ところで、忙しかった今月も一冊小説を読めたので感想文を書いてみました。以下、感想。『精霊の守り人/上橋菜穂子』ファンタジー。長編。めっちゃおもしろかったです。NHKでアニメ化&実写化されている有名な作品ですが、そうされるだけある面白い作品でした。とある事情で父王から命を狙われることになった王子・チャグムと、たまたま王子を助けたことがきっかけで彼を守る羽目になった女用心棒・バルサが主人公。二人は追っ手から逃げつつ、チャグムが抱えることになった事情についての謎を解き明かしていく…というお話。読んでてまず思ったのは、読みやすいなーということ。そもそも児童文学として書かれた作品だからか、難しい語句などはなく、分かりやすく読みやすいです。でも、ファンタジーでそれができるって、凄いことだなーと思います。現実には存在しないものを題材とした作品であるにもかかわらず、読みやすいなんて。難解な語句を使わずにファンタジー世界を描けるほどの卓越した表現力があるってことですよね。上橋先生の描く精霊の世界は、不思議で神聖で、とても魅力的でした。お話の部分も、複雑ではないけれど単純でもなく、繊細に構築されています。チャグムは現実世界の追っ手とは別に、「現実世界と重なって存在している精霊の世界」の捕食者からも追われており、逃走劇は二重にスリリングなものに。逃走劇のパートで活躍するのは用心棒のバルサで、彼女の無類の強さを堪能できるのはこちらのパートです。また、精霊の世界の捕食者こそが真の脅威だと判明してからは、その脅威をいかにして退けるかに焦点が当たり、世界の真実を追求する物語へと変化します。こちらのパートでは、庇護されるだけの存在だったチャグムが世界の様々な面に触れ、大きく成長していく姿が描かれます。二人の主人公のどちらもを活躍させて、なおかつ、お話の部分もしっかりと魅せるという、卓越したストーリーテリングだと思いました。読んでて楽しかった。世界観にもストーリーにも、大変満足いたしました。ちなみに本作はシリーズ作品の1作目で、本編は10作、外伝も含めると13作に及ぶ長編シリーズだとか。この魅力あふれる作品を、今後10数作も味わえるのだと思うと、楽しみで仕方ないです。#読書 #小説 #パッションの読書感想文