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ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 58
#松本隆 #詩集
☆『組曲噫無情 』
<嘆きの舞姫(バレリーナ)>
流れ流れて地の果てよ
舞踏酒場の片隅で
ピンクのガーター色っぽく
踊る瞳に涙あり
ピンクのガーター色っぽく
語る昔に涙あり
風は何処から吹くのやら
あなた訪ねて三千里
南十字の星さん
わたしの瞳をぬらさずに
南十字の星さん
わたしのあしたに輝いて
見よ嘆きの舞姫
踊る姿も、ああ哀し
夢はめぐりて幾星霜
ダンスガールの悲しさよ
それでもあなたにめぐり逢い
星のワルツを踊ります
銀のシューズで踊ります


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 135
#松本隆 #詩集
☆『道化役』
あなたの悲しい顔 見てるとぼくまで辛いよ
よければ話してごらん 涙のその訳を
泣くだけ泣いちまえば気持も軽くなるだろう
いいんだ ぼくのシャツで涙は拭けばいい
なぐさめ役のぼくの心に
あなたは今も気付いていない
兄貴のように抱くしかないよ 小さな肩を
芽生えた恋のことを打ち明けられた時もある
愛して悩むたびにあなたはここに来た
いつでも遠く離れ優しく見守って来たけど
あなたの心占める誰かは他にいた
道化てみせるぼくの仕草で
明るい笑みを想いだすなら
兄貴のように抱くしかないよ 小さな肩を


ミチフミ龍之介
風のQuartet
〜松本隆作品詩集 ♯
#松本隆 #詩集
☆『白い封筒』
はじめての手紙をあなたに書きます
白い便箋にペン先がふるえて
読み直すと出すのがこわくなりそうだから
好きです。と一言書けたならいいのに
かけないままに文字を並べてます
どうぞ言葉にならない気持ち読んでください
はじめての愛を封筒につめます
あなたの名前を宛て名に書きました


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 66
#松本隆 #詩集
☆『雨模様』
あなたはどのくらい 待ったのかしら
窓を濡らしてる 雨を見ながら
となりの椅子にかけ 話しかけても
わたしのほうも見ず 聞こえないふり
いつものほほえみは どこに消えたの
わたし「ごめんね」も 言い出せないわ
午後の図書館は ひっそり静か
ためいき ひとつだけ ひびいたの
外はまだ雨 降りやまない
わたしのむねも 雨模様よ
髪をとかしても お喋りしても
とても気になるの さっきのことが
電話しようかな ダイヤルしても
指がふるえちゃう ちょっぴりこわい
あなたは今でも おこってるかな
返事もなかったら 泣いちゃいそうよ
何て言おうかな わからないのよ
電話前にして にらめっこ
外はまだ雨 降りやまない
わたしのむねも 雨模様よ
明日の放課後の 図書館に行き
いつもの椅子にかけ 待っていましょう
もしもまだあなた 知らんふりでも
だんまり背中だけ くるり向けても
わたし決めたのよ あしたはきっと
きっとほほえんで いえると思う
そうよ「ごめんね」と 小さな声で
あなたゆるして くれるかな
外はまだ雨 降りやまない
わたしのむねも 雨模様よ
外はまだ雨 降りやまない
わたしのむねも 雨模様よ


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 116
#松本隆 #詩集
☆『太陽がいっぱい』
白い夏へと 走ってゆくの
愛のペダルをこぐのはあなた
さからう風にゆれる自転車
だけど平気よ しがみついてる
広い背中あるから
聞いてこの胸のはずむ ときめきを
肩に感じるでしょう
はなさないの両手 つかまえたの幸せ
愛の旅が いま始まる
いつも遠くで あこがれていた
あなたが今は この手の中に
はじめて声をかけられ そして
白い自転車 海ぞいの道
二人走ってゆくの
どんな行先も 私ついてゆく
けして恐がらない
ほほをつねってみる いたいような幸せ
愛の旅が今はじまる
愛の旅が今はじまる


