気が付くとなぜか走っていた。かなりの距離を走っていたのだろう、心臓が痛い。などと考えていると後ろから野太い声が聞こえた。振り返ると、『ワンパンマン』に出てくる「ブサイク大総統」が全力で追ってきていた。かなり距離があるためよく聞き取れないが、どうやらブサイク大総統と僕は恋仲だったようだ。追われる理由に心当たりはないが、相当な気迫だ、相当の事をしたのだろう。しかし何という俊足。既に僕の走りは音速を超えていたが、息切れひとつせずに着いてくる。このままではやられると思い、那須にある廃旅館に逃げ込んだ。違法増築に違法増築を重ねた自然発生的メタボリズム建築の中を上に下にがむしゃらに進んだ。ここまで来れば……と外を見やると、ブサイク大総統は壁や床をぶち抜いて一直線に向かってくる。いよいよ万事休すかと思われたその時、インカムから昔バイトをしていた塾の中村塾長の声がして、曰く「奴はエコーロケーションを使っている。カーテンの裏に身を隠すんだ」と言ってきた。なるほど、エコーロケーションを利用していたからこちらの位置が丸分かりだったのかと妙に納得し、カーテンの裏に隠れた。ブサイク大総統の地響きを伴った足音が近づいてくる。果たして3限目の自分の受け持った講義に間に合うだろうかと考えていた所で目が覚めました。おはようございます。