
まりあんぬ

まりあんぬ
あなたの側に
想いだけ
飛ばして 晩夏
朝焼けの空
#短歌 #tanka


まりあんぬ
本当はね
結局のところ
いつだって
一日は24時間
良い時も 悪い時も
24時間
同じだけ
時は流れて 終わってゆく
24時間
いつだって
一日は同じなのに
長かったり 短かったり
辛いときは長くて
楽しい時は早くて
同じ長さなのに
なんて不思議なことでしょう
だから
辛いときには
一日は24時間なんだからって
過ぎてゆくんだと
終わりがすぐにくると
ちょっとだけ
通り過ぎるまで
ちょっとだけ 沈黙
ちょっとだけ
ちょっとずつ なら
もうちょっと 進んでいける
時の流れは早くて
春も夏も
気が付いたら秋で
そして冬がきて
一年も終わるのだから
24時間は束の間
すぐ終わる
そうやって
生きている大変なこと
超えながら 時を過ごす
こんにちは
今日もまた
同じ24時間を
なるべくなら
微笑みの中で
ちょっとずつ
時を刻んで
☆写真は愛猫ノエル

Davidsbündlertänze, Op. 6: No. 2. Innig

まりあんぬ
忘れてしまいなさい
って あなたはいうけど
それでいいの?
忘れたら 終われるの?
さらさら流せたら
流せたらいいけれど
何かを置き去りにするようで
不器用なわたしは
じっと立ち止まってしまう
いっそ記憶ごと
ナイフでごっそり抉り取って
ゴミ箱に捨ててしまえたら
空っぽになれたなら
あるのは今と未来
こびりついて離れない
黴のような過去は消えていくのか‥‥
けれど
忘れてしまってよいの?
傷ついたなら
それは何か意味があって
そうなら‥‥
こんな事を話したのは
忘れてしまいなさい なんて
欲しいのはそんな答えじゃなく
胸のきずに
ただ 手をあててほしかっただけ
忘れてしまえるの?
あなたは
忘れたら何が変わる?
わたしは終われない
終わりたくない

aqua

まりあんぬ
眠れない夜
窓辺で夜空を見上げれば
空に浮かぶ星達が
何か言いたげに瞬いている
あの星は
あれは君の瞳?
ただ瞳だけが星となって
キラキラと笑っている
君が降りそそぐ夜空
星との対話は
煌めく微笑みに満たされて
今宵 また
さよならの君を
この窓辺で待っている
遥か遠くにしかいない君を
消えた君が
キラキラと笑っている
ただ瞳だけが星となって
君が 夜空に浮かんでいる

月の光

まりあんぬ
亀裂の入った胸に雨が降る
行き場のない悲しみが
降り重なって
頑丈な化石になってゆく
「強くみえるでしょ
疵なんて どこにもないって」
頑丈な化石が
見えないほんとうを隠す
誰が探してくれるだろうか
見えないほんとうを
仮面の下で
こっそり泣いてるわたしを
「真っ直ぐに球を投げても
返ってこないのは
壁が歪んでいるからですか
さみしいものですね
優しげなだけのあなた」
寝落ちして
目が覚めれば雨
窓の外 降りしきる雨
雨音に疵が疼くから
今は 甘い夢を見させて
人工甘味料より
もっともっと甘い夢を
生きてゆく簡単じゃないこと
優しさも正義も
自己陶酔できたなら 世界は終わる
終わりたくないわたしに
いまは 夢を見させて
ぐったりと
酔いしれたいのです
魔法の薬は
真夜中のシュークリーム
ひとしきり 雨音は消え
ねっとりと
甘い夢が絡みつく
眠りたくない夜だから
ワインは欲しくないのです


まりあんぬ
静かな日曜日の午後
隣に猫がいる
この部屋に動くものは他にない
真っ白な時間
高層マンションの部屋が
雲のように
ぽっかり 空に浮かぶ
梅雨の雨が窓に響いて
二つの心臓が呼応する
ニャウんと言うから
なんだ? と答えた
ゴロゴロ言って体を寄せるのは
I'm OK なんだよね?
君がニャおんと答えれば
わたしも I'm OK
いつだって
こうしていれば It's OK
人も猫もない
ただここで共に過ごす
この狭い空間で
同じ重みを支えあって
人である必要もなく
猫である必要もない
君には私がいて
私には君がいる
人に限りなく近い君と
猫に限りなく近い私が
完璧なる静けさの中に
そんな雨の午後
真っ白な時間を分け合って
今日を何色に染めようか
空に虹がかかるだろうか
雨上がりの空に


