「Aもいいけど、Bもいいよね」とか、「みんな違ってみんないいよね」とか、そういうヌルい考え方が近頃は主流になってる。1900年代の闘争意欲むき出しで価値観をぶつけ合うアツい時代はもう完全に終わったと言っていい。皆、不都合で生きづらくてめんどくさい自分の「本音」を考えないようにして、簡単で生きやすくて気が楽な「建前」を主体にして生きている。本音を隠すのではなく、完全になくそうとする動きが強まっている。かったるい事、非合理的な事、予想外な事をなくして、程々に幸せで程々に不幸せな人生を目指している。ヌルくて楽な生き方と、暑苦しくて面倒な生き方。別にどっちが悪いとかそういう話じゃない。「死」という結末だけが確実に決まっている人生で、自分はどっちを選びたいか、どっちを選びたくないか。そういう問いかけだ。