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 83
#松本隆 #詩集
☆『ひぐらし』
ねえ私たち恋するのって
鞄ひとつでバスに乗ったの
マクドナルドのハンバーガーと
煙草はイブをポケットに入れ
御殿場までが矢のように過ぎ
緑の匂い胸にしみるわ
昔はカゴで通ったなんて
雪の白富士まるで絵のよう
読んだ漫画をあなたはふせて
内緒の声で耳打ちばなし
スーツを着てるあいつを見ろよ
三億円に似てないかって
最後に吸った煙草を消して
空の銀紙くしゃくしゃにした
窓に頬寄せ景色見てると
時の流れをただようようね
ガラスに映るあなたの寝顔
私はふっとため息ついた
生きてる事が空しいなんて
指先みつめ考えてたの
日暮れる頃に京都に着くわ
それは涯ないひぐらしの旅
あなたと二人季節の中を
愛はどこまで流れてゆくの


ミチフミ龍之介
〜松本隆初期作品詩集 ♯ 54
#松本隆 #詩集
☆『はっえんどえんど』
今は昔のこと 末永く暮した桃太郎のように
しあわせになれるという
伽噺(おとぎばなし)ように はっぴいえんどならいいさ
でもしあわせなんて どう終わるかじゃない
どう始めるかだぜ
昔も今のこと ベンツでも乗り廻わし二号さんでも囲えば
しあわせになれるという
社長さんのように えらくなれたらいいさ
でもしあわせなんて何を持ってるかじゃない
何を欲しがるかだぜ


ミチフミ龍之介
〜松本隆初期作品詩集 ♯ 36
#松本隆 #詩集
☆『外はいい天気だよ』
水いろのひかりさしこむ窓に
きみはひとりぽつん
風にきみの顔がにじんで……
水いろの陽に濡れる机(テーブル)に
きみはほほづえついて
今朝の夢のつづき思い出す
さあ
あたまに帽子のせて
でかけなさいな
ほら外はいい天気だよ
水いろのひかりあふれる部屋に
朝は悲しすぎる
風にきみの夢がにじんで
さあ
あたまに帽子のせて
でかけなさいな
ほら外はいい天気だよ


ミチフミ龍之介
〜松本隆初期詩集 ♯ 6
#松本隆 #詩集
☆『乱れ髪』
割れた 鏡のなか
たたみの青がふるえる
何をそんなに視てるんだい
髪を切りすぎたね
まるで男の子だよ
外は乱れ髪のような雨なのに
窓を埋める影から
きみの瞳がひかる
何をそんなににらむんだい
髪を切りすぎたね
まるで男の子だよ
外は乱れ髪のような雨なのに
ごらん
きみが切った髪が降る
ごらん
きみの髪が降る
まるで男の子だよ
外は乱れ髪のような雨なのに


マサヤス龍之介
くもり硝子の向うは風の街
問わず語りの心が切ないね
枯葉ひとつの重さもない命
貴女を失ってから………
背中を丸めながら
指のリング抜き取ったね
俺に返すつもりならば
捨ててくれ
そうね 誕生石ならルビーなの
そんな言葉が頭に渦巻くよ
あれは八月 目映い陽の中で
誓った愛の幻
孤独が好きな俺さ
気にしないで行っていいよ
気が変わらぬうちに早く
消えてくれ
くもり硝子の向うは風の街
さめた紅茶が残ったテーブルで
襟を合わせて 日暮れの人波に
紛れる貴女を見てた
そして二年の月日が流れ去り
街でベージュのコートを見かけると
指にルビーのリングを探すのさ
貴女を失ってから……
そして二年の月日が流れ去り
街でベージュのコートを見かけると
指にルビーのリングを探すのさ
貴女を失ってから……
詞:松本隆
#音楽 #シティポップ #寺尾聰 #松本隆 #パラシュート


