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こんばんは。
読書しました。

室町幕府論
早島大祐 著
講談社学術文庫

室町幕府の体制がどのように確立していったかを、初代将軍尊氏の時代から4代将軍義持の時代にかけてを俯瞰的に考察した内容となっています。

3代将軍義満が花の都に高さ110mの大きな七重塔を建てたというのは興味深い話です。
義満政権の前半期は幕府財政の柱は守護からの出資と土倉酒屋役に頼っていて貧弱なものでしたが、後半期は日明貿易によって莫大な利潤が得られ、大塔や北山第の大規模造営を可能にしたそうです。

初代の尊氏は、亀山院の御所跡地に天龍寺を建てて大覚寺統を否定し、3代の義満は、崇光院の旧邸に花の御所を建設して、崇光流が皇統を継ぐ可能性を封印して、朝廷を骨抜きにしていきました。
伏見宮流の旧宮家からなぜ天皇を出すことが出来なかったという理由がわかりました。

義満の右大将拝賀儀式が武家の先例になったこと、大塔落慶法要では証誠(しょうせい)という重要な役を義満自らが務め、義満の天下は俗界だけではなく、聖界にも及んでいるということを示しました。
義満が一時代を築いたカリスマ的存在であるということがわかりました。

守護が国菩提寺、京菩提寺を創建して、政治的・文化的に成熟してきたのが4代義持の時代であること、義持政権を樹立した際に守護の役割が大きかったことで、義持の幕府政治は守護が表に出るかたちで進められるようになりました。
応永の外寇や飢饉を契機として、幕府が朝廷の祭祀・儀礼の復興を支援して、いわゆる公武統一政権といっていいような安定期に入ったそうです。
その一方で、在地支配が間接化していき、のちの下克上の下地になったというパースペクティブまで示しており、充実した内容となっています。
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#室町幕府
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こんばんは。
読書しました。

南朝全史
大覚寺統から後南朝へ
森茂暁 著
講談社学術文庫

前回読んだ本は鎌倉時代を対象といたので、今回の本はその先の、鎌倉時代後期から南北朝時代を取り扱っています。
前回の本での主役の1人だった北条時宗が、後深草院に同情して、後深草院の皇子を立太子させたのが、持明院統の始まりであり、両統迭立の始まりだったようです。
こういう経緯もあり、持明院統は幕府に依存する体質があったこと、兄である後深草院の系統であったから嫡流の意識があったこと、訴訟においては手続き重視であるという特徴があったそうです。
対して、大覚寺統は、後宇田院政や後醍醐前期親政にみられるように、王権至上主義で、訴訟においては聖断至上主義だったそうです。
特に後醍醐は自らの王権を守るためには、幕府を倒さなければならないという非常に強い意志を持っていました。
それは後醍醐が本来「一代の主」で、本来はただの中継ぎのはずだったからだそうです。
王統が分裂する中で。公家衆も一門の中でそれぞれの派閥に分裂し、後醍醐が吉野に落ち延びた際も、家格の高い公家の中にも付き従うものがいて、吉野朝はもう1つの朝廷と呼ばれるに相応しい陣容が備わっていたようです。
亀山院の「鍾愛の末子」恒明親王は、皇位継承権を巡って兄の後宇多院と対立したことから、持明院統の保護のもとに入ったこと、その子息たちは、南朝の御持僧になったという数奇な運命についても述べられており、面白い内容でした。
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