まりあんぬ
月のない雨上がりの夜
湿った空気が
仄暗い裏路地に纏いつく
雨に滲んで
古い記憶が
うらめしさを忘れ
わたしを手招く
血の滲む瘡蓋を 破れ
無理やり隠してきた
一枚一枚
折り畳んだ想いが
夜に解れて浮遊する
気づけば
ほつほつと
紅い鬼火が燃えて
ぼんやり悲しい音を立てている
路地裏の片隅
あれは
赤い鬼火は
わたしだろうか
こんな夜には
忘れようにも忘れられない
埋もれていた感情が
鎖を解いて
赤い鬼火となり
暗闇を彷徨う
「もう来ないで」
やがて朝が来て
空が白む頃
わたしはまた
素知らぬ顔で
何も無かったように
いつもの時間へと戻ってゆく
体から消えない残り火を
追い出すことも出来ないままに
月のない雨上がり
夜には
赤い鬼火がやってくる
いつまでも消えない
心の染みを燃やして


まりあんぬ
花の季節でした
その人は横たわったまま
夢を見ているようでした
「もうすぐ出掛けなければ
だから眼を開けてください
真っ黒な車が迎えにくるのです
髪を整えて
ドレスはどれにしましょうか」
今日は久しぶりのお出掛け
眠ったままなら
ドレスは私が選びます
クローゼットの奥
値札がついたままのモスグリーンのドレス
これがいい
戸口に声がした
「お迎えに参りました」
そしてその人は
眠ったまま
私を置き去りに出て行きました
もう起きるはずも無いその人を
私は真っ黒な服を着て
追いかけました
鐘の鳴る小さな教会で
その人は
白い箱に入って眠ったままでした
何かを待っているように
「お好みはどの色ですか
冷たく凍る唇に 頬に
紅を差しましょう」
幾分華やいだその人は
眠りから覚め
少女のように微笑んでいました
真っ黒の服を着た人達が
淡い色の花を手向けて
眠っているその人の傍を
花いっぱいに埋めました
みんな微笑んでいました
花ばかり
そこには微笑みしかなくて
やがて密やかに迎えが来て
その人は
夢みるように旅立っていきました
遠すぎる国へ
私は着いていけませんでした
見送るしかなかったのです
花の香りが残る場所で
ただ
私は祈りを捧げていました
いつか再び会えるでしょうか
かけがえのないあなたに
その日をずっと待っていますと


まりあんぬ
蒼い夜
艶めく花は紅桜
水面に流れ 枝垂れ咲き
夜を彷徨う夢幻花
浮かぶ花影 ゆらゆらと
水の魔境に誘われ (いざなわ)れ
桜香に目眩 夜の海
ただ酔いしれて
夢の中
紅桜抱か(いだか) れるまま・・・・

The Shadow Of Your Smile

まりあんぬ
心の隙間に薫る風
ため息溶かす
甘き花の香(か)
見上げる空に詠ずれば
祈る言の葉


まりあんぬ
"花のバレリーナ"
妖精達が踊ってる
春風に
ふんわりふわふわ
踊ってる
花の色を映して
空は 淡くさくら色
香るさくらに染められて
揺らり揺られて
春の精
ふんわりふわふわ
ワルツを踊る
花のバレリーナ
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ワルツ集, 作品 39: 第15番 変イ長調

まりあんぬ
そんな顔をして見つめないで
あなたの知らないわたしが
背を向けれなくなるから
真っ直ぐな瞳を向けないで
視線をさえぎれない
焼き付くあなたのいまを
十字架のように
生きてる限り背負わせないで
太陽は昇ったままでなく
いつか沈み 夜に
また陽は昇るけれど
私たちの太陽は昇らない
焼けただれて落ちてゆくだけ
これから
通りすがりの他人より
私たちはもっと遠のいていくのだから
見つめないで
わたしを
なにもなかったように
私たち
見間違えただけ
ただそれだけ
哀しまなくてよい
誰のせいでもなく
星が決めただけ
だから
さよならを
出逢いのあの日のままで
舞い散る桜
乱れ散る花びらは忘れ形見
揺蕩う薄紅が震えるように
揺れる春
足音を密めて
消してしまいましょう
二人の日々を

