木立が囃すとおりゃんせ、とおりゃんせ伸ばした指先くっつけてお蔭で暗くて見えなくなった空長い坂道はいつの間に拓けて隠された暗がりに無頓着なまでの青空 抜けたまだ坂の途中からあの空は春のような顔してこっちへ手招きしてる早く来い、来いせっかち気味な空の手招き春はとっくに来ていたのに僕はまだ春になれずにいたそれを坂の天辺にいる抜けた青が僕の中で寝坊している春に忙しく呼びかけていた「春坂の空」星影 流#詩
心が溶けた、溶け出した言葉誰に見せる事も無い言葉誰も見ては、くれなくても別にいいさ、そんな言葉それを集めて、「詩」と呼んだそれを音にして、「歌」に詠んだ誰も見ては、くれなくても知らない何か、振り返らなくても誰かとすれ違うようなもの心が混ざる言葉の群れそれは顔を見せて歩いていのと同じ心と顔とはきっと同じ様に見えるそれが今まで溶かしてきた今ある全てのまま「言葉の顔」星影 流#詩#ソネット
何処かから聞こえてくる音を夢現に聞いていた不思議な音だった向かいの山の山頂の鐘撞堂から聞こえたものかいいや、冬季は入山できない筈だ鐘撞堂の鐘にしては随分、教会の鐘の音に似ていたらろんらろんごろらろん輪唱する鐘の音ららろんららろんごろろららろろん空の上からこんばんは天空の鐘のご挨拶不思議な音の正体を知らないままでいたいあれはきっと天空の鐘春を告げに風が鳴らした鐘の音「天空の鐘」星影 流#詩
涙に乗せた色一つ心が映る色一つ水色涙は悲しみ色誰も知らない悲しみを涙はちゃんと知っていて心の外に連れて行く海色涙は寂し色喪った寂しさが滲み出す悲しみよりも深い青沢山流して欠けた心を埋めていく黄昏色の涙には同じになった心が映る誰かの喜びが感染って流れる優しさで出来た涙色桃色涙は恋涙誰かを想って滲む色何度も流した水色が悲しさ失くした想い色赤色涙は嬉しい色心が温もりに染まる時温もりが滲みた揺れ動く心の熱い涙涙と出会う時どんな色の涙かを誰かが気付いてくれたならそれを分かってくれたなら涙は虹色空に帰る「涙の色」星影 流#詩
僕達は野に咲く花のように生きている僕達は花のように雌雄を同じくしている詩と言う名の花粉を飛ばしたりまた別の花粉を飛ばしてどこかの誰かの受容体に辿り着き刺激になったり、創意になったり、感動を産んだり、また何にも起こらなかったり、する僕達は感性の受容体の他にも幾つかの受容体を持っている様で「幸福」を感じる物があるらしい幸せ受容体は他の人の放った花粉や結実して出来た二次的花粉を受け取る受け取れば受け取れるほど受容体は豊かになって小さな出来事にさえ幸せに感じられるようになるらしい幸せ受容体を育てよう小さな事に大きく感謝を感じられる位に幸せ受容体を感じようあちらこちらにある幸せの花粉を感じられる位に「幸せ受容体」星影 流#詩#AIイラスト
僕達は野に咲く花のように生きている僕達は花のように雌雄を同じくしている詩と言う名の花粉を飛ばしたりまた別の花粉を飛ばしてどこかの誰かの受容体に辿り着き刺激になったり、創意になったり、感動を産んだり、また何にも起こらなかったり、する僕達は感性の受容体の他にも幾つかの受容体を持っている様で「幸福」を感じる物があるらしい幸せ受容体は他の人の放った花粉や結実して出来た二次的花粉を受け取る受け取れば受け取れるほど受容体は豊かになって小さな出来事にさえ幸せに感じられるようになるらしい幸せ受容体を育てよう小さな事に大きく感謝を感じられる位に幸せ受容体を感じようあちらこちらにある幸せの花粉を感じられる位に「幸せ受容体」星影 流#詩#AIイラスト
