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𝕒𝕞𝕒𝕒𝕞𝕒𝕞𝕪

𝕒𝕞𝕒𝕒𝕞𝕒𝕞𝕪

雑貨屋さんのお話 バレッタ編冒頭
もうちょい肉付したい
でも読んでみてほしいそんな気持ち

🌳☀️🌈🏡🌳

坂と階段をいくつも登った高台に、三角屋根の小さなお店がありました。街全体が見渡せるように、屋根には丸くて大きな窓がついていて、誰でも立ち寄れるように、ドアはいつでも開いています。木製の店内には無数の棚と1つのカウンターがあり、分厚くて丸いメガネをした少女が店番をしています。

ある日、お店に1人の女性──あかねが訪ねてきました。
「いらっしゃいませ」
カウンターの少女が言うと、あかねはビクッと肩を揺らしました。
「あ、こんにちは……」
「何かお探しですか?」
「えっと……」
あかねはこのお店に来るのははじめてなので、どんなものが売っているか分からなかったのです。
「この街に引っ越してきたばかりで、ふらっと散策をしていたら偶然ここを見つけて……」
「ようこそ。いい街ですよ、ここ。お姉さんもきっと気に入ります」
「そうですかね……?」
「ええ、きっと」
少女の返事を聞いて、あかねは体から力が抜けるのを感じました。分厚いメガネで遮られているはずなのに、春のひだまりのような瞳がほほえむのがよく分かります。
「ちょっと待っていてくださいね!……えーと、これとあれと……こっちもかわいいかも!」
「あの、これは?」
カウンターに色とりどりの髪留めが並べられました。少女がお店の奥から腕いっぱいに持ってきたのです。
「わ…!素敵…!」
「お姉さんは黒髪が綺麗だから、こういうのが映えると思います!」
あかねは驚いたように顔を上げました。長く顔にかかった髪が彼女の動きに合わせるように跳ねます。
「で、でも、私って地味だし!それに、毛量が多いから、こんな可愛らしい髪飾り、使えない!」
「そうかな?似合うと思うんだけどな」
少女は取り出した髪飾りの中から、ルビーが散りばめられたバレッタを手のひらに乗せました。
「試してみませんか?」
「……はい」
「先にヘアゴムでひとつ結びにして、そのあとくるくるってして、これで留めるんです!」
あかねは言われたとおり、髪をひとまとめにしました。髪を結うこと自体随分久しぶりです。前髪で顔が隠れるように、わざとそのままにしていたからです。
「こう、ですか?」
「そうそう!いい感じです!」
あかねの長い髪に、バレッタが留まりました。

#小説 #続く
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