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 143
#松本隆 #詩集
☆『東京メルヘン』
もうじきに もうじきに春が来るんですね
もうじきに もうじきに春が来るんですね
あなたにとって私など
ただの心の道草でしょう
寒いポッケで二人の手
あたためたのもおとぎ噺ね
つめたい人ね くちづけてても
あー肩ごしに遠くを見てる
どこか渇いたあなたの胸を
涙でそっと濡らしましょうか
もうじきに もうじきに春が来るんですね
恋人たちの街角を
耳を押えてただすり抜ける
あなたの腕に抱かれてた
想い出だけにおびえる私
つめたい人ね サングラスへと
あー街翳を映したあなた
古いブーツを投げ出すように
私の心 捨てるのでしょう
つめたい人ね 冬のコートを
あー着せかける無口なあなた
見せかけだけの春が来たって
風が身体を吹き抜けるでしょう
もうじきに もうじきに春が来るんですね


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 120
#松本隆 #詩集
☆『オレンジの口紅』
去年の季節のかわり目に
私が借りてたサマーセーター
どうすればこの海で返せるの
ひと目だけでも逢えませんか
淋しい口実でしょうか
冷や汗かいてたコカ・コーラ
二人で半分ずつ飲んだ
あの夏の光
あの頃あなたが泳ぐたび
「サメよ!」と指さし驚かした
青い波 青春がきらめいた
もう一度だけ乗りませんか
おなじ湘南電車に
岩場でキスした想い出も
心に悲しく打ち寄せる
あの夏の光
青い波 青春がきらめいた
またバスに乗り行きませんか
白い海岸道路を
オレンジ色の口紅さえ
20才を過ぎれば似合わない
あの夏の光


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 85
#松本隆 #詩集
☆『銀河急行に乗って』
眠りにつくと迎えに来るの
白い煙を吐く機関車が
窓から空へ銀のレールが
夢の世界へ誘ってくれる
ジュエルの箱を散りばめながら
街の灯遠く飛び去ってゆく
綿菓子雲のホームのはじで
手を振るあなたもうすぐ見える
銀河急行に乗って
銀河急行に乗って
はたちという駅まで
夢のように過ぎたの
もしもあなたがアルタイルなら
離ればなれの私はヴェガね
雨が降ったら逢えない二人
さあ飛んでゆけ天の川まで
銀河急行に乗って
銀河急行に乗って
はたちという駅まで
夢のように過ぎたの
はたちという切符で
どこへ行けばいいの
眠りにつくと迎えに来るの
白い煙を吐く機関車が
窓から空へ銀のレールが
夢の世界へ誘ってくれる


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 72
#松本隆 #詩集
☆『微熱少年』
俄か雨降る午後に 体温計を挾み
天井の木目 ゆらゆらと揺れて溶けだした
窓のガラスを叩く 野球帽子の少年の
ビー玉を石で砕いては空に撤き散らす
ほらね 嘘じゃないだろう
路面電車は浮かんでゆくよ 銀河へと
遠い電車の響き 路地から路地に伝染り
目覚めれば誰もいない部屋 夜が忍び寄る
ほらね 嘘じゃないだろう
路面電車は浮かんでゆくよ 銀河へと


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 67
#松本隆 #詩集
・『ソバカスのある少女』
北の通りで ソバカスのある
少女を見かけたなら
声をかけてくれ
君が寒さに ふるえていたら
一枚きりの肩かけ
差し出すだろう
石のような心も
あたためちまう女さ
泣かした事が 昔あるんだ
風も叫んでたよ
ひどい奴だと
石のような心も
あたためちまう女さ
今でも髪は 長いだろうか
君も 友だちなら
たしかめてくれ


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 65
#松本隆 #詩集
☆『想い出の散歩道』
あの静かな丘の上に
そびえていたリンゴの木
背のびしても届かないの
笑いながらもいでくれた
あなただけがいないのね
あとはみんな昔のよう
わたし
ひとりぼっちで歩いてゆくわ
ほら想い出はもう風色よ
掌にひんやり青いリンゴ
高い枝にひとつだけ
背のびしたらとれちゃったの
知らないまに変わったのは
あなたじゃない わたしなの
あとはみんな昔のよう
わたし
ひとりぼっちでもだいじょうぶ
ほら想い出はもう風色よ