はにかみ屋のキミはなかなか顔を出さないいつもモジモジして隠れがちであのコとは違うキミの訪れはいつでも待ちくたびれて焦れったいそんなキミを待っている人を知っているから野に、田の畦に、その人の数ほどの土筆を出して応える事を僕は知っているつもりキミは、だけどまだ、はにかんだままでそっぽを向いて花を咲かせる風に隠れた「キミ=春」星影 流#詩
いつも通りでは無くなった「いつも」を何に置き換えるべきか悩んで、行き当たって立ち止まると、決まって甘いものを手に取るティラミスを一口忽ち、甘いマスカルポーネと一緒にマッタリそれが出来ると幸せだそれが出来ないとまた、行き当たるそれを楽しめる程の達観は未だ、ない「ティラiミス」星影 流#詩
眠っているのさ君や僕の中に思い出が感動が眠っているずっとくすくすと燻されて想いになれない花詞(はなことば)気付いて、捕まえた宇宙の様な心の中のあれやこれを素直なままで言葉にしたらそれは詩になる花詞「花詞」星影 流#詩
ずっと聴いていた潮の詩を赤子の頃より聴いてきたその詩を今は忘れてしまったその詩の母の胸で聴いた筈の潮の聲は今は思い出せないでいるけれどきっと、どこかに流れているあの厳しくも、優しい潮の詩が「潮の詩」星影 流#詩
僕の中にはいつも、ボクはいないどこかの空で歌っているから想像の中のだだっ広い空を自由を翼にして飛び回っているんだ目を閉じてごらんボクの歌がどこからか聴こえてこないか?淋しい時や堪えきれない時は目を瞑ったら飛んでくるボクにきっと、会える欲しい言葉で歌を歌うよ君に、誰にも一番よく似合う服を選ぶように髪を梳かすようにボクの歌を聞いて眠ると良い空飛ぶボクを想像の中で捕まえた後に眠ると良い「空飛ぶボクを捕まえて」星影 流#詩
迷い言葉は漆黒の黎明に。姿を探すよ、主人を探す、朝露に。早すぎる雨に。それから、朝霧に姿を紛らせて。意味を失ったから、何処へ向かおうかと、洗い流しているんだ。通ってきた道を。そうしてもっと、誰が言葉の主だったかを、すっかり忘れた言葉達が、終電の後の座席の、忘れられた傘みたいに、しょげた顔で…可哀想な言葉を、僕達は集めて…慰め、素敵な言葉のお布団に打ち直してあげよう。誰もが、この冬の街に心を冷やしているから。誰もが、忘れた言葉で蘇られる様に。迷い言葉は、いなくなる。朝の、露も、雨も、霧も。みんな、お布団になる。言葉のお布団を、みんなで作ろう。それが、きっと、詩詠いの お仕事だ。「詩詠いのお仕事」星影 流#詩
冷たい雨が 霧を呼んだ白々と立ち込めて薄暮の刻に町並みは 霧に沈む霧は大地が吐いた白い吐息に声の便りを精霊に持たせる「雪が近いよ」精霊が囁く声が凛となる冷やされた大地のにわかに出てきた声の主は深く被ったニットの僅かに出た耳元のポストに声の便りを届けに来た「霧の精の声便り」星影 流#詩
最高な物はちょっとだけ欠けてていい少しだけたりなくて良い望むのは完全な美ではない完全になれない美だあと1ミリあれば届く円あと1ミリあれば円になれるのにその1ミリが無いから円にはなれない僕の追いかけているものはきっとその1ミリ届いちゃいけない間際の届きそうで届かないより完全にどれほど近づけるか完全になれない、してはいけない些細な欠損に僕は美を求めて探す最高がある「閉じない円の美」星影 流#詩
