断片的にしか読んだことがなかったので、注も含めてちゃんと読んでみました。すぐれた評論、特に芸術評論は、それ自体がきわめて強くポエジーを感じさせるものだと思っています。その元祖的存在ですね。それから、年齢を重ねてこういうものを読むと、自分がこれまで読んだ文学、聴いた音楽、見た絵画、行った土地などのイメージが芋づる式に喚起されてきてとても面白い。本書所収の「光悦と宗達」は辻邦生の『嵯峨野明月記』(途中で挫折)を読まなきゃと思わせるし、「実朝」は太宰の『右大臣実朝』や大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が重なる。これが年を取ることの醍醐味だなぁと思います。#読了