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ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 135
#松本隆 #詩集
☆『道化役』
あなたの悲しい顔 見てるとぼくまで辛いよ
よければ話してごらん 涙のその訳を
泣くだけ泣いちまえば気持も軽くなるだろう
いいんだ ぼくのシャツで涙は拭けばいい
なぐさめ役のぼくの心に
あなたは今も気付いていない
兄貴のように抱くしかないよ 小さな肩を
芽生えた恋のことを打ち明けられた時もある
愛して悩むたびにあなたはここに来た
いつでも遠く離れ優しく見守って来たけど
あなたの心占める誰かは他にいた
道化てみせるぼくの仕草で
明るい笑みを想いだすなら
兄貴のように抱くしかないよ 小さな肩を

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ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 68
#松本隆 #詩集
☆『好きよキャプテン』
好きよ好きよ キャプテン
テニス焼けの 笑顔
遠い町へ行って もう帰らないの
教室から見つめたの テニス・ボール打つ姿
汗にまみれた胸がとても眩しかったのよ
今日もひとりたたずめば肩をポンと叩かれて
涙拭けって優しい声 今も聞こえそう
好きよ好きよ キャプテン
長い髪が似合う
私あこがれてた ひとつ上級生
練習あと校庭で待ちあわせた イチョウの木
ラケット胸に彼と二人 夕陽を見たわ
また逢う日もあるだろうと 白い歯みせ笑ってた
兄貴のようにおでこにキス さよならをしたの
好きよ好きよ キャプテン
忘れないわきっと
生きることと恋を教えてくれたの
好きよ好きよ キャプテン
忘れないわきっと
生きることと恋を教えてくれたの


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 106
#松本隆 #詩集
☆『雨だれ』
ひとり雨だれは淋しすぎて
あなた呼びだしたりしてみたの
ふたりに傘がひとつ
冬の街をはしゃぐ風のように
寒くはないかと気づかうあなたの
さりげない仕草に気持がときめく
淋しがりやどうし肩よせあって
つたえあうのよ弾む恋の芽ばえ
何故かあなたに甘えたくなって
そっと腕を組んだ街角よ
ふたりの影はひとつ
いつか愛に優しく包まれて
見つめる瞳にふれあい探すの
心がほのかに高まってゆくのよ
淋しがりやどうしそっと寄りそい
感じあうのよ熱い恋の芽ばえ


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 121
#松本隆 #詩集
☆『わかれの会話』
夕立ちの窓に頬寄せる
君はもう少女じゃないね
昔なら稲妻それは
ぼくの手に抱きついたのに
ひどいわ今も私の
くちびるはふるえているの
心の奥まで見透しそうな
あなたの瞳がとてもこわいのよ
あの頃の君はミニスカート
今よりも無邪気だったよ
亜麻色の髪にもパーマかければ
ほら色も褪せるさ
ひどいわ時が過ぎれば
人は皆変わるものだわ
ぜんまい仕掛の人形じゃない
涙も流すし胸も痛むもの
どう言えば君を傷つけず
この部屋を出てゆけるのか
お別れにくわえた煙草に
君の手で火をつけてくれ
ひどいわ愛の炎に
灯をともすマッチは無いの
あの日もこうして爪さきだって
くちづけしたのも遠い夢なのね
二人の間で小さく燃えた
心の炎をどうぞ消さないで


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 143
#松本隆 #詩集
☆『東京メルヘン』
もうじきに もうじきに春が来るんですね
もうじきに もうじきに春が来るんですね
あなたにとって私など
ただの心の道草でしょう
寒いポッケで二人の手
あたためたのもおとぎ噺ね
つめたい人ね くちづけてても
あー肩ごしに遠くを見てる
どこか渇いたあなたの胸を
涙でそっと濡らしましょうか
もうじきに もうじきに春が来るんですね
恋人たちの街角を
耳を押えてただすり抜ける
あなたの腕に抱かれてた
想い出だけにおびえる私
つめたい人ね サングラスへと
あー街翳を映したあなた
古いブーツを投げ出すように
私の心 捨てるのでしょう
つめたい人ね 冬のコートを
あー着せかける無口なあなた
見せかけだけの春が来たって
風が身体を吹き抜けるでしょう
もうじきに もうじきに春が来るんですね


