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太郎さん

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俳句の愉しみ 七 追記

さみだれを集て早し最上川

芭蕉

samidare o atsumete hashi mogamigawa(日本語の音表記)

初案は「集て涼し」であった。この句ははじめ挨拶句であったものを現在の形で発句(連句のはじめの句)にしたのだった。山本健吉は以下のように評している。両岸の絶壁の鬱蒼とした間を下る濁流の最上川下りの感動が、この句を詠ませる。「集て早し」とは濁流の量感と速度そのものの即物的、端的な把握である。岸で作った眺望の句が、一字の改訂で、最上川経験の直接の感動に矯め直されたのである(『芭蕉全発句集』から一部抜粋)。
私は「さみだれ」の時期であるのに何故か開放感があるのはa音のせいだと感じる。この句の作成にあたって皆さんが句を作るとして「さみだれ」と「最上川」は出てくるとしても「集て早し(atsumete hayashi)」が出てこないと思う。
芭蕉は音としてa音を求めていたのではないだろうか。確かに「最上川」は「さみだれを」「集て」「早し」なのである。このあたりが芭蕉の心のなかでよく整えられているのである。つまり「最上川」と「さみだれ」の関係性を「最上川」を中心に据えて熟考した点、平凡ではない。また、「さみだれ」と「最上川」が雨音や川音の濁音であることも忘れてはならない。

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