
方丈海@書籍発売中
商業デビューした、駆け出しの小説家です。
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推理小説(ミステリー小説)
恋愛小説

方丈海@書籍発売中
ある日、俺は人を2人、殺めてしまった。
上を見上げると、俺の輪っかはNになっていた。
俺は首を傾げた。
【数字のフォントと角度】
※140字以内の小説でした

方丈海@書籍発売中
俺の体が光り輝いた
敵達も空気を読み、俺の変身を見守ってくれている
光の中で俺の体が原子単位でヒーローの体に再構築されていく
その瞬間、光の中をハエが通過した
体の再構築にハエの遺伝子が混ざった
子供は泣いた
民衆は俺に石を投げた
悪の組織だけが、俺を優しく迎え入れてくれた
【バグ】
※140字以内の小説でした

方丈海@書籍発売中
これ幸いと、鹿を追う狩人
逃げる鹿
狩人は崖に鹿を追い詰めた
狩人の猟銃が火を吹く
鹿は苦しむことなく、命を終えた
狩人は知っていた
この鹿は、自らを囮にし、群れから離れたことを
狩人は鹿の亡骸に手を合わせ、糧とした
感謝と、敬意を込めて
【いただきます】
※140字以内の小説でした

方丈海@書籍発売中
チュートリアルで、雑魚モンスターを狩ったんだ
そこで操作感覚を掴んだ俺は、ゲームを進め、最初のボスと相対した
ボスを倒すと、とある事実が判明したんだ
チュートリアルで狩ったモンスターは、ボスの子供だった
そういう心の折り方は、やめて欲しかった
【心折設計】
※140字以内の小説でした

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大人が泳いで助けにいくと、少年の体にまとわりつく無数の腕が見えた。
大人は勇気を振り絞り 少年の体を抱き抱えて砂浜まで戻る。
少年は後日お礼を述べた。
助けてくれた大人と、海の腕達に。
「沖まで流される僕を、沢山の腕さんが、砂浜の近くまで戻してくれたんだよ!」
【海の亡霊】
※140字以内の小説でした

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「あなたをモノに例えると何ですか?」
「トランプのジョーカーです」
「それはなぜですか?」
「何にでもなれる切り札的な存在だからです」
「なるほど…」
不採用にした
ジョーカーはいつか味方を裏切ると、相場が決まっているからだ
過去に同じ台詞を吐いた就活生が、そうであったように
【経験値】
※140字以内の小説でした

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「フォールド(降り)だ」
「え?」
「俺の負けだ。金はもってけ」
「いいんですか?」
「噂で聞いたぜ。アンタ、娘さんの手術金用意しなきゃなんだろ」
「…あ、ありがとうございます」
私は涙を流し、心の中でほくそ笑んだ
ブラフは、勝負の前にかけるものだ
【搦め手】
※140字以内の小説でした

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「どうした」
「いくら絵を描いても、上手くなってる気がしないんだ」
「いや、少しずつ上手くなってるよ」
「でもこんなペースじゃ、いつ一流に成れるか…」
「歩み続ければいつか成れるさ」
「所詮、僕は絵師界のサグラダファミリアだ…」
「凹んでるくせに自己評価高いな」
【自虐風自意識過剰】
※140字以内の小説でした

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おそらくネットで仕入れたであろう豆知識を、姉は自慢気に披露してきた
「そうなんだ」
「昔の人って、趣味悪いよねぇ~」
「……」
人の本質は何百年経っても変わらない
離婚話や炎上ニュースが大好物の姉を見て、そう思った
【悪趣味】
※140字以内の小説でした

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父は、狡猾な魔族に騙されて亡くなった
僕は父の形見である〝勇者の剣〟を受け継ぎ旅に出た
そして遂に、父の仇である魔族を追い詰めると、父の声が聞こえた気がした
『勇者の剣は 復讐の道具ではない』
僕の目から涙が溢れた
剣を置き、仲間の戦士に頼んだ
「君の斧を貸してくれ」
【やる時はやる子】
※140字以内の小説でした

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「皆で写真いいかな?あ、女の子は写らないで!」
「なんで?」
「実は彼女に、女の子は来ないからって嘘ついて飲み会に行く許可を貰ったんだ…その証拠を送らないといけない」
男は彼女に写真を送ると、返信が来た。
『写ってる人数とグラスの数が合ってない』
【甘い詰め】
※140字以内の小説でした