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 64
#松本隆 #詩集
☆『ポケットいっぱいの秘密』
ひみつ
ないしょにしてね 指きりしましょ
誰にも いわないでね
ひみつ
ちいちゃな胸の ポケットのなか
こぼれちゃいそうなの
あなた 草のうえ ぐっすり眠ってた
寝顔 やさしくて
「好きよ」ってささやいたの
ひみつ
ないしょにしてね 指きりしましょ
誰にも いわないでね
ひみつ
ちいちゃな胸の ポケットのなか
こぼれちゃいそうなの
あなた 片目あけ 笑いだしちゃうの
ずるい 眠ったふり
わたしこまっちゃったな
ひみつ
ないしょにしてね 指きりしましょ
誰にも いわないでね
ひみつ
ちいちゃな胸の ポケットのなか
こぼれちゃいそうなの
わたし 草のうえ かけるおもいきり
やだわ どうしましょ
空に逃げちゃいたいな
ひみつ
ないしょにしてね 指きりしましょ
誰にも いわないでね
ひみつ
ちいちゃな胸の ポケットのなか
こぼれちゃいそうなの
ひみつ
ないしょにしてね 指きりしましょ
誰にも いわないでね
ひみつ
ちいちゃな胸の ポケットのなか
こぼれちゃいそうなの


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 55
#松本隆 #詩集
☆『摩天楼のヒロイン』
これが夢なら覚めないで
こんな素敵な夢ならば
摩天楼にこしかけ マニキュアぬる
きみはまるで映画のヒロイン
使い古しの愛なんてあたしに似合うはずもない
灯を点けてよシャンデリア
あたしの顔が
いちばん綺麗に見えるように
これが夢なら覚めて欲しい
こんな悲しい夢ならば
きみの残したくちべに紅く燃えてる
ワイングラスにくちづけた夢


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 151
#松本隆 #詩集
☆セントラル・パー
そう8時に 逢って欲しい
人のざわめく 原宿セントラルパーク
珈琲皿の 音と影に
時をスプーンで混ぜて 俺は待つだろう
光る文字は カサブランカ
暗くて淋しい 胸にまたたくよ
遠く流れる アメリカン・チューン
あの頃君が好きな イーグルスかい
空っぽだよね 俺たちは
何もないから愛だった
ビルの谷間から 青空がのぞく
ポッカリあいた 俺の心に似合いだね
騒がしいよね この店は
祭りみたいな 恋だった
ピンボールマシーンの子守唄
転がるように 生きた心に似合いだね
転がるように 生きた心に似合いだね
そう8時に 待っているよ
あの隅の椅子 原宿セントラ・パーク

新着

ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 153
#松本隆 #詩集
☆『薔薇と海賊』
港に錨(いかり)を投げた都会は
夜の帆(かか)掲げた 海賊船さ
鴎を漁(あさ)った店は 『ジャマイカ』
ラム酒をあおって 酔いつぶれてた
Rosey お前は優しい娘だったよ
Rosey 朝まで介抱してくれたっけ
男は荒くれ 海賊なのさ
女をさらって 海へ旅立つ
行き着く港が 『不倖せ』でも
ベッドに薔薇を しきつめてくれ
かみそりみたいな月の明かりで
お前は口紅夜に溶かす
泣いてる背中が壁の鏡に
不幸はとっても決まる絵になる
Rosey お前を力で奪ったけれど
Rosey 心の中まで奪えなかった
いつでも都会は孤独な海さ
誰でも淋しい離れ小島さ
七つの海へと漂泊(さすら)う前に
ベッドに薔薇をしきつめてくれ
Rosey 俺にはあんまり深入りするな
Rosey 愛する資格も無い酔いどれさ
男は哀しい海賊なのさ
戦い敗れて沈む船だよ
『絶望』のドアを閉ざすかわりに
ベッドに薔薇をしきつめてくれ