Nocturnes, Op. 9: No. 2, Andante in E-Flat Major

まりあんぬ
花びらを
一枚一枚脱ぐように
重ねた歳を捨てていくの
ある日の誕生日
母が呟いた
花のような笑顔で
弥生三月
この世に送り出されたわたし
朝 病室の窓には桜が咲いていた
眼も開かないわたしに
見えたわけもない
それでも何故か
わたしは 殊更
桜が好きになった
春が来るたび桜を愛で
花びらを何枚も脱ぎ捨て
わたしをお母さんと呼ぶ頃
わたしの腕の中で
母は 空へ消えた
窓には桜
花散る桜
最後の写真
笑顔の向こうに桜
春風に撫でられ
白髪が光に揺れていた
桜 桜
春がくるたび
逢いにくる
消えた面影を連れて
浮かんでは消え
ゆらゆら
揺れて 隠れて
そしてまた
散りながら
幻と消えてゆく
散り積もる花びらは
母の忘れ形見
桜 逢うたび
わたしも歳を重ねて
あなたの言葉を思い出す
花びらを一枚一枚脱ぐように
重ねた歳を捨てていくの
弥生三月
気が狂わんばかりに咲く
桜を待ちながら‥‥

初恋〜映画「ニュー・シネマ・パラダイス」より(E.モリコーネ)

まりあんぬ
小さな小さな星達が
光に吸い寄せられ
地上に降りてきた
流れる星達は 一筋に
真白く化身
春風に粉雪を散らす
風花となって
揺れながら
春に目覚める
甘やかに 密やかに
身を薫らせて
煙るように
咲いて 咲いて
春 麗らかに
手招き 誘う
ふたたび星となる
その日を待ちながら・・・・
「純白の小さな花が細長い枝にまるで粉雪が被るように咲く雪柳。
春の光の中で流れ煌めく小さな星の集まりにも見えるのです。
群生すると煙るように咲く雪柳。
花の一つ一つは繊細なのですが命の旺盛さを感じます」

モーツァルト:きらきら星 変奏曲 - フランスの歌「ああ、ママに言うわ」による12の変奏曲 ハ長調 K.265

まりあんぬ
朝‥‥
扉が微かに開く
きみは密やかにやってきて
静かに身を寄せるから
手を伸ばし
抱こうとすれば
するり身を翻してしまう
たまには
ここでゆっくりしてごらん
逃げようとする君を引き止める
腕に力をいれて
無理だと知っていても
君ってやつは
身を寄せてくるくせに
一度だって
ベッドの中で
抱かれない
腕枕も抗う君
甘えたいのに
愛を握りしめてはいけません
壊れてしまうから
そっと
そっと
少し離れたところで
見守るのです
何年も一緒に暮らしてきた
君の領域を侵したりしない
無言の会話は
瞳を見つめて‥‥
互いに
眼差しを外さず
真っ直ぐに
この部屋が君の世界
わたしと君だけの
知っているのかな
ここからは逃げれないって
距離は少しずつ少しずつ
縮んでる
明日の朝は きっと‥‥
いつもの場所
ちょっとだけ離れたところ
浅い眠りについた 君を見ている
鳩の声だ‥‥
君は
途端にムクッと飛び起き
駆けていく
ジッと目を凝らし
ベランダを見つめてる
君ってやつは‥‥
なにもかもわかってる
同居人が鳩嫌いだって
わたしが見守るように
君も見守ってる
わたしを
たぶんきっとそう
何もかも見せてるのは
君だけ
少しだけ
距離をもちながら
愛を握りつぶさずに‥‥
瞳を見つめて‥‥

My Foolish Heart

まりあんぬ
焼け爛れた満月が
燃え尽き
地上に落ちてゆく
花達は
みじろぎもせず
ただ立ち尽くす
誰もいない闇に
乳母車 子守歌
いつか聞いた母の歌声
待っている
太陽の朝を
いかに暗い闇でも
耳に子守歌
黄色の花びら達に守られて
闇を裂く光を
見えない明日を

Sechs Klavierstücke, Op. 118: II. Intermezzo in A Major

まりあんぬ
遠く吹き抜けた風が
空を霞めて
さよならと
去ったあなたが
もう見えません
残された花は
涙を凍らせとじこめて
蝋の花になりました
何も言わず
想いを凍らせ
身を固く閉じた
蝋の花に
そして
抱きしめた想いが
光に透けて溶けたなら
残り香だけに
想いを残して
消えてゆくのでしょう
春陽を待たず
永遠に
蝋の花のままに・・•・