波は風のゆりかごうねる波と逆巻く風出会いは冬の、残酷な程の冷気の中で導かれたような、当たり前だったような風は気づいたら波の湾曲の優しさにまるで、初めから風に合うようにパズルのピースを嵌め込むように波の歌は風を眠りに導いて風の声は波を励ました雪降る日の波間に見た 子守歌「ゆりかごの歌」星影 流#詩
僅かな光を求めて黒炭色が染みた道に出る月はいない星さえ いないあるのは星の替わりにと人が作り上げた街灯の冷めた光だけ夜空が好きだ光ある 夜空が好きだ星の絨毯とその中を漕いでいく三日月の舟の悠久の旅を夢物語の様に見るのが好きだ例え夜空に 光がなくても太陽の光だけは夜空には求めないこの暗色の世界は静かで何かあっても 見えないそれを照らす星月の僅かな光がそこに何が有るのかやっと 教えてくれるそれがいい太陽の様にはっきり照らしてしまうとそれがそれでしかなくなる星月の様にぼんやり照らしてくれるとそれかもしれないしあれかもしれないしどれとも違うかもしれない想像が生まれるから星の絨毯と月の舟は想像の海の航海をやおら駆り立て僕を虜にするのだ「星月航海」星影 流#詩#AIイラスト
手僕の手そんなに大きくもなくそうかと言って小さくもない普通の人の 手じっと見た啄木のようにじっと見てみたこの手は何をなし得たのだろうかと愛するものを愛で抱き上げた 手褒めるのに頭を撫でた 手時には叱ってつい出てしまった 手沢山の絵を描いては消した 手沢山の詩を送り出した 手庭を作り笑顔を生み出した 手手僕の手思ったよりも振り返れば沢山の事をしてきた 手ぎゅっ、と握ったやる気になるまた開いたやる気が形になる「手」星影 流#詩
「あ」彼女が言った彼女の周りの人が数人振り向いた振り向いたのは彼女の友人なのかそれともこれから友人に、とそう思っているのかただ、声がしたから振り向いたものか振り向かなかったのは彼女の声が聞こえなかったか知っていても、無関心かどちらかと言えば好きじゃないからか彼女が言った「あ」にこれからの人間関係の種が入っていた帰って「あ」を書いてみたくなった浮かべた出来事と「あ」の形もしかすると「あ」の右のちょびっと出たのは種から出た芽かもしれないそんな閃きのせいか僕の書いた「あ」はゲシュタルト崩壊して斬新な未来になっていた「あ、の種」星影 流#詩
冬の声ひそひそ聞こえる冬の声今はまだ雨に混ざって冬の声そのうち風が冷たくなって冬の声は大きくなるけれど街路樹の葉をたんと落として山の裾まで雪に染まると白い息が空に帰って雪になってまた戻る冬の声ひそひそ、ざわざわ冬の声今はまだ雨「冬の声」星影 流#詩
両手と両足を広げて頭をいれたら5つの点を持っているお空のお星様とおんなじような形になるあそこから来て、あそこに帰るんだだから、みんなお星様になるんだだから、みんな輝いているだから、みんな悲しいんだ居なくなったら、悲しいんだだけども、悲しみ過ぎちゃいけないよだって僕も君も星になるんだから「ヒトと星と」星影 流#詩
笑顔でいようどんなに楽しくなくてもどんなに辛い毎日が風呂栓の鎖の玉のように続いたとしてもその鎖の重さに圧し潰されない様に引っ張ってなんとかしようと食いしばった顔を見せないように笑顔でいよういつか、その鎖を絶ち切って──ふっと今までの辛いのが嘘みたいに軽くなるまで笑顔でいよう軽くなったら、その時は今までの分を泣いてしまおう泣きやんだら今までとは違う笑顔になろう「笑顔」星影 流#詩