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 152
#松本隆 #詩集
☆『ダンシング』
踊っておくれ タンブリンを手に
薔薇の小枝くわえて 床ならしてくれよ
ルビーの紅い星が 夜空をさす頃
夢の向こうから お前は俺を誘いに来るのか
Lonely feeling
見知らぬ楽隊(バンド)が 俺の耳もとを
横切って 取り囲む
寒い孤独を 吹き消してくれよ
OSAKA CITY
夜はまだ優しさの 腕の中だよ
スカートの赤が風に翻り 拍車をかける
汗が光って とても素敵だ
そうさ 今夜は熱い渦の中
OSAKA CITY
街の灯が 俺たちの夢の舞台さ
そうさ 今夜は熱い渦の中
……そうさ 今夜は熱い渦の中
ダンシング ダンシング……


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 150
#松本隆 #詩集
☆『恋のブギウギ』
シルクの服を風に乱して
お前の頬が炎えている
うるむ瞳が Ah-
俺をつらぬいた夏
俺の両手は夢の飛行機
お前を空に漂わす
白い吐息が Ah-
好きと繰り返す夜
チョット気どってブギウギ
揺れる体はR&B
お前の心を抱えて
朝が来るまでR&R
迷う暇など与えはしない
めまいのような恋の中
チョット気どってブギウギ
揺れる体はR&B
お前の心を抱えて
朝が来るまでR&R
ぬくもりだけを抱きしめながら
二人は踊る夜の中


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 149
#松本隆 #詩集
☆『哀愁トゥナイト』
あなたはマッチを吹き消して
煙草を吸う手が決まってる
ぬくもり重ねたあなたとは
別人みたいに
醒めた顔 醒めた顔
空々しいよ
今夜出逢えてよかったなんて
哀愁トゥナイト 哀愁トゥナイト
男と女 抱きあう前までゆらめくけれど
哀愁トゥナイト 哀愁トゥナイト
身体はなせば 心寒々冷えるだけ
今までいくつのまなざしが
あなたの素肌をかすめたろう
ポツリ話した生いたちも
淋しい笑いで
ごまかした ごまかした
空々しいよ
素顔を見せて泣けばいいのに
哀愁トゥナイト 哀愁トゥナイト
男と女 言葉も忘れてひきあうくせに
哀愁トゥナイト 哀愁トゥナイト
身体はなせば 別れをおすおず切り出すよ
空々しいよ
遊び上手を演じるなんて
哀愁トゥナイト 哀愁トゥナイト
男と女 抱きあう前までゆらめくけれど
哀愁トゥナイト 哀愁トゥナイト
身体はなせば 心寒々冷えるだけ


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 148
#松本隆 #詩集
☆『真夜中列車第二便』
片道切符が二枚 一枚はボクの
もうひとつは君の 使わなかった切符
午前二時発の 最終列車の
汽笛が聞こえたかい
君が乗らなかった列車の悲しいさけびだよ
こわれた愛を君は ならべ変えていたね
愛し合えばそれは傷付け合う事だった
あの街がちょっと ひどすぎただけさ
ぼくらのせいじゃないよ
もうふり向かないよ 君の街が遠ざかるよ
ぼくらのせいじゃないよ
もうふり向かないよ 君の街が遠ざかるよ
シュル シュル シュル …………


