共感で繋がるSNS
キャッサバ粉

キャッサバ粉

人口6千人くらいの農村で、肉牛を育てる仕事をしています。 他の人の暮らしを見て感心したり、私の暮らしを紹介して誰かにへぇっと思ってもらったりしたいです。気軽に話しかけますが、親密な関係はとくに期待していません。 平日は4時起床、5時出勤、17時帰宅、19時半就寝。一日の歩数は1万5千歩くらい。 休みの日は旦那と出かけるか、でなければ家でぐったりしています。
ペット
アニメ
山形
農業
お笑い
畜産
少女漫画
虫好き
かわいいもの
ファッション
アクセサリー
メイク
コスメ
ゴジラ
ポッドキャストのラジオ
キャッサバ粉

キャッサバ粉

そういえば数週間前、私が朝出勤したら、知らない男の子がいて牛舎内を掃除していたことがあった。

ハタチになったばかりか、あるいはまだ10代かしら。彼は私を見つけると近づいてきてにこやかに、でもきっと緊張しながら挨拶してきた。私が名乗っても名乗り返さなかったから、あれはたぶんきっと緊張していたんだと思う。場慣れしてないって感じ。

この人誰かなぁ、なんでここにいるんだろう。今日から一緒に働くってことなのかしら? と、疑問は浮かんだけれど、とくに訊ねなかった。
そのあたりは私に仕事を教えてくれる達人ぽいおっちゃんが来たら分かることだし、緊張してるらしい相手にわざわざ質問して、「不審がっている」とか「拒否感を持っている」なんて印象を与えたらよくないし。
男の子は牛さんに悪さをしにきたわけではなさそうだし、まずは少し心理的距離を縮めて、私に対して少し安心感を持ってもらったらいいよね? 大丈夫、小さくてかわいいキャッサバはそういうの得意だよ……[疑っている]

とか考えてにこにこじりじりやっているうちに、達人ぽいおっちゃんが来て、男の子はどこかへ連行されていった。この牛舎で働く人ではなかったみたい。

あとからおっちゃんに聞いたところによると、彼は10代後半で、おっちゃんや社長の親戚筋の子で、ここが社会人として初めて勤めた会社で、いろいろうまくいっていないらしい。人との距離感を間違えるし、知ったかぶりをするし、肉体労働に文句たらたらだそうな。ふうむ。

しかしおっちゃんから彼のことを聞いて、そして「勝手に」牛舎で掃除をしていた彼の様子を思い返して、なんだか切なくなってしまった。
私もあのくらいの年の頃はホントにもう、もう……

自分が特別な人間だと信じたいし、そのことを証明したいし。でも分かっていないことばっかりで、でもそれを分かっていくためにはまずダメな自分に向き合って、自分の大きさを知らなくちゃいけなくて、でもでもそれってすんごくつらいことで。
そのうえ体育の授業ではいくら運動しても肩がビキビキしたり腰が死亡することはなかったのに、働くとまじ死ぬ。腰が死ぬし手の指がおかしくなる。 てゆーこれもやっていくうちに身体が慣れて大丈夫になるのだけど、その経験がないから分からなくてただただ不安。このまま労働によって身体を壊して終わる予感しか持てない。
GRAVITY
GRAVITY11