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k(CV:五ェ門)

k(CV:五ェ門)

金は人を狂わせる。

どんなに後に残す人々のことを考えてみても、残る者共がその想いをありがたく受け止めねば、紛争の種にしかならない。

すれ違いは当然起こる。
人は皆別人なのだから。

残る者が故人の残した物を故人に対する債権と捉えれば、故人に対する債務、受働債権のこととて無視できまい。
しかし、権利を声高に主張する者は、往々にして、自らの非には無頓着だ。
そこへの心咎めはない。

彼等は、私を詰る。
詫びの言葉が一切ないと。
「それは、誰への詫びか」と確認すると、
「私たちに対する詫び」
と応じる。

心情としては理解するし、私への恨みは受け止める。
しかし、詫びることはできない。
故人が私にそれを求め、私が真実故人に申し訳なかったと思えば、故人に謝る。

故人の残した物を巡って詫びるわけにはいかない。
一度それをやれば、故人を巡っての不幸合戦をやらねばならなくなる。
故人から受けた不幸の計量。
故人に与えた不幸の計量。

それでも、自分がこれまでどれだけのものを不当に失ってきたか、その罪を償わせねば納得できないというのであれば、その失ったものを本来負担すべきだったと考える者、私に直接請求すればいい。
その行為は、債務不履行の損害賠償請求とでも呼べば良いのか。

恨みは受け止めるというのは、そういうことも含めてのものだ。

「無意味な仮定だが、もしも故人が何一つ残さなかったら、その時はどうしたのか」
私の問いかけに、返答はなかった。
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