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【ホイミスライムの自衛隊怪談】
第9話『深夜のマラソンランナー(前編)』

これは私の同期生から聞いた話だ。
九州で前期教育を受けた新隊員は後期教育を受けるべく日本各地の駐屯地に移動する。
私と同じ北海道の駐屯地に移動したのは3人だったが、同じ教育隊から北海道の別の駐屯地に移動する隊員もいた。そんな隊員の一人が彼だった。
広大な北海道である。例え同じ自衛官同期でも師団や所属部隊(特科や機甲科、普通科等)が違えばなかなか会える機会はない。
私の場合は運良く車輌部隊に所属していたので他よりは会える機会は多かった。
車輌部隊では年に数回の車輌操輪訓練がある。何十台もの自衛隊車輌で長距離を移動する訓練だ。
単なるドライブ的に思えるだろうがこれがなかなかハードな訓練で色々な数字が未だに頭の中に残っている。私の場合、燃料補給以外の長い休憩の無い不眠不休操輪時間が78時間、信号停止以外は短い休憩すら無く走り続ける連続走行距離が653kmだ。
私の同期は道東の、北海道の短い夏には霧が立ち込めるような街の駐屯地にいた。
その日の夜、彼は不寝番勤務に就いていた。不寝番勤務とは自衛隊怪談の『音が来る』に書いたような駐屯地の警衛勤務ではなく、中隊の当直隊員が務める深夜の巡回であり、主に自衛隊の隊舎内の見廻りと主要箇所の施錠チェック、早番の糧食班隊員(食事を作る隊員だね)を4時くらいに起こしたりもする。2時間3交代制で決まったポイントにある用紙に名前と巡回時間を書き込むルールとなっている。飲食店やコンビニのトイレとかにぶら下がってる用紙と同じような感じだ。
さて、この夜彼は2直(2時~4時)勤務でマニュアル通りに仕事をこなしていた。各営内班の部屋を巡り隊員がちゃんとベッドに寝ているかをチェックする。事前に外出申請のある隊員以外のベッドが空になっていたら脱走の可能性もあるので空の場合は暫くその場で待つ。大抵はトイレとかに行っているので大事件はそんなには無い。
この時点で1時間が経過していたそうだ。
彼は隊舎の正面入口にある喫煙所で小休止を取っていた。外は小雨が降っていた。
煙草を吸い終わり、建物に入ろうとした時に視界の端に動くものがある。グラウンドの方だ。目を凝らして見ると一人の隊員が雨の中をパーカーを着てひたすら走っている。
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【ホイミスライムの自衛隊怪談】
第10話『深夜のマラソンランナー(後編)』

「こんな時間にマジかよ、凄いな」
彼はそれほど驚かなかった。何故なら近く中隊対抗の持久走大会、一般で云うところのマラソン大会が予定されており、日々各中隊の健脚自慢が猛練習をしていた。
「気持ちはわかるが服務違反だからなぁ」
彼は隊舎入口に備え付けの傘を差しグラウンドに近付くと走っている隊員に声を掛けた。
「練習したいのはわかるがもうこの時間で雨も降ってる。止めて部屋に戻って下さい」
声を掛けられた隊員はゆっくりと彼の方に振り向くと一礼して違う建物へと走り去って行く。そんな隊員に多少の違和感を感じつつも、
「俺にはあそこまで出来ないなぁ」
などと思いながら残る巡回コースを回った彼は糧食班隊員を起こすと3直隊員と交代し、勤務を終えた。

朝になり事務室で当直業務をこなしていた彼は思い出したように昨夜のマラソンランナーについて当直幹部に報告した。一通り話を聞いた当直幹部は溜め息混じりに、
「あぁ、もうそんな季節か」
当直幹部の少し曇った表情に彼はどういう事かと質問した。
昔、この駐屯地には持久走が大好きな隊員がいた。彼の健脚振りは凄いもので勝てる隊員もいなかったらしい。そんな彼がある年の持久走大会の数日前に倒れて亡くなった。心臓麻痺だったらしい。
依頼、持久走大会を間近に控えた雨の夜になるとグラウンドをひたすら走る彼の姿が目撃されたという。
「ここ数年は出てなかったんだがなぁ」
遠い目で話す当直幹部の前で彼は必死に記憶を反芻していた。
「あれは幽霊だったのか?でもこちらの呼び掛けに反応したし、あんなにはっきりと・・・あっ!」
彼はあの時に抱いた違和感に気付いた。時間は深夜の3時くらいで真っ暗だったが彼は懐中電灯をポケットに入れたままだった。が、彼の目には走っていた隊員の細かい服装までが確認出来たのである。
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【謎の東洋人Xの自衛隊怪談】
第5話『音が来る(再編)』