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 147
#松本隆 #詩集
☆『ジュ・テーム』
南の海じゃもう半袖の
恋人たちがあふれてるって
あなたの腕でまどろんでいると
ひと足早い夏が広がる
ジュ・テーム ジュ・テーム ジュ・テーム
あなたの胸にまごころ重ね
ジュ・テーム ジュ・テーム ジュ・テーム
捧げるものはそれしかないの
ギターの弦が震えだすように
響き合うのよ 揺れる 揺れる 揺れる 愛の調べ
哀しく響く電話のベルが
夢の後ろに遠のいてゆく
臆病だった昨日までの私
あなたの色で塗り替えて欲しい
ジュ・テーム ジュ・テーム ジュ・テーム
あなたを知って変わる私を
ジュ・テーム ジュ・テーム ジュ・テーム
時はやさしく見守るでしょう
愛はそよ風手に掴めないもの
漂うふたり 揺れる 揺れる 揺れる 愛の調べ
ジュ・テーム ジュ・テーム ジュ・テーム
愛の言葉は不確かだから
ジュ・テーム ジュ・テーム ジュ・テーム
このぬくもりを信じたいのよ
炎のように美しく燃えて
感じあうのよ 揺れる 揺れる 揺れる 愛の調べ


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 146
#松本隆 #詩集
☆『シティー・ライト』
夜の丘に車を休息ませて
宇宙の両手に抱かれようよ
闇に浮かぶ都会のスパンコール
あなたの吐息が空を渡る
この世界中に二人しかいない
ささやいて ささやかれ
翔ける夜空
あれは港 違うわ船の灯よ
二人の言葉が重なる夜
風がやんで時計が止まっても
飛び立つ心は地平線へ
この世界中に二人しかいない
彩って 彩られ
月の光
くもる玻璃なぞった指さきに
微かに炎えたつシティー・ライト
微かに炎えたつシティー・ライト


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 145
#松本隆 #詩集
☆『ゆめまくら』
Dreamin' 恋なんて
Blue Blue Dreamin'
意地悪な夢です
ひとりぽっちのまどろみは
Blue Blue Dreamin'
胸騒ぎばかり
迷路のような街角を
あなたは駆けて行く
追いかけようとするけど
この靴が動かない
しっかりつかんでいないと
愛は逃げるでしょう
あなたと生きる青春
哀しい正夢ですね
Dreamin' そよ風が
Blue Blue Dreamin'
揺り起こす朝です
眠ってる間に泣いたのか
Blue Blue Dreamin'
朝焼けがにじむ
夢のあなたは旅仕度
陽炎揺れる路
振り向く頬に
別れのくちづけが苦かった
追っても追っても逃げてく
人の倖せね
あなたと生きる青春
哀しい正夢ですね
Dreamin' そよ風が
Blue Blue Dreamin'
揺り起こす朝です
眠ってる間に泣いたのか
Blue Blue Dreamin'
朝焼けがにじむ
Dreamin' 恋なんて
Blue Blue Dreamin'
意地悪な夢です
ひとりぽっちのまどろみは
Blue Blue Dreamin'
胸騒ぎばかり
Dreamin' ラ・ラ・ラララ
Blue Blue Dreamin'
ララララ…


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 144
#松本隆 #詩集
☆『ヨーヨー』
いつもならプイと横向いて
そのまま何処かへ消えても
三日も待てずにあやまる
あなたが来ない
いつもなら好き?って聞く時は
両手を広げて これだけ!
飛び込む心を包んだ
あなたがいない
あなた行ったり来たり
行ったり来たり
人の心は掴まえきれない
ヨーヨー ヨーヨー
行ったきり もう戻らない
いつもなら走るバスの窓
素っ気なく背中向けてた
あの日に限って手を振り
あなたは消えた
いつもなら他の誰かさんと
仲良く話をしても
ただの寄り道と笑った
あなたは何処に
あなた行ったり来たり
行ったり来たり
愛はいつでも不確かな遊び
ヨーヨー ヨーヨー
悲しみは ただ空廻り
子供が帰った日暮れ坂
ヨーヨーがひとつ転がる
遊びあきられた淋しさ
坂を転がる
あなた行ったり来たり
行ったり来たり
人の心は掴まえきれない
ヨーヨー ヨーヨー
糸が切れ もう帰らない