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「何聴いてるの?」
「ん?これ」
と言って、男子が女子にワイヤレスイヤホンの片方を貸した
「あ、この曲好きかも」
「だろ?」
青春している2人を、俺は微笑ましい気持ちで眺めていた
「じゃ、また明日ね」
そう言って女子は降りていった
イヤホンをつけたまま
【音切れの訪れ】
※140字以内の小説でした

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「ちょっと失礼」
女性が席を立つと、男は言った
「マスター…この店で1番強い酒をくれ」
「おやめなさい」
「なぜ?」
「今夜、彼女に想いを伝えるのでしょう?酔い過ぎは禁物です」
男は俯いて言った
「マスター…既にフラれた後なんだ」
マスターは1番強いお酒を出した
【ヤケ酒】
※140字以内の小説でした

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中には3万円も入っている。
俺の中の悪魔が囁く。
「もらっちまえよ…!誰も見てねぇぜ?」
俺の中の天使が囁く。
「いけません!競馬場に行って倍にするのです。そうすればみんな幸せになれます」
俺は競馬場に向かった。
そして、空になった財布を持って交番に向かった。
【駄天使】
※140字以内の小説でした

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中には俺と女性の2人だけだ。女性は不安なようで、俯いたままブルブルと震えている。
すると、スピーカーが管理会社と繋がった。
『大丈夫ですか?すぐ救助に向かいます』
「なる早でお願いします!2人閉じ込められてます!」
『え?カメラでは貴方1人ですが…』
【ピンチ】
※140字以内の小説でした

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お互いにお金はなく、慎ましくも幸せな日々
幸せに必要な金額は、人によって違うんだ
彼の前でふと「そろそろ結婚する~?」なんてポツリと呟いたら「そうだね~」と返ってきた
後日
PCの検索履歴に、こんなのがあった
『ウエディングドレス 自作』
『挙式 会場 DIY』
【甲斐性】
※140字以内の小説でした

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これで3人目だった
次の日、リーダーがメンバーを会議室に集めてこう言った
「みなさん、来週から全員定時で帰りましょう。有給もOKです」
「え…仕事終わりませんよ?」
「はい。人権を捨てなきゃ成せない案件なんて、破綻させちゃいましょう。2度と繰り返さないためにも」
【英断】
※140字以内の小説でした

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今年一杯が限界だろう
女手1つで大学まで行かせてくれた母を、最期に安心させてあげたい
だけど今のところ、就活で受けた企業は全滅だ
もう、結果待ちはあと1社しかない
その企業からメールが届いた
不採用だった
僕は母に電話する
「あ、母さん?内定貰えたよ!」
【優しい嘘】
※140字以内の小説でした

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やばい、間違えた
1からESを書き直すのも面倒だ
何とか ニ を ジ に見えるよう修正できないか、頭の中で想像力を働かせた
そこで俺は思いついた
どうせ気付くまい
そのままITエンニジアと書き、提出した
受かった
【横着】
※140字以内の小説でした

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そう言った幼馴染は、29歳で結婚した。ショックを受けた自分に驚いた。後を追うように俺も結婚した。
だが、長くは続かなかった。
雪の中、独り街を歩いていると、幼馴染と再会した。その左薬指に指輪の姿は無い。
今日は幼馴染の、35歳の誕生日だった。
【Happy Birthday】
※140字以内の小説でした

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愛しの彼女が、衝撃の告白をしてきた
「実は…出来ちゃったみたい」
「え?」
「妊娠したの」
「そんな…ちゃんと避妊したのに…僕達まだ学生だよ?一体どうすれば…」
取り乱す僕に彼女は言った
「安心して!貴方の子供じゃないから!」
「ならよかった」
【よくない】
※140字以内の小説でした

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アンティークな雰囲気が漂う素敵なお店で、カップル御用達だった
バイト初日
店内でカップルが喧嘩を始めた
2人はどんどんヒートアップし、遂に彼女さんが彼氏の顔に水をかけた
テンパった私は空いたグラスを見てこう聞いた
「お代わりはいかがですか?」
【マニュアル通り】
※140字以内の小説でした