弾薬庫の敷地が昼間のように明るくなる。私たち、ジープの操輪手2名を除く9人で敷地内を隈無く探索する。これはもはや不審者を探すためではない。誰もいないという事を確認するためである。土塁の脇の雪の吹き溜まりもエンピ(スコップの一種)で突き刺し誰も潜んでいないのを確認して外周の有刺鉄線が破損していないかも確認した。9人の屈強な自衛官で約30分、テニスコート8面程の敷地を隅々まで確認して正面入口に集合した。
「本当に何かの音がしたのか?」
増員の隊員から疑問の声が私たち3人に投げ掛けられた。増員の6人のうち同僚以外の5人は直接音を聞いていないのだから無理もない。
音を聞いた4人で今回の経緯を詳細に説明していると・・・敷地の奥から金属音が聞こえて来た。全員が声も初声無いほど5mくらいの円陣を組んだまま微動だにしない。
カチャッ・・・カチャッ・・・音はゆっくり近付いて来て円陣に入り、その中心辺りでカチャッ・・・っと止まり沈黙する。それっきり音はしなくなり、長い夜も終わろうとしていた。

翌朝になってからが大変だった。朝の10時に次の部隊と交代になり、24時間勤務から解放された我々はその日は休養日となる。
中隊に戻ってすぐに睡眠を取る間も無く中隊長室に呼び出されてしまう。中に入ると中隊長に副中隊長、数人の分隊長、当直幹部、警衛幹部等が待ち構えており、「何ですか?軍法会議ですか?軍事法廷ですか?」レベルの物々しさだ。
約2時間弱くらいだろうか?昨夜の出来事を細かく説明する羽目になった。
昼食時間を告げるラッパで一度解放されるが食事をしてから再度呼び出された。そして午前中の話をおさらいレベルで再度流す。
一通りの尋問(?)が終わると中隊長が深いタメ息を漏らした。
「こんな出来事をどう日誌に書けばいいのか?おまえは私たちよりは多少そちらの知識があるようだが何か良い案はないか?」
聞かれた私もたまったものではない。しかし、提案出来ない事もない。
「氷点下の気温下の集団催眠、リアルな幻聴現象ですかね?冬山でよくある事例です」
中隊長と副中隊長が顔を見合わせて唸る。
「その線で説明するしかないか。ご苦労様、後はゆっくり休んでくれ」
私はやっと解放された。
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【ホイミスライムの自衛隊怪談】
第16話 『4者4様の霊体験(前編)』

再び自衛隊での話ではないが、第8話で紹介した『暗い4連星』はそれぞれ自衛隊入隊前に霊体験らしきものをしている。書き忘れないうちにそれを書いておこう。

①私(福岡県出身)の場合。
私の祖父は太平洋戦争で戦死している。私が生まれるかなり前の話だ。一昨年は纏まった休暇が取れたので東京に出向き、靖国神社にも参拝した。
しかし、私には幼少の頃に祖父に遊んでもらった記憶がある。いや、記憶と云える程曖昧なものではなく、両親曰く「枕元に少し古いメンコやビー玉が置いてる時があった」とか、言葉を発し始めた頃には誰もいない居間に向かって笑いながら「じぃじ、じぃじ」とはしゃいでいたらしい。
私の記憶の中では一度だけ祖父に会った記憶がある。
中学生の頃、ある親戚の集まりで本家に行き、一泊した際に夜中トイレに行った。本家は旧家の造りでトイレは外廊下を進んだ先にあったのだが、トイレから帰る時に庭に白い着物を着た初老の男性が立っており、笑いながら小さく手を振っていた。私は瞬間的に「爺ちゃんだ!」と思い手を振り返した。すると爺ちゃんはスーッと消えていった。たぶん不出来な孫がちゃんと成長したのを見届けに来たのだろう。