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 142
#松本隆 #詩集
☆『氷イチゴの頃』
氷と書いた白いのれんが
今年も夏を知らせます
あなたと食べた氷イチゴは
今日も涙の味します
カンカン照りの街の公園
あなたと木陰捜したわ
せみが泣き止む木によりかかり
初めてキスをしましたね
ひと夏で燃えつきた
青春はうすばかげろう
羽のような悲しみ残し
愛はどこに消えたのでしょう
あなたの部屋で夜遅くまで
野球ナイター見ましたね
泊まって行けと投げた言葉に
プイと横向きホラ三振!
あなたがくれたカセットテープ
声で綴ったラブレター
聞き終ったらスパイ映画の
ように消えてた恋でした
ひと夏で燃えつきた
青春はうすばかげろう
羽のような悲しみ残し
愛はどこに消えたのでしょう
愛はどこに消えたのでしょう


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 141
#松本隆 #詩集
☆『グッドフィーリング』
Good Feelin' Good 空が晴れたら
Good Good Feelin' Good 旅に出ようよ!
Good Feelin' Good コインは表
Good Good Feelin' Good 今日はツイてる!
あなたは駅で待っててほしい
頑固なパパを撤いてゆくから
ホット・ドッグと漫画を買って
郊外電車 飛びのっちゃうわ
授業サボってあなたと二人
すれ違うのはラッシュの電車
たった一度の青春なのに
ねえ 灰色に塗りたくないわ
Good Feelin' Good 打ち明けちゃうわ
Good Good Feelin' Good あなたが好きよ!
あなたの肩でいねむりしたら
東海道はもうひとっ飛び
トンネル抜ける闇にドキドキ
ずるいあなたはキスをぬすんだ
名前も知らぬ駅で降りれば
ホームの風に揺れるスカート
マリリン・モンローみたいだよって
ねえ ひやかしたあなたは嫌い
たった一度の青春だから
ねえ 自由にね生きてみたいの
Good Feelin' Good 空が晴れたら
Good Good Feelin' Good 旅に出ようよ!
Good Feelin' Good コインは表
Good Good Feelin' Good 今日はツイてる!
Good Feelin' Good 打ち明けちゃうわ
Good Good Feelin' Good あなたが好きよ!
Good Feelin' Good 打ち明けちゃうわ
Good Good Feelin' Good あなたが好きよ!


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 140
#松本隆 #詩集
☆『いじっぱりな私』
あゝ今は誰にも 逢いたくはない
そんな私だから
あゝ頬の涙は 今は誰にも
見られたくないの
思いがけないあなたの電話
途中で切ってごめんなさいね
忘れたはずの優しい声に
涙で何もこたえられない
も一度僕とお茶飲もうって
うれしいけれど遅すぎました
編みかけセーターほどいた日まで
その一言を待っていたのに
あゝ今は誰にも 逢いたくはない
そんな私だから
あゝ頬の涙は 今は誰にも
見られたくないの
少女漫画によくある話
そう友達はなぐさめるけど
街で他の娘 連れてたあなた
許せなかった いじっぱりです
本を読んでも字がかすんでる
ラジオ聴いても耳すり抜ける
この悲しみがうすれるまでは
部屋にカギかけとじこもります
あゝ今は誰にも 逢いたくはない
そんな私だから
あゝ頬の涙は 今は誰にも
見られたくないの
あゝ今は誰にも 逢いたくはない
そんな私だから
あゝ頬の涙は 今は誰にも
見られたくないの


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 139
#松本隆 #詩集
☆『学生通り』
授業帰りに麻雀してる
あなたにいつも待たされました
怒った君も可愛いいなんて
肩を抱かれた駅までの道
二人が出逢った学生通り
横切るあなたが見えるようです
あの頃ノートを写した店で
もう一度だけ逢えないですか
涙にじんだあなたの写真
破こうとしてまた泣きました
ディランの唄を好きになってから
あなたは人が変わりましたね
転がる石のように生きると
試験サボって髪ものばした
あなたと通った学生通り
今では電車で通るだけです
あなたの下宿訪ねて行って
カレーライスをつくりましたね
これじゃお嫁に行けないよって
あなたの笑顔にくらしかった
人は出逢ってそして別れて
別々の道歩きはじめる
もしもあなたを忘れられたら
その時 青春 卒業します
もしもあなたを忘れられたら
その時 青春 卒業します


