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にゃめ

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俳句と短歌と詩と随筆が好きです。将棋も好きです。ごく普通の平凡なタイプだと思います。よろしくお願いします🙂🍎
村上春樹
短歌
文学
にゃめ

にゃめ

掌編小説📖
「今日1番のプレゼント」🎁✨

冬の夜が静かに暮れてゆく。
僕は食卓で煙草を燻らしていた。
彼女が朝から親友と出かけて、久しぶりに
独りを満喫していた🌃

用意してくれた食事を済ませて、普段は換気扇の前で吸えとうるさい煙草も、ゆっくり吸える。
正直、久しぶりの独りは嬉しかった🍀
朝からだらしない格好でダラダラとゲーム三昧🕹
観たい映画を観て、疲れたら眠る。
誰にも何も言われない。最高だ🌸

夕食を食べながら独り分の食事だけだと
食卓が広いなとふっと思う。
ゲームも飽きた。映画も飽きた。
ごろりと横になる。誰にも何も言われない。
煙草も自由に吸えるんだけど…。🚬

さっきから時計ばかり見ている。
壊れてるんじゃないかと思うくらい、時間が
経たない。
起き上がり学生時代やった卓球の素振りの
フォームを繰り返す🏓

僕は選手で彼女はマネージャーだった。
青春の煌めいた日々のなか、少しずつ仲良く
なった。初めてのデートは緊張したなあ。
一緒に行った美術館。モネの絵は綺麗だった。

またごろりと横になる。
静かに夜が暮れてゆく。目を閉じて昨日の
事を思い出す。彼女が親友の事を楽しそうに
話していた。もっときちんと聴いてあげれば
良かったな🌌

ドアの開く音がした。
「ただいまー」
聴きなれた彼女の声。
「おかえり」
苦笑する。自分の声の何とはしゃいでいる事。
ゲームより映画より今が今日1番ワクワクしてる。
僕は起き上がると玄関先まで、弾んだ足取りで
彼女を迎えに行った。🌸

#おはようございます
#ファインダー越しの私の世界
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GRAVITY13
にゃめ

にゃめ

掌編小説📖
「冬暖かは冬の季語」☃️🌸

冬とは思えない暖かで穏やかな陽射しが
降り注いでいた。
僕は馴染みの公園でゆっくり背筋を伸ばす。
黒猫のジジ。有名なアニメのキャラクターの名前を付けた、この公園の野良猫。

今日は居ないのかな。数人の小学生達が遊んでいる。元気な笑い声が響く。
ふっと自分の子供の頃を思い出す。
近所の草はらでの草野球。
夕暮れが街を包むまで遊んでいた。
あの頃の友達は元気だろうか。
みんなきっと日々の暮らしを懸命に頑張っているだろう。

野良猫の平均寿命は約5年。飼ってあげる余裕は無い。ポケットのチュールを触る。
居ないのかな。もしかしてもう亡くなったのだろうか。明日を夢見るのが難しい時代。人も猫も大変だ。

「ニャア」
脚元で声がした。ジジが小さな軀で擦り寄っていた。手を伸ばすと戯れてくれた。
抱えて声をかける。
「お互い大変だけど何とかやって行こうよ」
ポケットからチュールを取り出してジジに与えた。美味しそうに食べている。
ジジの背を撫でながら空を仰いだ。

穏やかな陽射しが降り注ぐ。雲が煌めいていた。
生きているんだな。今この時を。僕もジジも。
ふいに温かな感情が込み上げて来た。
大丈夫。きっと大丈夫。
子供達の笑い声が響煌めく渡っていた🍀

#ファインダー越しの私の世界
#音楽をソッと置いておく人
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