ショパン:ノクターン 第20番 嬰ハ短調 - 遺作

まりあんぬ

まりあんぬ

まりあんぬ

まりあんぬ
桜の空にたらちねの母


まりあんぬ
青い瞳の白猫ちゃん
お目目ぱっちり何してる?
お菓子の家よ
ケーキの匂い
甘い香りはバニラです
窓からこっそり覗いたら
足音立てず忍び足
お昼寝前に少しだけ
3時のおやつをちょうだいな
甘いケーキのそのあとは
屋根に戻ってお昼寝よ
ゴロニャンゴロニャン
夢見るの
内緒 内緒
秘密の夢を‥‥

夢はひそかに (ピアノ) 【『シンデレラ』より】

まりあんぬ
笑ってる
笑ってる
不思議だね
思い出って
あっちにいたときには
怒ったり泣いたりしてたのに
笑ってる
笑ってる
笑ってる
二度と会えないのだもの
笑っていて欲しい
笑ってる
笑ってる
笑ってる
君の笑顔に片えくぼ
笑っていて欲しい


まりあんぬ
側にいたけど
あなたは本当はいなかった
だからいまあなたは側にいないけど
寂しくない
ただ思い出だけにさようなら
明日天気になあれ


まりあんぬ
心に雨が降る日には
優しい言葉で話したい
怒りも
悲しみも憎しみも
のみ込んで
凍らせてしまえばよい
心に雨が降る日には
雨の音を聴いていたい
そして傘をさして
あなたといたい
空が晴れるまで
氷は溶けて雨も止むから
きっと明日は・・・


まりあんぬ
遠き日を
想い焦がれし紅の花
夕影映し
頬染めて
君の面影抱きしめる
黄昏に
独りひっそり
夜を待つ
優しき夜を‥‥

5 Poèmes: No. 1, Champs

まりあんぬ
わたしは
その人に本当を語らなかった
胸に凍らせた言葉達
それに気づかないまま
あなたは青い空を見ていた
空を翔びたいあなたを
束ねたくなくて
凍らせた言葉を
そのままに
手を広げて
あなたを見送った
いつか飛び去るのを知っていた
だから本当を凍らせた
遠い記憶にいる人に
わたしは本当を語った
言葉はどこまでも
深くその人の胸で溶けて
わたしは
その人の胸の中にいた
あの時
あの人の本当は?
遠くから吹いてくる風の匂い
帰らぬ時が
わたしの胸に
花一輪
時を超えて
めぐり逢ったあなた
忘れた記憶を手繰り寄せ
あなたの凍らせた言葉を
探ってみる
もうあなたは
わたしの側にはいないのだけれど
幻のあなたに聞いてみる
あなたの本当は?
無邪気な思い出だけが
浮かんでは消えてゆく
春の陽の中で

Suite for Krug in 2008: I. Movement (Arr. for Guitar by Jonathan Bockelmann)

まりあんぬ
白梅の花
光り咲き
夜空に浮かぶ
星の如くに

2 Arabesques, L. 66: No. 1 in E Major

まりあんぬ

まりあんぬ
揺ら揺らと
行きつ戻りつ
春の陽は
揺れる想いの
君惑う恋

ワルツ集, 作品 39: 9. ニ短調

まりあんぬ

まりあんぬ
誰かわからない状態ではお答えしようがありません。

まりあんぬ
寄るべなき花
君に似て
微笑(びしょう)の陰に
涙隠して

ヴォカリーズ, 作品 34-14

まりあんぬ
時の流れに侵食され
いつのまにか
羽をむしられた鳥のように
空を飛べなくなったから
もう奪わないで
そう祈るのに
いつのまにか また
剥がれ落ち
心の空洞が深くなるようで
消えた人の面影は
消えたのに
わたしの中にこびりついて
離れず つきまとい
手招きして
わたしを
放さない
失くしたものは
消えたのに
わたしを思い出の淵に
追いやる
帰らぬ時間
戻らない時
わたしを襲い
追いかけ
誰もいないのに


まりあんぬ
時の流れは
砂時計
ただ術もなし
とどめなきかな

Still Crazy After All These Years

まりあんぬ
密かに空を
染めにけり


まりあんぬ
羽ばたく翼
白鳥を
踊り子は舞う
夢の束の間

Daphnis et Chloe, Fragments symphoniques, Deuxieme serie M 57b I. Lever du Jour

まりあんぬ
白い花 咲いた
君の胸に
一輪 光 灯して
赤い花 咲いた
君の髪に
一輪 唇寄せて
青い花 咲いた
君の掌に
一輪 空を映して
春告鳥が舞い降りて
束ねてみてと
口ずさむ
小さなブーケ
風のリボンは蓮華色
陽の光に舞い踊り
君は微笑む春の精
春よ 春よと
誘えば
花達が寄せてくる
萌え出ずる緑
野に
その身を薫らせて
春の女王
桜花
その時を待ちながら