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という話を面接で話したら内定を貰った
システムの開発と管理を請け負う会社だった
【属人化】
※140字以内の小説でした

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「じゃあ、どうしてお爺さんは年老いてるの?」
「当然じゃ。人魚の肉なんぞ食べてないからな」
「じゃあ、どうして140歳になっても元気なの?」
「人魚とはキスだけの関係じゃったが、唾液にも多少の効果はあったようじゃ」
【老いの秘訣】
※140字以内の小説でした

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「なんだ」
「ヒーローの変身中は攻撃してはいけない慣習、もうやめません?我々、悪の組織ですよ?卑怯上等じゃないですか!」
「絶対に攻撃してはダメだ」
「なぜですか!?」
「あれはヒーローの最初にして最大の攻撃なのだ」
「え?」
「手を出してみろ。お前、跡形もなく消滅するぞ」
【初見ゴロし】
※140字以内の小説でした

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「金を出せ!」
金なんて好きなだけくれてやる。大嫌いな店長のために売上を守る義理など無いのだ。次の瞬間、店長が強盗にタックルをかます。
「店長!?」
「ウチのバイトに手を出すな!」
俺は感動した。
すぐに店の外に飛び出し、家に帰り、飯食って寝た。
【ガチ嫌い】
※140字以内の小説でした

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顔写真だけじゃ住所も学校もわからんし。有名人じゃあるまいし、誰も一般人の顔なんて気にしねぇよ。
試しに、以前SNSに投稿した俺の変顔で画像検索かけてみた。そしたら、俺の変顔をアイコンにしたアカウントがめっちゃ政治批判してた。
【ITリテラシー】
※140字以内の小説でした

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【未解決問題】
※140字以内の小説でした

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停止ボタンを探している暇は無い
誰も動かない中、僕は即座に彼女を救い出した
彼女は泣きながらお礼を言った
それが、妻との出会いだった
今では子供も出来て、幸せに暮らしている
ある日、再び同じ場面に遭遇した
助けに行こうとする僕の腕を、妻が引きとめた
【立場の違い】
※140字以内の小説でした

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エレベーターに駆け込むと、ブザーが鳴った。降りようとしたら隣のイケメンが「あ、僕は2階なんで、歩きます」と言って笑顔で降りた。
イケメンは心までイケメンだった。それでも鳴りやまないブザーが、私がイケメン以上に重い事実を、残酷なまでに周りに告げていた。
【天秤エレベーター】
※140字以内の小説でした

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平気で遅刻するし、店員にタメ口きくし、煙草をポイ捨てするし、ゴミは置いていくし、SNSでは何を言ってもいいと思ってる。
一体どうしてしまったんだ?
久しぶりに友人の家に遊びにいくと、見慣れないソファがあった。調べると、人をダメにするソファとあった。
【文字通り】
※140字以内の小説でした

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机の上のグラスが突然、床に落ちて割れた。
別の日にまた愛犬を撫でていると、どこからともなくうめき声が聞こえた。その声に聞き覚えがあった俺は、オヤツを小皿に盛り付け、先代愛犬の遺影の前に供えた。
「大丈夫、お前のことは忘れてないよ」
【嫉妬】
※140字以内の小説でした

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以来、幽霊は時々視界の端や鏡に映り込むが、舌打ちだけしてずっと無視した。すると、いつの間にか幽霊の姿を見なくなった
幽霊には塩が効くと言うが、塩対応でも効くんだな
【塩分過多】
※140字以内の小説でした

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すると、奇跡的に電波が回復したではないか。
やった!これで下山できる!俺は助かるんだ!!
そして、通知が次々届いた。尋常じゃない数だ。全てSNSからだった。どうやら、以前の俺の投稿がバズったらしい。電池は切れた。
【ぬか喜び】
※140字以内の小説でした

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私の上司の一人称は〝小生〟だった。
そういう一人称があるのは知っていたけれど、実際に使う人は初めてだった。なんとなく、古風でカッコイイなと思っていると、同僚が教えてくれた。上司のフルネームが『山田 小生』らしい。上司、一人称が自分の名前だった。
【自己紹介】
※140字以内の小説でした

