学生の頃、バイト先まで歩く道中に池があった。その池には何匹もの亀がいた。いつも少し立ち止まって亀たちが泳ぐ姿を眺めるのが癒しの時間だった。 大雨の日、池を覗くと水位は高く流れは激しく亀が一匹も見当たらないことがあった。無事なのだろうかと心配になった。晴れた日に見に行くと何事もなかったかのように泳ぐ亀たちがいてとても安心した。 そんなある日、母親が新聞の記事を見せてくれた。そこにはあの池の名前が。そして“外来種一斉駆除”という文字。それから亀たちを見ることはなかった。