Arabeske, Op. 18

まりあんぬ
愛猫をヴィオラの花と一緒に。
AIで色んな世界に連れて行けて
楽しいな〜🥰

Bright Eyes

まりあんぬ
頬濡らし
行方知らずの
恋はいずこへ


まりあんぬ
猫は飛ぶ
寝ているわたしの顔の上を
真っ白なお腹をふわふわ見せて
まるで鯨の腹のようだ
落下するな
伸び過ぎた爪が頬に刺さる
今夜 君は
いつになく高く高く飛んで
月夜の野原を駆け巡る
深夜2時の運動会
nyawn nyawn
わたしは君より低い世界で
夜に漂う君を夢見ながら
眠りに落ちていく
君の帰りを
腕に待ちながら

ラヴェル:夜のガスパール(第1曲 オンディーヌ)

まりあんぬ
こんにちはって
あなたが来たから
扉を開けたの
あなたは
突然に
わたしの世界に入ってきた
白いふわふわな掌サイズの子猫
青い瞳はサファイヤみたい
トコトコと
電車に揺られてやって来て
わたしの掌にゴロニャン
それから七年
ずっと
あなたはわたしを放さない
行ったり来たり
隠れ家は二つ?
わたしの知らない世界
小さな部屋で
幾つもの世界を行き来して
わたしより
遥かに今を生きている
しゃがんでみたら
わかるでしょう
あなたの世界が
人よりずっと低いところ
でもね
ずっと高いところに
あなたは
跳んでいけるから
きっと
人が知らない世界を
知っている
だから
人よりきっと
たくさんを見てる
わたしの知らない世界
感じたことのないものを
瞳のブルーは透明な
穢れなき宇宙を
見ているのかも
そこへ
連れて行っておくれ
ふわふわと
風にまかせて
ふんわり
風に揺られて


まりあんぬ
消えないで
そう呟いた 胸の中で
ある日 祈るように
気まぐれな春風が
突然 風の色を変えたなら
離れていくあなたを
引き留めたりしない
行かないでと
けれど 消えないで
出会いの春
巡り巡って訪れた
さよならの今までを
蒼ざめた花の色さえ
気付かないなら
せめて
忘れないで
忘れないで
わたしがいた事を
あなたが
いつか星になっても
忘れないで
勿忘草の涙を

Sechs Klavierstücke, Op. 118: II. Intermezzo in A Major

まりあんぬ
憧れです。
こんな甘美な詩を書けるようになりたい。
やっぱり違うのです。
名のある詩人の方の詩は。
逆立ちしても到達できない領域です。
"紅梅"
石井春香さんの詩集
「紅の二重奏」から
息の底に身を沈める
やわらかな紅のうえに
紅をかぶせて
みやまの雪のたそがれに
あまやかな香(かざ)が散る
誰もいない
いなくてもいい
誰が見ていようと見ていなくても
ひたむきに咲く
空の深さにまでのばした
ゆびさきのしびれは
芯に向かうふるえ
決意は熱をおび
またひとつのつぼみをひらかせた
はだれ雪が舞う
あたりに紅がとけていく
Wt/ pin.it/lyaRPTtg6
photo by 河合栄樹

Chopin: Ballade No. 1 in G Minor, Op. 23

まりあんぬ
夜のパリ
闇の中でひとつずつ擦る三本のマッチ
はじめのはあなたの顔をいちどに見るため
次のはあなたの眼を見るため
最後のはあなたの唇をみるために
そしてそのあとの暗闇は
それらすべてを思い出すため
あなたをじっと抱きしめながら
ジャック・プレヴェール
大岡信 訳『やさしい鳥』
htts://pin.it/1DsJyoqBg/ t


まりあんぬ
好きな映画です。
原作は世界初の性別適合手術を受けた人物
リリー・エルベを題材としたデヴィッド・エバーショフによる小説『The Danish Girl』(邦題:『世界で初めて女性に変身した男と、その妻の髪の物語』)
リリーの妻はデンマークの画家ゲルダ・ヴェイナー。映画の中でこの作品を描いているシーンが登場しますが、夫であるリリーが女装してこの作品のモデルになっている様子が美しい映像になっています。
リリー役はエディ・レッドメイン
好きな男優ベン・ウィショーがリリーの恋人役として出演しています。

The Danish Girl