②H(熊本県出身)の場合。
彼は熊本県の出身だが一族の出自は鹿児島県の大隅半島界隈で親戚もそちらに多かった。だから必然的に法事やら何やらで鹿児島に出向く事は多く、彼も子供の頃から親に連れられて何回も行ったそうだ。第15話でも書いたように彼には多少の霊感がある。これは彼にとって災難だった。
あえて町の名前は伏せるがその町に入ると場所により体が非常に重くなり耳鳴りがひどくなる。時には町中に黒い靄のようなものが何体もフラフラと歩いているのが見えたという。
この黒い靄の正体は不明だが、今から30年ほど前の雑誌に『大隅半島は落武者霊の巣窟』という記述があり、真偽の程はともかく霊体密度の大きい町は存在するようだ。
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【ホイミスライムの自衛隊怪談】
第13話『有名な自衛隊怪談』

この話は九州の、しかも私の故郷と比較的近い距離の街から移動して来たベテラン隊員から聞いた話だ。これもかなり昔、昭和の時代の話だから今では改善されていると思う。

場所は福岡県の某駐屯地で私が学生の頃はテレビの心霊番組でも取り上げられ、雑誌の心霊関係の特集でも話題になっていたので知っている方もいると思う。
その駐屯地の自動車訓練学校、世間で云う自動車教習所に落武者の霊が出現するのだ。
落武者の霊そのものは日本ではポピュラーな存在で戦国時代には九州でも戦はあった訳だし、特に福岡では南北朝時代に日本三大合戦のひとつ、筑後川の戦いも勃発している。
当時のテレビや雑誌で取り上げられた現象は、トタンの屋根に小石が降り落ちる音がする『天狗の石つぶて現象』や窓を開けたらザンバラ髪の落武者がすがって来て「水をくれ」と囁く現象などがあった。しかし、そのベテラン隊員が言うにはそんな生易しいものではなかったらしい。
自衛隊怪談の第7話を読んでもらうと分かるが自動車訓練学校は全ての駐屯地にある訳ではなく、他の駐屯地からも多くの隊員が来て免許の取得をする。学校のある駐屯地の隊員は所属する中隊の部屋から通うのだが、他の駐屯地から来た隊員は合宿免許のように集団で学校宿舎に寝泊まりする。つまり逃げる事が出来ないのである。
ベテラン隊員が言うには、

①朝、目が覚めたら自分のベッドのシーツに血の手形が付いている時がある。

②トイレに入ってフッと上を見上げると落武者の顔が覗いている。

③不寝番等で深夜に外を歩いていると複数の足音を聞いてしまう。霊感のある隊員は複数の落武者が歩いているのを目撃したりする。

④深夜に寝苦しくて目が覚めると目の前に血だらけの落武者が立っている。

等々、怪異譚のオンパレードだったらしい。
それだけの心霊現象が起きる訳だから未だにその建物を放置しているとしたら、その駐屯地は自衛隊云々以前に組織として如何なものかと思ってしまう。
メディアでも取り上げられていた時代は駐屯地正門近くの商店で線香とロウソクが常に売り切れ状態だったらしい。
多くの自衛官が体験したこの現象は錯覚や集団催眠、集団パニック等の言葉では納得も解決も出来ないだろう。




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【謎の東洋人Xの自衛隊怪談】
第8話『老婆(後編)』

思い出話に花を咲かせていると明日は駐屯地で取り壊した建物の廃材を演習場まで運び投棄する仕事があるという。彼の中隊は普通科であり4tトラックで何回か往復するとか。
「明日、暇してる車輌部隊の11tトラックとそのドライバーがいますよ?」
その言葉に同期はドタバタと走り去って行き少し年配の隊員と再びドタバタ戻って来てキラキラ光る目で私の手を掴んできたw
私はその足で幹部食堂に出向き、中隊長に話を通して翌日は同期の部隊に一時編入の形で協力する事になった。

