誰かに言われたキツいひと言などが、いつまでも心に刺さったままになっていて、何かの拍子にそのことを思い出す。すると、「あの人にこんなひどいことを言われた」という悪感情がぶり返してきて、悶々(もんもん)としてしまう。そんなこともあるかもしれません。相手に言われたことがいつまでも忘れられず、その悔しさや怒りをくすぶらせ続けている、いわゆる「根に持つタイプ」の人は、相手が発した言葉の、ほんのわずかな断片にこだわっていることが多いものです。たとえば「あなたは冷たい」と言われたことを根に持っている場合、往々にしてその言葉だけが心に刺さり続けています。そこで、そのときの会話の流れを、あらためて思い返してみてください。その言葉が出たときの状況や、前後のやりとりはどうだったでしょうか。相手が「冷たい」と感じるのも無理はないような、何らかのことをこちらが先に言っていたかもしれません。あるいは、こちらを責めるようなものではなく、もっと軽いリアクションのような言葉だったと気づくこともあるでしょう。俯瞰(ふかん)的な視点で会話の流れ全体を見渡してみると、「相手がそう言うのもしかたなかった」「あれは弾みで出た言葉だった」などと、冷静に受け止められる可能性があります。会話の断片にこだわるのは、週刊誌の広告のショッキングな見出しだけを目にして、心をかき乱されるようなものです。記事全体を読んでみると、それほどたいした話でもなく、バカバカしい気分になったりするものです。一歩引いたところから全体を眺めると、ものごとを受け止めやすくなります。少し離れることでラクになる。それは、人間関係全般に言えることです。