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午後の講義が終わり、身支度を整えて終えたので階段を降りてゆっくりとアカデミーを後にした。
午後4時。さて、今日は何しよう。。
特に友人との予定も、やらなければいけない課題もなかったので、久々に時間がぽっかりと空いてしまった。
ジーンズの後ろポケットからタバコを取り出し、ジッポで火を付ける。深く深呼吸し、藍白のような曇天に息を緩やかに上らせた。一人のせいか、孤独が妙にくすぐり、胸をヒリヒリと感じさせた。
アカデミーを出て交差点を左に曲がる。気候によってももたらされた小雨は、冬の空気を湿らせ、どこか柔らかく優しい感触だった。ストリートのお店に至る所に掲げられているメイプル旗が緩やかに靡いていた。
あっそういえば本持ってたな、今日は本でも読もう。
そう思い立って、ストリート沿いのカフェへ足を運んだ。
カフェへ到着し、店内へ入るとやさしいJAZZのBGM、そしてコーヒーの香りが心地よく漂っていた。
ブラックコーヒーを注文し、窓際の席に座り、バックの中から本を取り出し、まだ未開封の本に初めて開き折りを付けた。
読み進めると、その本の中の主人公は酷く弱かった。何事に対しても臆病、そして抗う素質も気力もない脆弱な男の子だ。
しかしそこにある少女が現れて、共に生きていくと、、みたいなそんなストーリー。
「あら、とても表紙が綺麗な本ね。」
不意に隣の席の女性に話しかけられて、少し驚きながら答えた。
「うん、こっちにきた時に一緒に持ってきた本なんだ。時間空いたから読みたくて」
「そうなのね、素敵だわ。どんな内容なのかしら。」
そう言って女性はコーヒーを口に運んだ。女性はとても和やかな表情だった。
「主人公は酷く臆病なんだ。でも、その代わりに人の気持ちがわかる優しい心を持っているみたい。」
そう答えると、女性は深く頷いた。
「なら、その本の中の男の子は、きっと誰よりも幸せになれるわ。優しさは強さと同義よ。決して臆病ではないわ。」
続けて彼女は僕を見た。
「あなたも、本の中の男の子とにているのかしら。優しくて強い目をしているわ。」
ーーー


夏音
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