BL小説の冒頭を描きました。見てください。女心と秋の空という言葉があるが、昔は男心と秋の空と言われていたそうだ。それだけ男心は揺れるものということだろうか。キーンコーンカーンコーンという、聞きなれたチャイムが授業の終わりを告げる。帰宅部の僕は、さっさと家に帰ればいいのに、いつまでも窓際から運動場を眺めて、なかなか帰ろうとしない。僕がこうして窓際にへばりついているのは一学年上のシャンプー先輩のサッカーしている姿を拝むためだ。シャンプー先輩はボトルにはられたラベルがオシャで成分がボタニカルで近づくとアプリコットグリーンの香りがするのに、それを少しも鼻にかけない誰にでも気さくな先輩として知られている。そのシャンプー先輩に僕は入学当初から片思いをしていて毎日放課後はこうして先輩をみている。だけど、シャンプー先輩は古臭い成分のリンスの僕の存在なんて知りはしないだろう。僕が一方通行の思いに心を焦がしていると、「やっぱりここにいたのか?」と僕に声をかけてくる人物がいた。幼なじみのトリートメントだ。トリートメントとは幼稚園から小中高と同じ学校に通っていて、旧知の仲だ。でも、トリートメントは、パールプロテイン配合で手に伸ばすとトロッと優しいテクスチャーで、香りもフローラルグリーンの香りがするのに、なんでリンスの僕なんかと仲良くしてくれるのかわからない。「そんなに窓際でじっとしてると風にあたって体が冷えてしまうぞ」とトリートメントが着ていたジャケットを僕にかけてくれる。