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アキラ

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伝統芸能の役者をしております。東京住まい。心身ともに頑丈です、たぶん。
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「松山天狗」後記

先日の「三人の会」がNHKの2時間番組で放映されます。
ぜひご覧ください!
「古典芸能への招待 十周年記念 三人の会 」
2025 年4月27日(日)21:00~

今回「松山天狗」を舞わせていただきながら、あぁこういうお能は僕などではなく師匠や大槻文蔵先生など、時代を代表する技と華を持った一門の長が、戯れのお洒落心で舞う、ある意味ボーナスタイム能なのだと思いました。

舞うにあたって師匠が休まれている施設に伺い、僕の持っているボロボロの変わった痩男をお見せして、使えるかなど色々お話を伺いましたが、話の流れで「白頭でやってみろ」と言われました。
衣も頭も漆黒のイメージの崇徳院を白頭??と思いましたが、師匠はよく「道成寺」にも白頭を使われており、白には悲哀があると仰っていました。
とは仰っていただいたものの、自分がこの曲を舞う時に想定していた姿と違うので、どう折り合いをつけたらいいか迷いながら稽古をしているなかで申合も過ぎ、最後に稽古をしたとき、配流先の崇徳院の見捨てられた有様を語る場面で、ギュッと肩を絞られるような悲しさが湧き出た気がしました。
自分で語りながら、「崇徳院かわいそう…」と小さくなるような。
その感覚を掴んだとき、ようやく舞える気になってスキップして帰りました。

師匠の「道成寺」の白頭の白は、全てを失わされた人の心の灰の色なのだと思います。
崇徳院は悲憤の末に大魔縁になったとは言え、日本の最高位にいた方、鬼のように暴れるわけにもいかず、かと言って心の発作を表現する型には際どさも必要で、そのここまではやるべきだというリミッターとして白頭が機能したのは、とかく暴れがちな僕の能を見越しての、師匠の選択だったのかもしれません。
また、鬼に近い目に金冠の嵌ったアヤカシ系の面よりも、ここは痩男で良かったんだという、僕の中でのパズルのピースがはまった気がしました。
外から見ると黒い面が白頭に沈んで、弱かったと思うのですが、。

今も師匠がお元気で「松山天狗」を舞われる機会があったら、白頭を使われるのかもしれません。
お話を伺いながら、舞台には立たれない師匠の能は前へ前へ進んでいるんだと思いました。

撮影・駒井壮介氏
無断転載などご遠慮下さい
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大学2年の秋、京都旅行をしていて平安神宮近く観世会館の前を通りかかり、貼ってあるポスターを見れば、僕の神であった梅若六郎が本日演能とのこと。
観たことのない演目、しかも開演時間が迫っていた。
お金の無い僕は当日券売り場に特攻するか、それとも見なかったことにして立ち去るか逡巡していた。
こういう時の僕は本当に優柔不断で、ああでもないこうでもないと不毛な脳内シミュレーションを繰り返し、徒に時間を失う癖がある。
秋晴れを映した疏水を見たり平安神宮の鳥居を見たり、気を散らしながら煮詰まったところ、これもいつものパターンながら結局有り金を持って特攻することに決め、受付に向かって挙動不審な歩みを進めると見えたのは完売の文字。
これは最悪なパターンだ!とシヲリながら会館を後にしようとしたところ、後ろから「のうのう」と女性の声。
振り返ると、前シテと思しき恐ろしく小さい老婦人が忽然と現れ、ツレが来られなくなったからよろしければチケット召され候へと、プラチナチケットを目の前に差し出す。
なんということであろう、僕は五体投地しながら前シテからチケットを受け取ると、いざなわれて観世会館の二階席に向かった。
かくして全然知らないお婆ちゃんと並んで観たのが、師匠の「松山天狗」であった。
「松山天狗」は讃岐に流され悲憤のうちに亡くなった崇徳院の御陵を訪ねた西行のもとに院の亡霊が現れ、手向けの歌に感激した旨を伝え、舞楽を舞うという五番目のお能。
舞ううちにいにしえの屈辱が思い出され、大魔縁の姿を現した崇徳院の前に院をいつく天狗達が現れ、都の逆臣どもを悉く始末しようと慰め、満足した院は空を飛び天狗を引き連れて消えて行く。
始まるといつものように、他の先生方とは全く違う能の時間に飲み込まれたが、崇徳院の舞から天狗の出現、最後の引っ込みまで観て僕は本当にノックアウトされてしまい、囃子方地謡が舞台を去ってもしばらく立ち上がれなかった。
横目で見ると前シテもしばらく息が出来なかったみたいで、「はぁぁ〜」と息をついていた。
お歳もあり心配にもなったが、僕らはようやく「凄かったですね」と顔を合わせ笑うと、立ち上がりフラフラ階段を降り外へ。
「御礼を」と申し上げたところ、前シテは「いいのいいのよ」と言い捨てて、掻き消すように大鳥居の陰に消えて行った。
後シテは出て来なかった、それが僕の「松山天狗」の思い出。
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令和7年4月5日(土)の「第六回 こがねい春の能」は能「自然居士」を上演致します!
「自然居士」は、人商人に身を売った少女を救う自然居士の機知と芸尽しを見せる、観阿弥作の人気活劇能です。
今回も阿部朱華羅さんの舞台美術、ガラスの柱とともにお送りいたします。
能はもちろん?、毎回曲のテーマに則して描いていただく、朱華羅さんの全長5mの掛け軸(しかも3本!)が目玉となっております。
分かりやすく解説もいたしますので、初心者の方にもお楽しみいただける公演となっております。(事前講座もございます。下記参照)
ぜひいらしてください!

『第六回 こがねい春の能』
令和7年4月5日土曜日 午後5時開演
場所:小金井 宮地楽器ホール:大ホール
(東京/JR武蔵小金井駅南口徒歩1分)

■解説   川口 晃平
■仕舞
「実盛」 津村禮次郎
「井筒」   梅若 紀彰

■狂言「寝音曲」
 太郎冠者 山本 則重
 主    山本 則孝

■能「自然居士」
 自然居士 川口 晃平
 
 人商人  御厨 誠吾
 人商人  野口 能弘
 童女   伊藤 東朔
 雲居寺門前の者
      山本 則重

 笛    竹市  学
 小鼓   鵜澤洋太郎
 大鼓   亀井 広忠
 
 後見   津村禮次郎
      山中 迓晶 
      松山 隆之
 
 地謡   梅若 紀彰
      角当 直隆
      谷本 健吾
      林本 大
      小田切亮磨
      梅若 景英

■チケット
指定席 S席:6,000円 A席:5,000円
自由席 B席:3,500円 学生:2,000円

【チケットの御予約・お問合せ】
・カンフェティチケットセンター
 http://confetti-web.com/@/harunonoh6
 050-3092-0051 (平日10時~17時)
・こがねい春の能実行委員会
 070‐6422‐1532 harunonoh@gmail.com

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《事前講座》3月25日(火)19:00~
小金井宮地楽器ホール
参加費は千円(チケットお持ちの方は無料)
■御予約:こがねい春の能実行委員会まで

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