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 105
#松本隆 #詩集
☆『かざらない青春』
逢いたさばかり つのるから
あなたの街に 飛んで来た
たった半年 離れても
あなたは違う 人みたい
街の灯りに 染まって見える
冷たい人は 誰ですか?
生きてることが ぶきっちょだから
愛の言葉も 言えないけれど
頬に涙が 煌めいてたら
私の気持 察して下さい
あなたにとって 私はもう
置き忘れてた 想い出なの
かざりけのない まごころも
きっとあなたに 通わない
胸のリボンは 似合いませんか?
このスカートは 長すぎますか?
生きてることが ぶきっちょだから
愛の仕草も 出来ないけれど
頬に涙が 煌めいてたら
私の気持 察して下さい
頬に涙が 煌めいてたら
私の気持 察して下さい


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 102
#松本隆 #詩集
☆『青春の坂道』
淋しくなると訪ねる
坂道の古本屋
立ち読みをする君に
逢える気がして
心がシュンとした日は
昔なら君がいて
おどけては冗談で
笑わせてくれた
青春は長い坂を 登るようです
誰でも息を切らし 一人立ち止る
そんな時君の手の やさしさに包まれて
気持よく泣けたなら 倖せでしょうね
言葉に出せない愛も
心には通ってた
同じ道もう一度
歩きませんか
ペンキのはげたベンチに
手のひらをあててると
君のいたぬくもりを
今も感じます
青春は長い坂を 登るようです
誰かの強い腕に しがみつきたいの
君といた年月が 矢のように過ぎ去って
残された悲しみが しゃがみこんでます
青春は長い坂を 登るようです
誰にもたどりつける先は わからない
そんな時ほら君が なぐさめに駆けてくる
倖せの足音が 背中に聞こえる


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 82
#松本隆 #詩集
☆『七つの願いごと』
四月になれば何かが変わる
ふと目にとまる路ばたの花
心ひかれてしまうのは
思いもよらない恋が芽生えたから
五月になれば何かが変わる
あなたの白いズックが光る
真っ赤な靴をひきよせる
歩きはじめれば愛という名の径
六月になれば何かが変わる
小雨ふる日に手紙がこんな
待ちどおしいと想うのは
淋しい心が滲んでしまうから
七月になれば何かが変わる
眠れない夜 羊を数え
それでも何故か寝つけない
羊の隣りにあなたが見えるから
八月になれば何かが変わる
白いペンキの避暑地の店で
見つめあう瞳がはずんでる
サイダーびんから気球が飛んでゆく
九月になれば何かが変わる
すれ違ってくふたりの会話
ふみ切り越しのボール投げ
ひとつの嘘から谷間が広がった
十月になれば全てが変わる
青空を見て胸いたむのは
大事なものを失った
心のすき間に青さがしみるから


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 70
#松本隆 #詩集
☆『砂の女』
風まじりの 雪がすべる 浜辺に
いなづまのような なみがとどろく
あなたの好きな 景色だわ 君は
そうささやいて さみしそうに 目をそらす
じょうだんは やめてくれ
なげやりな 君の視線 たどって
いらだちがあつい うずをえがくよ
話しあるなら早くして 君は
そうつぶやいて ほほをかたくこおらせだ
じょうだんは やめてくれ
はりのような 砂のつぶに おそわれ
かばうように君をだいて もどるよ町


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 112
#松本隆 #詩集
☆『心さわぎ』
木の葉がその色変えるように
あなたの気持ちも動きそう
秋の色に染まりながら心さわぐ毎日です
逢えない月日が流れます
待つことだけではだめですね
涙はもう流しません
逢える日には幼すぎる
長い髪も切りましょう
あの時くちづけ許せずに
気まずい別れをしましたね
子供じみたためらいだと
今ではただ悔やんでます
くち紅はじめてつけました
不思議に自分じゃないみたい
恋してると感じてます
逢える日には幼すぎる
長い髪も切りましょう

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