こんばんは。読書しました。神聖ローマ帝国「弱体なる大国」の実像山本文彦 著962年のオットー大帝の戴冠から、1806年の帝国解体までの約850年の帝国の歴史を、帝国の制度の変遷を軸とした通史を描いた内容となっています。三十年戦争の結果、ドイツの分裂は決定的となったと解釈する従来の説とは異なり、ウェストファリア条約にもとづく平和の保障を担うはずのスウェーデンやフランスが次々と戦争を起こしていく中で、神聖ローマ皇帝こそが「平和の守護者」として君臨して、皇帝権の復興の時代となったと解釈しているところに、本書の新しさを感じます。また、ウェストファリア講和会議以降の時代において専門知識を持つ外交官が活躍する時代となったが、1663年にレーゲンスブルクで開催された永久帝国議会において出席する使節は法学の知識を持つ専門家が多く、彼ら使節の交流が、ヨーロッパ政治の国際政治において重要な役割を果たしていたそうです。ウェストファリア体制において、帝国内の中小領邦は皇帝によって守られており、神聖ローマ帝国は従来言われていたような有名無実化したわけではないことが分かりました。#読書 #読書感想文 #神聖ローマ帝国 #ドイツ #歴史