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 138
#松本隆 #詩集
☆『ジェラシー』
ジェラシー 色づく木(こ)の葉に
(ジェラシー) 胸が騒ぐのは
ジェラシー 心のすきまに
(ジェラシー) あなたがいるせいよ
テニス・コートで ボール打つ手に
キラリと光る ハートの指輪
それは誰から もらったのでしょう
ささいな事が 気にかかるのよ
フフンと 笑って拗(す)ねてみたり
クスンと 涙をふいてみたり
こんなに 心が揺れているのは
やっぱりあなたを 好きな証拠ね
ジェラシー 素敵な誰かを
(ジェラシー) ひとり占めしたい
ジェラシー 女の子ならば
(ジェラシー) 自然な感情よ
バス・ストップで「あなた さよなら」
公園さえも 素通りにして
半年たって 手も握らない
何か訳でも あるのでしょうか
クルリと 背中を向けてみたり
ムッツリ くちびるとがらせたり
こんなに 心が悩ましいのは
やっぱりあなたを 好きな証拠ね
ジェラシー 素直になれない
(ジェラシー) 私を許して
ジェラシー わがまま言う子は
(ジェラシー) 淋(さみ)しがりやなのよ


ミチフミ龍之介
風のQuartet
〜松本隆作品詩集 ♯ 137
#松本隆 #詩集
☆『ハローサンシャイン』
ハロー サンシャイン
ありふれた言葉だけれど
ハロー サンシャイン
あなたは私の太陽みたい
くすぐったいわ 私の胸に
砂をこぼして 好きと書くのね
ビキニを着てる 他の誰かに
瞳(め)うつりしたら つねるかもね
アイスクリームとけないうちに
瞳(め)をつむるから
優しいキスで私の胸を
バラ色に 染めて
ハロー サンシャイン
真夏の光を浴(あ)びると
ハロー サンシャイン
見えない気持ちがはっきり読める
くすぐったいわ 熱い背中に
オイル塗ってる あなたの指が
空の青さが 海にとけたら
ボート浮かべて 漂ようのよ
コーラがひとつストローふたつ
おでこを寄せて あなたの瞳
くらくらゆれる まぶしくてこわい
ハロー サンシャイン
真夏の光を浴びると
ハロー サンシャイン
裸の心をぶつけたくなる


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 136
#松本隆 #詩集
☆『ビートルズはもう聞かない』
ビートルズはもう聞かないなんて きみは言ってたね
吸えない煙草に火を点けて 涙もこぼさずに
出て行ったきみと 入れ違いに訪れた孤独
涙さえ見せてくれれば 引きとめられたのに
さよならきみと過した日々よ
燃えつきた愛の重さ ただそれがふたりの真実さ
ビートルズはもう聞かないなんて きみは言ってたね
すりきれたレコードだけが 悲しみ廻してる
素顔のきみがああ好きだったのに くち紅つけてたね
過ぎゆく季節がきみを変え ぼくをも変えたのか
さよならぼくの短い春よ
ポスターのあとも今はただ壁の白さが眼に沁みる
ビートルズはもう聞かないなんて きみは言ってたね
すりきれたレコードだけが 悲しみ廻してる


ミチフミ龍之介
〜松本隆作品詩集 ♯ 134
#松本隆 #詩集
☆『仁義なき戦い』
只今 彼女と冷戦中
にらんで見合って そっぽを向いて
乱れ飛ぶよ火花 嵐まえは静か
おこった彼女も 魅力的だね
泣くのはいつもの奥の手
負けるなガンバレ涙は手強い
仁義なき戦い
誤解でやきもち無実の罪
うたぐり深くて 手に負えない
黙りこくる背中 噴火まえの火山
一触即発 乞う御期待
切り札するどい爪だよ
負けるなガンバレ油断は禁物
かよわき男よ
泣くのは奥の手
負けるなガンバレ
…

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