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からえふ
『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
この作品、自分が好きな『いまを生きる』にもどこか似ている気がしてよかった。
舞台は、1970年12月のボストン近郊にある寄宿制の名門バートン校。
古代史の教師、反抗的な生徒、息子を失ったばかりの料理長、この3人の物語。
それぞれが、過去に何らかの傷を負い、今もそこから再起できないでいます。
家族を持たなかった者、家族に拒まれた者、家族を失った者、そんなどこか似た者同士たちがボストンへの旅を通じて、過去の真実を共有することで次第に絆を深めていくのです。
しかしその過程は簡単にではありません。
何度もお互いが衝突を繰り返しながら、徐々に徐々にとです。
実に丁寧に描かれています。
そこがとても優しくて暖かくて、この作品を多くの人たちが好む要素ではないでしょうか。
オープニングのどこか古めかしい感じのフィルムやロゴの質感も、70年代映画っぽくて良いですね。
70年代はベトナム戦争の時期で、映画はニューシネマ時代でした。
社会からのはみ出し者や、傷つけられた者を描いた作品が数多くあります。
劇中、映画館で観ているのも『小さな巨人』であり、これは70年代へのオマージュが込められているようにも思います。
こんな風に70年代を時代設定にして描いた新たなクリスマス映画がまた加わりました。
もうすぐクリスマス。
大切な人と一緒に是非ご覧ください。
古代ギリシャ人は考えた。
人は過去に導かれ、運命を生きる。
・・・それはたわ言だ。
君の過去が
人生の方向を
決めたりしない。
#映画
#WOWOW
#アマプラ
#音楽
#ホールドオーバーズ

Crying, Laughing, Loving, Lying
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からえふ
『サン・セバスチャンへ、ようこそ』
スペイン北部バスク地方の街サン・セバスチャンで毎年開催されている国際映画祭を舞台にしたロマンティック・コメディです。
「ビスケー湾の真珠」と呼ばれるリゾート地の景観をカメラに収めながら、ウディ・アレン監督自身がこよなく愛するヨーロッパの古典映画などへのオマージュを織り交ぜて、映画のように儚くも美しい人生模様を紡ぎ上げた一作です。
ヨーロッパの古典映画を崇拝し、臆病で心配性の主人公モートは、言わずと知れたウディ・アレン監督の分身的なキャラクターと言えるでしょう。
映画業界でエネルギッシュに働くスーとの夫婦仲が冷えきっている彼は、初めて訪れたサン・セバスチャンで、昔に忘れていた恋の喜びを取り戻しますが、永遠に答えが見つかりそうもない大問題にぶちあたってしまうのです。
それは自分が何者で、何を求めて生きているのか?
そしてこれは、人生の意味という深い深いテーマなのです。
ウディ・アレン監督は、そんな小難しくなりかねない哲学的難問を、軽やかなユーモアたっぷりに描き出します。
さらに自尊心と劣等感の間で引き裂かれ、結婚生活の危機にも見舞われるモートのおかしな人生の問いを、ヨーロッパの名作映画などを引用したモノクロのイメージで映像化しました。
随所にちりばめられたその幻想シーンで、オマージュを捧げた作品が、『市民ケーン』『8 1/2』『突然炎のごとく』『男と女』『勝手にしやがれ』『仮面/ペルソナ』『野いちご』『皆殺しの天使』『第七の封印』の9作品です。
サン・セバスチャンの自然と街並みを捉えたカラー映像、幻想シーンのモノクロ映像が鮮やかなコントラストを映し出しています。
至福のロマンティック・コメディを堪能してみてください。
#映画
#WOWOW
#音楽
#サン・セバスチャンへようこそ


男と女のテーマ

からえふ
『ふたりのマエストロ』
『コーダ あいのうた』の製作陣が再結集してできた家族の物語。
父と息子は共に名を馳せたオーケストラの指揮者。
ある日、世界最高峰のミラノ・スカラ座から音楽監督としての依頼が父へ。
念願の夢が叶うと思った父。
しかしそれは誤報で、息子への依頼だった。
父と息子は不仲だった。
それは互いに同じ職業だったからだろうか。
実は息子が生まれてくる以前に原因があったようだ。
しかし本音は違う。
息子は父のことを理解しているからこそ真実を伝えられないでいる。
観ている方はやきもきするかもしれないけど、それは優しさなのだから見守るしかない。
いつかは子どもが親を超える時がくる。
親にとってはそれは喜びと安心の時なのかもしれない。
自分はもう親を超えることができただろうか。
最後のオーケストラでの指揮を振る舞う姿は、すごく気持ちがいい。
ブラボーです。
#映画
#WOWOW
#音楽

Sérénade

からえふ
『シック・オブ・マイセルフ』
この主人公はほんと度を超えた凄さだったな。
他人にもっと見られたい、心配されたい、関心を持たれたい、憐れまれたい、誰よりも特別だと認めさせたい。
この欲望に底がなく、どんどんエスカレートしていく様には観ていて腹立たしく、そして呆れるほどだ。
どんなことをしていくかは、是非作品を観てほしい。想像とは真逆のことをして注目を浴びようとするので。
承認欲求に執着し過ぎてしまうと、それは望ましくない結果を導くことになるのかも。
自分への執着を手放して、自分への愛情をたっぷりと取り戻してほしいものだ。
自分の人生において、他人ではなく自分自身が物語の主人公なのだから。
まだまだ北欧映画も凄い。
#映画
#WOWOW
#音楽
#シック・オブ・マイセルフ

Min Beibi Dro Avsted

からえふ
『ピクニック at ハンギング・ロック[ディレクターズカット版]』
オーストラリアの寄宿学校に通う女学生3名と教師1名が、ハンギング・ロックへピクニックに行った際に失踪した事件を、圧倒的な映像美と共に描いたミステリー。
オーストラリアで1900年に実際に起こった未解決事件をモデルに映画化されました。
不可思議な“神隠し”を、陰影を巧みに使った岩山などの自然や時の止まった時計など、直接的な描写をせずに、幻想的でミステリアスな美しい映像で表現されています。
さらに事件の当事者である少女たちの、思春期特有の危うい魅力も丁寧に描写。
ミランダ役のアン・ルイーズ・アンバートの容姿が特に飛び抜けて美しく必見です。
行方不明になった彼女たちに一体何が起きたのでしょうか?
閉鎖感のある寄宿学校は、女性校長の独裁的要素も垣間見れ、独特な雰囲気と不気味さも感じさせられました。
当時、オーストラリア映画界の新鋭だったピーター・ウィアー監督が一躍注目を集めた出世作です。
#映画
#WOWOW
#音楽
#ピクニック・アット・ハンギング・ロック

Piano Concerto No. 5 in E flat Major Op.73 Emperor Adagio un poco mosso
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素敵な感想です[ハート][照れる]