#グラビティで読める小説 遥か彼方まで続く地平線を眺めながら、新緑の大地に腰を下ろす。ふと柔らかい風が頬を撫でた。こんなに世界は美しいというのに、僕は何故醜く生まれてきてしまったのだろう。少年は投げ出した手足に力を籠めて、がばりと上半身を起こす。隣に腹ばいで寝そべる友は、四足を器用に折りたたんで、長い鼻をその上に乗せていた。全身には長い毛。凛々しくピンと立つ耳。おまけに太く雄々しい尻尾。二足歩行で美しい体毛もない自分に比べ、なんて美しい生物なのだろうと、少年は友を見やった。「私の顔に何か付いているのかい?」友は長く美しい鼻筋を持ち上げて少年を見返す。びくりとしてから、かぶりを振る。「別に何も‥ただ」「ただ、なんだ。 どうせ君のことだから、私たちの身体が羨ましいとか言い出すのだろう。ーーーーいつも言っているが君は君だ」#続きはあなた次第