堅実なギャンブルとは何だったのか。先述したマーチンゲール法は非常に脆い手法であった。考えてみれば1/1024のような確率は案外引けてしまうもので、10連敗以上は日常茶飯事レベルで起きていた。そこで損切りができず、それを上回る金額を賭けて、一気に取り返そうと思えば思うほど負けが加速していった。 利確というのもできなかった。仮に資金が2倍、3倍になったとしても、更にそれ以上の利益を求め続けた。前出来ていたから今回もできる。金額を増やして同じことをすればもっと勝てる。そんな思考で、勝って辞めるということが一向にできなかったのだ。 貯金が無くなった時点でギャンブルは止まるはずだった。しかし、まだクレジットカードの枠がある。もう大きな額は一気に賭けない。入金してコツコツ増やして、100万だけでも取り戻そう。これだけ負けていたのに、まだそんな事を考えていた。 程なくして、返せるアテのない金額をクレジットカードから入金した。50万。負ければ月給では到底返せない金額だった。 結果は言うまでもないであろう。(つづく)貯金:0万借金:0万→50万