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シノ

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これは、私がとある人形を欲しがり、某オークションで競り落とした時の事である。
その人形は私が欲しがった人形と同日に出品されていた人形であり、初めて兄に霊障を起こしたモノの話でもある。


私「この子欲しい」
兄「どれ…あーウォッチ結構入ってるから今すぐじゃなくてギリギリで入札した方がいいな」
私「神様イエス様仏様兄大明神様…!」
兄「いや、宗教めちゃくちゃじゃん。統一して褒めて?」

今日入札最終だし暇だからいいよ、と、ウォッチにいれてサクッと予約し始めた兄を拝む。

兄「でもシノが人形欲しがるって相当珍しいね?」
私「あー…かも?」
兄「なに?この人形なんかあんの?」
私「わかんない」
兄「え、コレ本物?」
私「ううん、本物はそっち」
兄「あ、これ本物なんだ…うっわ古そう」
私「いや、多分古くはないけど、やばいのが入ってる」
兄「マジで?」
私「がっつり」
兄「へぇ、見た目じゃわかんないわな」

私お目当ての人形は無事、予定金額で落札できた。

が、次の日。

兄「……」
私「ウェッ!?ウェウェウェ!?!?」

朝食中に、突如現れて後ろから兄に頭を鷲掴みにされてシェイクされ、牛乳を持っていたせいで皿の上でこんがり美味しそうな湯気をたてていたトーストは見るも無残な焼く前のパンプディングに早変わりした。
あまりな暴挙にくらくらする頭を押さえながら真顔の兄を見あげた。

私「暴挙すぎん?え?なに?」
兄「マジ物を俺に教えるな」
私「いや何のこと?…あ」

珍しい真顔の兄の目が充血していて、これまた珍しくわかりやすい寝不足の様子と、ソワッとした寒気に思いあたり椅子を引けば、深くため息を吐いた兄はそのまま横の椅子にうなだれるように腰掛けた。

兄「アレ、夢に出てきてひたすらガン見され、追いかけられて寝不足なんだけど」
私「うわぁ…やっぱり相当な奴だった」 

続きます。


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