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ばっは
一見下品で偏った読物と思われがちだけれど、キレのある文体と実験的な手法、メディアと人間の関係性を予言していたかの様な鋭い視点は秀逸。
ゾクっとさせる人間の真理をついた描写には中毒性があり、けれど自意識をほじくり返す純文学気取りのカビ臭さはない。
晴れ晴れとしているのに無慈悲で冷酷。
断筆宣言を逆手に取った壮大な社会実験。
彼の描く人間は本能的な獣のようで、いとも簡単に壁を乗り越えてくる。
それが痛快であり恐ろしくもあり、現代人への痛烈な皮肉でもあることに気がつく。
そんな筒井康隆が老人ホームに入ったと知って、純粋に悲しかった。
けれど子供帰りしつつある彼の姿を見て、なんと気持ちの良い生き様だろうと痺れた。
SF作家達が文壇で小馬鹿にされた時代から、今日まで戦い続けて生き残った筒井康隆、最高にカッコいいよ。

たけ

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