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ミチフミ龍之介

ミチフミ龍之介

風のQuartet
    〜松本隆作品詩集  ♯ 83

#松本隆 #詩集


☆『ひぐらし』

ねえ私たち恋するのって
鞄ひとつでバスに乗ったの
マクドナルドのハンバーガーと
煙草はイブをポケットに入れ

御殿場までが矢のように過ぎ
緑の匂い胸にしみるわ
昔はカゴで通ったなんて
雪の白富士まるで絵のよう

読んだ漫画をあなたはふせて
内緒の声で耳打ちばなし
スーツを着てるあいつを見ろよ
三億円に似てないかって

最後に吸った煙草を消して
空の銀紙くしゃくしゃにした
窓に頬寄せ景色見てると
時の流れをただようようね

ガラスに映るあなたの寝顔
私はふっとため息ついた
生きてる事が空しいなんて
指先みつめ考えてたの

日暮れる頃に京都に着くわ
それは涯ないひぐらしの旅
あなたと二人季節の中を
愛はどこまで流れてゆくの
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ミチフミ龍之介

ミチフミ龍之介

風のQuartet
    〜松本隆作品詩集  ♯ 121

#松本隆 #詩集


☆『わかれの会話』

夕立ちの窓に頬寄せる
君はもう少女じゃないね
昔なら稲妻それは
ぼくの手に抱きついたのに
ひどいわ今も私の
くちびるはふるえているの
心の奥まで見透しそうな
あなたの瞳がとてもこわいのよ

あの頃の君はミニスカート
今よりも無邪気だったよ
亜麻色の髪にもパーマかければ
ほら色も褪せるさ
ひどいわ時が過ぎれば
人は皆変わるものだわ
ぜんまい仕掛の人形じゃない
涙も流すし胸も痛むもの

どう言えば君を傷つけず
この部屋を出てゆけるのか
お別れにくわえた煙草に
君の手で火をつけてくれ
ひどいわ愛の炎に
灯をともすマッチは無いの
あの日もこうして爪さきだって
くちづけしたのも遠い夢なのね

二人の間で小さく燃えた
心の炎をどうぞ消さないで
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ミチフミ龍之介

ミチフミ龍之介

風のQuartet
    〜松本隆作品詩集  ♯ 144

#松本隆 #詩集


 ☆『ヨーヨー』

いつもならプイと横向いて
そのまま何処かへ消えても
三日も待てずにあやまる
あなたが来ない

いつもなら好き?って聞く時は
両手を広げて これだけ!
飛び込む心を包んだ
あなたがいない

あなた行ったり来たり
行ったり来たり
人の心は掴まえきれない
ヨーヨー ヨーヨー
行ったきり もう戻らない

いつもなら走るバスの窓
素っ気なく背中向けてた
あの日に限って手を振り
あなたは消えた

いつもなら他の誰かさんと
仲良く話をしても
ただの寄り道と笑った
あなたは何処に

あなた行ったり来たり
行ったり来たり
愛はいつでも不確かな遊び
ヨーヨー ヨーヨー
悲しみは ただ空廻り

子供が帰った日暮れ坂
ヨーヨーがひとつ転がる
遊びあきられた淋しさ
坂を転がる

あなた行ったり来たり
行ったり来たり
人の心は掴まえきれない
ヨーヨー ヨーヨー
糸が切れ もう帰らない
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ミチフミ龍之介

ミチフミ龍之介

風のQuartet
    〜松本隆作品詩集  ♯ 124

#松本隆 #詩集


☆『カントリー・ロード』

いつか私が20才になって
ブルーのダットサン手に入れたら
ふるさとの町 飛んでゆくから
ラララ 私をお嫁にしてね
青い空と緑の丘
こんな処であなたと
小さな家たてたい
Country Road
手をつなぎなさいな
いついつまでもはぐれないよう
Country Road
さあ歩きなさいな
愛は果てない一本道だから

もしも私が傷つきながら
グレイの都会逃げて来たら
グリーンの草の指輪をはめて
ラララ 私をお嫁にしてね
風の香り 土の匂い
こんな処であなたと
小さな家たてたい
Country Road
涙、お拭きなさいな
昨日の夢は振り向かないで
Country Road
さあ走りなさいな
愛は果てない一本道だから
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ミチフミ龍之介

ミチフミ龍之介

風のQuartet
    〜松本隆作品詩集  ♯ 118

#松本隆 #詩集


☆『ピアニシモ・フォルテ』

雨上がりの橋を渡り
あなたは消えたの
私たちの間に流れる
河はにごり水かさを増すの

手をかざしてくれる人もいないから
涙の河さらわれそう
誰か 誰か助けてください


愛は白い花びらのように
にごり水にのまれてしまいそう
動かない橋のように
強い愛 胸と胸に架けたかった
そんな夢も洗い流された

雨上がりの橋の上で私は泣いたの
愛はいつもピアニシモ
悲しみはフォルテ


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ミチフミ龍之介

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風のQuartet
    〜松本隆作品詩集  ♯ 141

#松本隆 #詩集


 ☆『グッドフィーリング』

Good Feelin' Good 空が晴れたら
Good Good Feelin' Good 旅に出ようよ!
Good Feelin' Good コインは表
Good Good Feelin' Good 今日はツイてる!

あなたは駅で待っててほしい
頑固なパパを撤いてゆくから
ホット・ドッグと漫画を買って
郊外電車 飛びのっちゃうわ

授業サボってあなたと二人
すれ違うのはラッシュの電車
たった一度の青春なのに
ねえ 灰色に塗りたくないわ

Good Feelin' Good 打ち明けちゃうわ
Good Good Feelin' Good あなたが好きよ!