翌日、朝から予定通り自教同期の部隊に合流した私は11tトラックに廃材を満載して走り回る。駐屯地から演習場に直だから多少の過剰積載も可能で4tトラックに比べ赤い彗星の如く、文字通り通常の3倍の…状態だ。
結局丸々2日を予定していた雑務も翌朝早い時間に終了の目処も立ち、この日の夜は部隊の方々から駐屯地内にある酒場に招待された。
「そう言えばどこの部隊に泊めてもらってるんだ?」
何気に自教同期が聞いてくる。
「今回はイレギュラー勤務だからBOQですよ」
私の返答に周囲が凍りつく。
「…どの部屋のどのベッドだ??」
「?最初の部屋の入口ドア近くのベッド」
一同から安堵の溜め息が漏れる。
「そうか💦いいか、窓側のベッドには絶対に寝るなよ!」
「…何で??」
隊員たちの話によると窓側のベッドに寝ると高い確率で足元から血まみれの老婆が這い上がって来るという。ベッドを交換しても出る事からその場所に由来するのだろう。
自衛隊駐屯地という場所柄、何で老婆?とも思ったが駐屯地を作るには広大な土地が必要であり、その中に曰く付きの土地が入っていても不思議ではない。ともかくその老婆、見た目もシチュエーションも目撃したら精神的にかなりのハードモードに突入するらしい。
おいおい勘弁してくれよ💦私はその部屋にもう一泊するんだぞ💦
その夜、枕と毛布を持った私は他の隊員もいない事も幸いして廊下で寝る事にした。

何事も無く朝を迎える事が出来た私はお世話になった部隊に挨拶をして中隊長と帰路についた。
トラックを走らせながら雑談がてら昨夜聞いた話を中隊長に話す。
「まったく今の時代にバカな話ですよねw」
すると中隊長、
「あぁっ、すまん!それ、言い忘れてたわ💦」
「…知ってたんかい💦」



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【謎の東洋人Xの自衛隊怪談】
第7話『老婆(前編)』

これは北海道の道央エリアにある駐屯地にまつわる話だ。
私はこの時この駐屯地に所用があった中隊長の御抱え運転手として勤務していた。日頃運転慣れした専用の大型車(11t)とは云え『偉いさん』と2人だけというのは非常~に疲れる。よくドラマとかで社長車の運転手という役柄を見るがアレってメチャクチャしんどいんだろうね。
自衛隊内の自動車訓練学校で叩き込まれた動作に忠実に道交法順守で4時間程度走り、目的の駐屯地に到着する。
「もうすぐ5時だから君は宿舎に入ったらもう休養しなさい。明日についてはまた朝にでも予定を立てればいいから」
2泊3日の工程だから中1日の間があり、中隊長は仕事だが私は運転手勤務だからこちらで有給休暇を取り市内観光等しても構わないという話だった。
中隊長と立ち話をしていると向こうの駐屯地指令と事務方が数人やって来て事務方の隊員が私を宿舎に案内してくれた。
通常他の駐屯地からの来客はBOQ(外来宿舎)という場所で寝泊まりする。勿論中隊長は幹部用の宿舎で私は一般宿舎だ。一般宿舎は通常は大部屋である事も多い。私が通された部屋もベッドが6つ並んだ部屋だった。
「好きなベッドを使って下さいね」
事務官はトイレや風呂について一通り説明すると軽く会釈をして出て行った。
さて自衛隊のベッドなんざどれも寝心地は似たり寄ったりで正直どれでもいい。ならば外の景色が見える窓側にするか?と思い窓に面したベッドに荷物を置こうとしたら事務官が慌てて戻って来た。
「言い忘れてました。窓側のベッドは古くて軋み音が激しく寝れたものではないですから使用を禁止になっていますので」
それだけ言って再び去って行った。私は仕方無く入口ドアに近いベッドに決めて荷物を置いた。
程無くして5時になり夕食時間を告げるラッパが鳴った。
他の駐屯地で食事をするのは滅多に経験出来る事ではない。多少ウキウキしながら食堂に向かっていると、
「おぉっ!珍しい奴を発見!」
と声を掛けられた。見ると自教、自動車訓練学校の同期だった。訓練学校は全ての駐屯地にある訳ではなく数ヶ所の駐屯地につき一つしかない。だから免許を取る隊員はその駐屯地に集まり、俗に言う合宿免許のような形で免許を取る。厳密には一年程先輩だが自教では同期となる。会うのは一年半振りくらいだろうか。



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【ホイミスライムの自衛隊怪談】
第14話『美女(前編)』

