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ジョドー
司馬さんこと司馬遼太郎は晩年の頃、
「もう少ししたら、この家も引き払ってマンションに住み替えて余生を過ごそうか」
と、奥様と約束なさったという。なんにしてもこの大作家は忙し過ぎた。小説を書かなくなってからも出版社は彼を手放してくれず、評論活動や講演がひっきりなしにやってきた。それを断ってまで隠退するわけにはいかなかったのだろう。
しかし、引退を考えた節はあった。いつも司馬さんに資料の購買を頼まれていた秘書が御用聞きをすると、
「いりません。僕はもう勉強しないんです」
と断った。最初の代表作である『竜馬がゆく』を執筆する際、当時のお金で一千万円以上を投じてまで坂本龍馬関連の資料を集めまくった人が、である。ここらが潮時と踏んだのか。
だが、その数日後自宅で倒れて緊急入院し手術が決まった。「頑張る」と終生言うことを嫌った言葉を発し、手術室へ運ばれた司馬さんはそのまま帰らぬ人となった。
生涯、使命感に突き動かされるように働きづくめだった作家がようやく安息できた瞬間だったのかもしれない。とはいえ、みどり夫人と静かな老後を送らせてあげたかった。

ウカナ

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坂本龍馬関連の歴史の謎の真実を知りたい!
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