あなたの肩でいねむりしたら
東海道はもうひとっ飛び
トンネル抜ける闇にドキドキ
ずるいあなたはキスをぬすんだ

名前も知らぬ駅で降りれば
ホームの風に揺れるスカート
マリリン・モンローみたいだよって
ねえ ひやかしたあなたは嫌い

たった一度の青春だから
ねえ 自由にね生きてみたいの

Good Feelin' Good 空が晴れたら
Good Good Feelin' Good 旅に出ようよ!
Good Feelin' Good コインは表
Good Good Feelin' Good 今日はツイてる!

Good Feelin' Good 打ち明けちゃうわ
Good Good Feelin' Good あなたが好きよ!
Good Feelin' Good 打ち明けちゃうわ
Good Good Feelin' Good あなたが好きよ!
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ミチフミ龍之介

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風のQuartet
    〜松本隆作品詩集  ♯ 72

#松本隆 #詩集


☆『微熱少年』

俄か雨降る午後に 体温計を挾み
天井の木目 ゆらゆらと揺れて溶けだした

窓のガラスを叩く 野球帽子の少年の
ビー玉を石で砕いては空に撤き散らす
ほらね 嘘じゃないだろう
路面電車は浮かんでゆくよ 銀河へと

遠い電車の響き 路地から路地に伝染り
目覚めれば誰もいない部屋 夜が忍び寄る

ほらね 嘘じゃないだろう
路面電車は浮かんでゆくよ 銀河へと
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ミチフミ龍之介

ミチフミ龍之介

風のQuartet
    〜松本隆作品詩集  ♯ 143

#松本隆 #詩集


 ☆『東京メルヘン』

もうじきに もうじきに春が来るんですね
もうじきに もうじきに春が来るんですね

あなたにとって私など
ただの心の道草でしょう
寒いポッケで二人の手
あたためたのもおとぎ噺ね

つめたい人ね くちづけてても
あー肩ごしに遠くを見てる
どこか渇いたあなたの胸を
涙でそっと濡らしましょうか

もうじきに もうじきに春が来るんですね

恋人たちの街角を
耳を押えてただすり抜ける
あなたの腕に抱かれてた
想い出だけにおびえる私

つめたい人ね サングラスへと
あー街翳を映したあなた
古いブーツを投げ出すように
私の心 捨てるのでしょう

つめたい人ね 冬のコートを
あー着せかける無口なあなた
見せかけだけの春が来たって
風が身体を吹き抜けるでしょう

もうじきに もうじきに春が来るんですね
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ミチフミ龍之介

ミチフミ龍之介

風のQuartet
    〜松本隆作品詩集  ♯ 131

#松本隆 #詩集


☆『ガラスの腕時計』

あの日から動かない
腕時計があるの
はかなげに淋しげに
時間が止まってる
あの人の心を変えた
いじわるな季節の流れ
何故かしらとても憎くて ああ
文字盤に小石ぶつけた

あの日から廻らない
二つの針がある
もう二度と重ならぬ
心が止まってる
ひび割れた硝子の中に
想い出がくるめく私
午前2時57分 ああ
哀しみを繕いとめている

あなたは黒い歯車
わたしは白い歯車
噛み合わないままに
月日が空廻り
あの日から動かない
腕時計があるの
さびついたぜんまいに
明日が止まってる
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ミチフミ龍之介

ミチフミ龍之介

風のQuartet
    〜松本隆作品詩集  ♯ 110

#松本隆 #詩集


 ☆『夏の扉』

灼けた肌の色がうすらいでゆく
風も秋の匂いがするわ
眩しかった夏を見送るの あなたと――
熱い砂は冷えてしまったけれど
海に沈む夕陽のような
愛の炎 胸の奥で燃えるのよ
あなたがそばにいてくれるから

渡り鳥のように羽撃(はばた)きたいの
秋も冬も春も渡って
めぐる夏にまた海に来たい あなたと――
愛は日記みたい この新しい
白いページめくってゆくの
海がくれたあなたとの夏の日々は
心にきっと残るはずだわ
夏の海がくれた倖せを胸に秘めて
季節の扉 開けてゆくのよ
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ミチフミ龍之介

ミチフミ龍之介

風のQuartet
    〜松本隆作品詩集  ♯ 133

#松本隆 #詩集


☆『水無し川』

北から吹いた風に 追われて
旅立つ僕を 許してくれよ
寒い都会に 行こうと思う
そこで仕事を 探すつもりだ
冬将軍の 足音がする
君をあたため 愛せもしない
この木枯しを 切り抜けたなら
いつか二人で 暮す日も来る
いつか二人で 暮す日も来る

水無し川も 昔はそうさ
空に届けと 魚がはねた
さらば冬枯れ やせた畑よ
便りのないは 無事だと想え
なけなしの夢 はたいて賭けた
いちかばちかは 男の賭けさ
君の汽車賃 送るかわりに
最後の酒に 酔うかもしれぬ
最後の酒に 酔うかもしれぬ

流氷が消えて 春になっても
君の気持ちが 変わらないなら
その黒髪を 切らないでくれ
僕はひと目で 愛を知るだろう
今はこらえろ いとしい君よ
あゝ人生は 廻り舞台だ
吹雪のあとに 春の陽射しが
花に酔ったら その時泣こう
花に酔ったら その時泣こう
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