙の本が好きだ。ますます本達が、愛しくなった。2011年3月11日。あの大震災で宮城県にある日本製紙石巻工場が被災。日本の紙の約半数を作っていた工場だった。新聞、雑誌、チラシ、書籍、教科書。コピー用紙、メモ帳、ノート。ハガキ、便箋、封筒、段ボール。ファイル、公文書、写真。紙は生活の至るところで私たちを支えている。その中でも石巻工場は本の紙を作り続けてきた。そこには熟練の職人や家族、姫と呼ばれるマシン。そして野球部があった。そしてそのどれもが被災。紙の需要が年々減っている昨今において、石巻工場を再建した日本製紙。その卓越した歴史に感銘を受ける。この本をぜひ読んで欲しい。あの日起こったことを忘れないで欲しい。そしてそこから立ち上がった人々を知って欲しい。生きる事が辛かった。生き残っても苦しかった。もうダメだと思った。それでも毎日、生きた。著者の佐々涼子さんも2024年に逝去され彼女のドキュメンタリー、ノンフィクションがもう読めないのかと感嘆している。サインの残らない仕事。それは尊く気高い。オススメです。#紙をつなげ彼らが本の紙を造っている