本堂に入ると住職さんが、ゆっくりとお話を始めました。「この箱はおそらく身代わりです。それも何代も何代も続けて身代わりにされてきたものが中に入っています。もしかしたら胎児のミイラのようなものかもしれません。もしくは、家を建てた時のの人柱の一部かもしれません」こうゆっくりとお話しされました。「開けて供養することもできます。しかし、お家の方がどうなるかはわかりませんし、あなた方の家系に大きな影響が出るかもしれません。長男さんたちでお話しして決めてください」すごく怖かったです。それだけを覚えています。しかし、人柱や身代わりという言葉を聞いて私は供養を選ぼうと思いました。最初は元に戻そうというおじさんでしたが、私が説得をして、おじさんも息子さんも供養するという方向で話がまとまりました。だって、後ろから聞こえたモゾモゾという音はおそらく、体をぐるぐる巻きにされた人が前に進むためにシャクトリムシのように動いている音だと、その時私は確信したからです。そんなん可哀想すぎると思いました。住職さんにそれを伝えると、住職さんは木箱のお札を外して木箱を開けました。するとそこには、黒い何かが入っていました。初めて見た時は黒い何かでした。よく見るとそれは、長い髪の毛に巻かれて何に巻き付けてあるのかわからない状態のものでした。住職さんはお経を唱えながらゆっくりとその箱を移動させて本堂の大きな仏様の前に置きました。私たちも数珠を渡されて四人でお経を唱えさせられました。そのあとは、何事もなく家に帰ることになりました。あの黒い物体のその後はどうなったのかわかりません。今現在でも私たちの家系には何も起こっていませんし大丈夫です。最後にこの話をしてくださった人はこう言いました。「でも普通人柱とか身代わりって土に埋めるんですよね。」と