#GRAVITY日記 空想旅行日記vol5【碧き楽園の神秘 ―セレオンド海聖国―】藍色の大海原に浮かぶ宝石のような国、セレオンド海聖国。銀の円環と七つの星を冠した国旗が風になびく姿は、まるで海そのものが国の象徴となったかのようだ。この地に足を踏み入れれば、珊瑚石と貝殻を織り交ぜた青白い建築群が訪問者を出迎える。巨大な真珠で装飾された屋根は昼には太陽光を反射し、夜には海光石の幻想的な輝きで街全体が水中宮殿のような佇まいとなる。約420万の人口を擁するこの国では、通常の人間たちと共に、蒼白の肌を持ち海と交信できる深海エルフたちが暮らしている。また、液体のような体を持つ潮影族や、古の海獣の力を受け継ぐ海魔血統の一族も共存し、それぞれが独自の文化と技術をセレオンドの繁栄に寄与している。セレオンドの名産品は数多あれど、特に有名なのは海底の霊藻から作られる神海酒だ。一口含めば身体が軽くなり、まるで水中を漂うような感覚に包まれる。潮影族が作る波紋布は、実際の波のように絶えずゆらめき、その防水性と耐久性は他の追随を許さない。海魔血統の秘術で作られる竜涎香珠は、海風に溶け出し持ち主に航海の加護を与えるという。これらの品々は国外でも珍重され、セレオンドの交易を支える重要な資源となっている。海の中心に浮かぶ巨大な水晶柱「深淵の涙」は、満月の夜に海の声を囁くと言われ、多くの詩人や音楽家がインスピレーションを求めて訪れる。また、潮流が奇妙な円を描く「迷い潮の環」は、現実と幻想の狭間へと人を誘う神秘の海域として知られている。しかし今、この美しき海の楽園に暗雲が立ち込めている。「沈まぬ船」と呼ばれる呪われた幽霊船団が航路を塞ぎ始めたのだ。深海エルフの長老によれば、かつて滅びた海の帝国「ヴァラグレイア」の亡霊たちが復活し、セレオンドの海を「かつての故郷」として奪還しようとしているという。彼らは特に海魔血統の者たちに強い憎悪を抱いており、事態は深刻化の一途をたどっている。海と共に生き、海の恵みを受けてきたセレオンド海聖国の人々。彼らは今、その神秘と魔法に満ちた歴史の中で最大の試練に直面している。訪れる者は皆、この国の美しさと不思議な魅力に心を奪われるだろう。そして、彼らの眼前に広がる深遠なる海の物語に、きっと引き込まれることだろう。