ケンちゃん事の発端は、羯帝王(親父)が黒竜にもう羯帝の住処に来てはいけない。老竜(親)に心配を掛けてはいけない。家に帰って老竜の言い付けを守り親孝行しなさい。此処には二度と来てはいけない。今迄、黒竜が来てくれて楽しかった。黒竜の様に親身に成って接してくれた者はナメクジの英雄イルク以来、黒竜との間で育まれた友情は終生変わる事は無い。ここに有る物で何か欲しい物はないか? 餞別だ。何でも持って行くと良い。親父が黒竜にこう言ったんや。それから黒竜は羯帝王の抜け殻を指差して言うたんや。あの抜け殻の尾の部分が欲しいと、わいは聞いたんや。あないなもん何の役に立つんや、蜘蛛の巣避けにでも使うんか?黒竜は変な物欲しがるな。親父はこんな物で良いのか?記念に持って行くと良い。そう言うて黒竜が硬くて折れんかった尾の部分をポキリと折ってやって黒竜に渡した。七枝に別れた尾の部分。それを黒竜が手にした時、全ては初まったんや。黒竜、彼奴はとんでもない策士やぞ。地球にも居ったやろ。とんでもない知恵者が、諸葛亮孔明と言ったか。似とるんや。孔明がしたことは天下三分の計。魏・呉・蜀やろ?黒竜がしたことは宇宙三分の計。天・地・人や。孔明がしたかったことは原点の神の真似や。三人の皇帝を立てて中華の調和を図ろうとした。上手いこと行かんかったけどな。孔明を見て思うんや、原点の神の計略も上手いこと行かへんのとちゃうかと、しかし、孔明には邪魔をする天が外側に居ったから上手いこと行かへんかったんや。天地人はその天が含まれて成立する。天も歯車の一つ。黒竜の言う法則からは逃れられへんのや。悪いけどな、わいらは散々天から虐められて来たんや。人が困り果てる姿を見ても良え気味やとしか思えん。それだけ過去、天として沢山の者を困らせて来たんや。それが分かるまで困り果てたら良えねん。分かって無いから言うけどな、先に困らせやな困る事は起きへんのや。困らせて来たから困り果てるねん。自覚する時や、何で困るんか。天の罪は我が罪や。話がだいぶ逸れてしもうたな。また次回続きを話すわ。黒竜が手にした羯帝王の抜け殻、七枝に別れた尾の部分。それが七支刀(ひちしとう)や。わいら羯帝と心底、心通い合わせる為に黒竜が得たわいら羯帝と心通い合わせる為のツール(道具)や。