あれは私が小学四年生の頃でした 当時私の両親は共働きだったため、私は朝早く、具体的には朝の6時半頃には学校に行く必要がありました その日も同じように朝早くに学校へ行き、先週カラスが私の頭にフンを落としてきたため、それに怯えながら薄暗い通学路を歩いて学校に行きました 私の教室は3階にあったため、上履きに履き替えた私はいつも通りに階段を上り、教室へ向かおうとしました そしてついに三階まで上がり、廊下を通って教室に向かおうとしたとき、後ろから「カンカンカンカンカン!!!」と、太鼓のバチを叩くような音が聞こえてきました 私は思わず振り返りましたが、その日は眼鏡を忘れていたためそこに何があったのかははっきり見えませんでした しかし、ぼんやりと見えてしまったのです 給食の配膳置き場から伸びる青白い手が、バチのようなものを持って叩いている姿が 私は怖くなって慌てて教室まで駆け込みました するとクラスメイトから「走ったな?やり直し!」と言われました 私は恐怖でいっぱいだったためその要望を飲めず、なんとかクラスメイトに説明してその場は収まりました しかし、説明を聞いて見に行ったクラスメイトは「何もなかった」と答えたのです 結局この話は誰にも信じてもらえず、今に至ります ちなみにこれは余談ですが、私の小学校は昔は墓地だったようで その名残のせいかは知りませんが、確かに学校の敷地にお墓がいくつか置いてあったのは今でも鮮明に覚えています そして、当時はただの勘違いとしか思っていませんでしたが… 今思えば、何度か『見えてはいけない何か』が一瞬だけ見えたこともありました 例を挙げると、どこからともなく現れて、まばたきした瞬間に消えた紙飛行機などでしょうか 結局、あれがどんな意味だったのかは、今日まで分かりませんがね その上、もうその小学校は校舎の老朽化により建て替えられたので、真相を確かめる術もありません ただ、それでも私の耳には今でもハッキリと残っているのです あの耳をつんざくような、太鼓のバチみたいな音が