黒の裏地を貼ったら外景色の窓は鏡になって真っ黒な星の池になった電飾がチカチカ灯るツリーと並んだ子供の顔を映してずっと先の未来まで深く続いていた心待ちにしてるのはサンタクロースなのかクリスマスなのか分からないけれどどっちの顔も明日、明日と 輝いていた鈴生りの雪が音をたてる頃には君達の笑顔はきっと一番星になるその笑顔を一目見たらサンタもクリスマスもきっと喜んで明日の一等星になる「窓の向こうはクリスマス」星影 流#詩#AIイラスト
何にもない暗闇が退屈だと嘆いた月の可愛い 独り言そんな独り言を風が掬って遡泳(そよ)ぐと退屈な空は 河になった下弦の半月 天の河で慣れない水遊びドンブラせっせ、と泳いでみると風は優しく微風を吹かす「やめたくなったらご遠慮なく」風の折角の心遣いさながらの水は月にはまだ尚早だった「次の満月にもう一度お願いします」風に甘えて月が言う今夜の闇は 何時もと違う紫紺の優しき 月光含み垂水の雫に 風、遡泳ぐ 「垂水、月光。後、優風の夜」星影 流#詩#AIイラスト#月の写真
開いた本の今は7頁全部で24頁の本を読み始めた本棚には生まれた時から始まったそのシリーズしかない僕の名前のついたそのシリーズものは時に退屈で時にドキドキして時には目を背けたくなる眠る時に閉じるまでのタイトル替わりに今日の日付を打ったその短い本はまだ 始まったばかり「今日という名の本」星影 流#詩#AIイラスト
伸びたり縮んだり小さくなったり大きくなったり気持ちは不思議見えない大きさが増えたり減ったり繰り返すこんなにたったこれだけの胸の中それだのに伸びたり縮んだり広かったり狭かったり心の中は無限に狭い心の中は無限に伸びてとっても不思議「心の無限」星影 流#詩
何もない水面に言葉を一つ水面に触れたなら瞬く間に触れた所から木々の緑や花や蝶鳥の囀りと動物達めくるめく極彩色の総天然色の世界が動き出す空には数多煌めく星々の甘く歌う吐息その吐息が星座を象って銀河の果まで飛び立つ人達そんな何もない所から始まる言葉を僕は詩いたい無から想像する幻想にも似た詩を僕は詩いたい揺らめく心を詠んでいたい彗星の様に来ては去る季節を歌い美しいままの森羅のそこはかとない刹那を切り取り誰かに見せたいそんな言葉の一雫を僕は届けていたい「言葉の一滴」星影 流#詩
心の大きさ知らないままで一体何と比べよう心の形と色を知らままで一体何と例えようアンシンメトリーな心はアンバランスな危うさのままいつもは奇跡のように釣り合っているだけで見ていると今にも闇の中落ちてしまいそうだから目を背けたくなるけどその目を背けたなら誰も僕を見なくなるだろうただ一人僕の小さな一番の味方は僕自身なんだろう心がバランスを取って皆が見に来てくれるんだそうして荒野に花が咲いていく様に人の輪が咲き誇ればいい「アンシンメトリーな心を見つめて」星影 流#詩
詩を作る事はおにぎりを作るのに似てる色んな言葉を集めてそっと心で包んで作るからデコボコな形の言葉出したい大きさにまとめて丁度いい硬さになるように誰かを想いながら美味しくなるように食べてもらえるようにふんわりがいいかなと迷ったり痛む心や胸に届くように欲しい言葉が見つかるように誰かを想って握るんだ「詩とおにぎり」星影 流#詩#ソネット
雨が雨とぶつかって擦れ合いながら空から大地へ来る間に磨き合って落ちてくる磨かれた雨粒一つずつが結晶涙水晶の形の一つずつが宝石雨でさえも磨きあうって言うのに何故 人と人にはそれが難しいのだろう雨もすなる琢磨しい綺羅に輝く心映え僕にも雨の心伝染って映して「雨の心」星影 流#詩