ゴミ屋敷の撤去をおこなう積層型で、文字通り発掘作業に近いゴミの内容も言ってみれば、その家主が人生において廃棄できなかったものだらけだ。それは、家主の人生環境、心身健康状態の変化が如実に反映されている。部屋の床が見える頃になって、それがうっすらとわかる。若く健康で多才な人間が、すこしづつ、確実に、損耗していったことがわかる。その状況を打開するための、抗いの痕跡すら残っている。埋もれていた紙袋のなかには、結婚式の引き出物が、とうに期限を切れて手つかずのまま残っていた。少なくとも彼は、彼なりにあがいて、強がって、息抜きや堕落さえしても、生きようと闘っていたことは事実だ。