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「ごめんなさい、彼氏いるので…」
「あ、じゃあ予約いいかな?」
「予約?」
「その彼氏と別れたら次は俺ってことで」
「……」
私はすっかりと呆れ果ててしまった。男って皆こうなの?こんな時、私はいつも、こう返すのだ。
「いま4人待ちだけど、それでもよければ」
【人気者】
※140字以内の小説でした

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チャーシューや麺が無惨にも地面に散っている。
誰かここでラーメンを食べていたのだろうか?
道路の端で?
不思議に思いつつ家に帰ると、こんな連絡が俺のスマホに届いていたのに気づいた。
『申し訳ございません。配達中に、ご注文の食事を落としてしまいました』
【ラーメン盆に返らず】
※140字以内の小説でした

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『近くの山にツチノコ探しにいかね?』
…仕方ないな。
それ以来、僕は友人のツチノコ探しに月1で付き合わされている。
ツチノコなんて、いるはずがないのに。
友人も、きっと、わかっているのだろう。
僕の命は、月に1度、こうして更新される。
【延命】
※140字以内の小説でした

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彼氏がいると嘘をつけば諦めてくれるかもだけど、本命がいるので、彼にまで嘘が伝わったらイヤだ。
そこで私は気が付いた。
素直に、こう送ればいいだけのことだった。
『実は私、好きな人がいるんです』
少しして、こう返ってきた。
『それって、俺の事?』
【ポジティブ】
※140字以内の小説でした

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「あぁ」
「あれって違くね?」
「なぜ?」
「どう考えても、無関心より嫌われる方がイヤだろ。ゼロよりもマイナスの方が状況悪いんだから」
「いや、それでも、嫌われる方がずっと良い」
「なんでだよ」
「嫌われるのは、挑戦した証だからだよ」
【失敗は成功の母】

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「あなたをモノに例えると何ですか?」
「ダイヤモンドです」
「ダイヤは硬いことで有名ですが、それは傷のつき辛さであって、意外と簡単に砕けることはご存知ですか?」
「勿論です。私は一見して全く傷つかないのですが、壊れる時は一気に壊れる、そんな精神の持ち主です」
不採用だった
【ハート・ブレイク】
※140字以内の小説でした

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「ユ、ユニーク…?承知しました…」
1時間後
「おい新人!まだ終わんねぇのか!」
「先輩、これはどうでしょう?」
ユーザID: ___/||||||
「…なに?これ」
「ユーザIDでドミノ倒しを表現してみました」
「ユニークってそういう意味じゃねぇよ」
【ユニーク新人】
※140字以内の小説でした
※再掲

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顔を合わせる度に「息子はねぇ、東京で頑張ってるんですよ」と俺に俺の自慢話をする。
この日は涙を堪えきれなかった。誤魔化すように母の肩をもんであげると、母は言った。
「…手、大きくなったねぇ」
【親孝行】
※140字以内の小説でした

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しかし、料理に毒を入れても「調味料変えた?」と言われるだけでピンピンしている。話を聞くと、夫は幼少期から毒見要員として育てられた生き残りらしく、毒耐性が強いらしい。
「今、人生で一番幸せなんだ」
そう言われた私は、すっかり毒気を抜かれてしまった。
【解毒】
※140字以内の小説でした

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「お前らうるせぇんだよ!」
すると子供達は俺を見つめて言った。
「オジさんもサッカーやる?」
「やる!」
その日は最高に楽しかった。生きる希望を見出したし、再就職もした。あの子供達はもういないけれど、今は俺の子供達と、あの公園で遊んでいる。
【転機】
※140字以内の小説でした

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仲の悪い2匹がいて、毎日のように2匹は喧嘩している
だが今日は様子が違った
散歩中、その猫の片割れが「ニャー」と助けを求めるように俺にひっついてきた
ついていくと、もう1匹の猫が、公園でぐったりしていた
脱水症状だった
今では、奴らは俺の家で、毎日喧嘩している
【喧嘩友達】
※140字以内の小説でした

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深夜、カップ麺にお湯を入れ3分待つ。この3分を有効活用したいと考えた結果、先に歯磨きを済ませることにした。奥歯を磨いてるあたりで、俺はバカであることに気付いた
【二度手間】
※140字以内の小説でした