これは自衛隊在隊中の話だが駐屯地内での話ではない。
私には3人の同期がいた。同年代で同じ年期だが新隊員教育隊からの同期ではなく、自動車訓練学校で知り合った同期であり部隊再編の末に同じ釜の飯を食う同期となったのだ。
部隊再編とは同じ職種の中隊が合併してより大きな限りなく大隊に近い中隊となる場合もある。
2人は他の駐屯地の同じ車輌部隊から転任して来た。一人は自衛隊怪談1~3話にも登場した、仮にMとしよう。コテコテの関西人だ。一人はHといい熊本県出身、もう一人は車輌部隊ではなかったが、同じく部隊再編の際に「面白そうだから」と希望して車輌部隊に移動して来たFという青森県民だった。移動初日から「いやぁ、久々におまえらと一緒に仕事出来るからこれ!土産な🎵」と、山盛りでエロ本を抱えて来てみんなドン引きしたのを覚えている。訓練学校時代から特に仲が良く、いつも4人で仲良く行動していた事から周囲からはこの頃人気急上昇中だったガンダム(劇場版ね)に因んで『暗い4連星』とか言われてましたね💦
そんな4人組がある年の年末年始休暇、特に地元にも帰らず私が市内に借りていたアパートで炬燵に入ってゴロゴロしていた。独身自衛官は駐屯地内で生活するが土日や休暇を外で過ごすためのアパートを借りている場合がある。
ゴロゴロしながらのこの時の話題は例の弾薬庫の怪音事件だった。時系列的にあの事件の数週間後くらいだ。
4人でボ~ッとテレビを見ているといきなりドアが激しくノックされた。びっくりしてとりあえず開けてみると2年先輩の隊員が転がり込んで来て一言『・・・幽霊を見た!』と呟く。
4人はガタガタ震える先輩を炬燵に招き、落ち着かせようと缶ビールを飲ませ話を聞いた。
深夜1時頃、先輩は国道から支笏湖に入る道を車で走っていたらしい。で、もう少しで支笏湖という地点で道路脇に女が立っているのを発見した。「どうせ夜の支笏湖に来てるバカップルだろう」と思った先輩はそのまま通過するが1km程走っているとまったく同じ女が立っていたらしい。
先輩はすぐにUターンして全速力で友人のアパートに向かったらしいがそのかなり手前にある私のアパートに照明がついているのを見てたまらず駆け込んだと言う。




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【ホイミスライムの自衛隊怪談】
第11話『日本兵(前編)』

自衛官の心霊体験の中で旧帝国陸軍々人との遭遇の事例も幾つかある。今回は自衛隊在隊中に耳にした2つの事例を紹介する。ただし、これは又聞きなので詳細が不明なため短い。

事例1『北海道・道央エリア某駐屯地』
これは現在では間違いなく取り壊されている建物での話だ。
その年、その駐屯地では隊舎(隊員居住区)の大規模改修工事が行われており、3棟ある隊舎のうち1棟は使用不可。一般隊員は残り2棟の隊舎にすし詰め状態だった。部屋の中には二段ベッドがズラリと並んでいる状態だ。一般隊員がこの不便な状態なのだから新隊員の受け入れは更に大変である。
その年の新隊員教育隊の居室は医療棟の、今の時代であれば大規模災害でも無い限りは使われない大部屋が使われた。ひとつドアを開ければ医師や看護師の資格を持つ隊員が白衣で勤務している自衛隊としては異質の空間だろう。
そこでは何人かの新隊員が旧帝国陸軍々人の霊を目撃している。
目撃証言は概ね一致しており、深夜帯に目が覚めて部屋の隅に視線を向けると男が直立している。最初は皆、不寝番(深夜のマラソンランナーを参照)と思うらしいが何か変だ。よくよく見ると今の自衛隊の戦闘服ではない、映画とかでよく見る日本兵の格好をしているのだ。観察眼の鋭い隊員の中には足元のゲートルまで確認した者もいた。また、同時に複数の隊員が目撃した事例もある。
その霊は何かする事も無く、ただそこに直立しているだけだと云う。新隊員の中には教育隊長に報告した者もいたらしいが教育隊長曰く、
「古い軍隊の建物にとって幽霊なんざアクセサリーみたいなもんだ!実害が無いなら気にするな!」
・・・新隊員もたまったものではない💦






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