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k(CV:五ェ門)
慣性?遠心力?そんな感じかな。
きちんとやらねば。
そのように意識してこれまでやってきたことのうちのいくつも疎かにしている。
それでいて、心には妙な余裕がある。
真実余裕があるわけではない。それは、諦めの境地にも近いのだろう。
「ジタバタしてみても、もはやどうにもなるものではない」という。
さしあたって、自分の中で優先度の高いミッションには毎日取り組んでいるものだから、何となくでも”前に進んでいる”ような気にはなっている。
それでも、一年前の自分を振り返れば、その落差がよく分かる。
静かにゆっくりと壊れていく。
徐々に腐る食べ物のようだ。
”国が傾きつつあるというのに、住人たちの様子が明るい。これは国が危険な状態にある証拠だと、利広は長年の経験から心得ていた。民はいつも、自国が傾き始めると笑う。どこか不安そうにしていながら、話をすれば笑いながら王や施政の悪口を言う。傾斜が深刻化してくると、民は不安げになり、憂鬱そうになる。—そして、それがさらに深刻化して破綻が近づくと、浮足立って妙に明るくなってしまうのだ。刹那的になり、享楽的になる。情緒に流れ、地に足がつかない。このどこか病んだ明るさに亀裂が入ると、同時に国は一気に崩壊を始める。”
小野不由美著『十二国記 華胥の幽夢 帰山』より引用
朽ちていくのが緩やかなものだから、その綻びに気付かれない。
自分自身でさえそうだ。
外側だけ見ていても分からない。
目に見えぬ内部は、既にあちこち傷んでいる。
今朝、夢に家族が出てきた。
弟はいた。妹もいたかもしれない。母がいたかどうかははっきりとしない。
悪い夢ではなかった。だからこそ虚しい。郷愁だから。
2018年8月10日、11日。実家への夏帰省の際、母に請われて1泊2日で小淵沢、清里、野辺山を訪れた。
その時訪れた平山郁夫シルクロード美術館のリーフレットや小梅線乗車記念ポストカード等の資料が見つかった。
その時の旅の様子が早回ししたように瞼に浮かんだ。
胸が締め付けられた。
”私たちの心の奥に眠っていたものが呼びさまされるような思いに幾度となくかられた”
”私たちが集めたものはわずかで、それらの文化のごく一部分にすぎませんが、一人でも多くの方々に見ていただきたい”
リーフレットの平山美知子館長の挨拶より引用。
続く

k(CV:五ェ門)
「憎みたくない相手を憎まねばならない苦しみ」
小野不由美著「十二国記 華胥の幽夢」の中の「乗月」という話の中に、そのような台詞がある。
ひとつ前の投稿で、連絡なしに訪れた母の話を述べた。
心ならずも母の行為を咎めねばならなかった。
その時の私の胸中は、まさに冒頭の台詞のようなものだった。
「次からは事前に言ってください」
そう言ってその場を収めることは、造作もないことだ。
しかし、私はそれをやらなかった。
それをしてはいけないと考えた。
これまでも、ずっとそうだったから。
「一言断れば良いだけなのに。なぜそれをしないのか」
そこに私の意思はない。
あるのは、母自身の思いのみ。
若い頃から数え切れぬほど、やり合ってきた。
鉄の信念の持ち主だった。
自らの正義しか信じられない人だった。
「私の自尊心を踏み躙るのはやめてもらいたい」
そう訴え続けた。
母の生前、そして今もなお、妹はそんな私を"ガキ"となじる。
どうなじられようが構わない。
私には、自分の意思がある。
そんな簡単なことをただ理解してもらいたかった。
そのことを母には最後まで理解してもらえなかった。
そして、その機会は、永久に失われた。
#十二国記 #華胥の幽夢 #乗月 #小野不由美
十二幻夢曲~孤月蒼夜

k(CV:五ェ門)
”—死んでもいい気がした、というのは、たぶん真実ではない。
だが、虚脱したあまり、何もかもどうでも良くなったのは確かだ、と陽子は思う。抵抗するのも怒るのも面倒だった。乱入者に対峙するためには、自分では愚王ではない、と言い張らねばならなかったが、それができるような自信も自負もありはしない。”
小野不由美著『十二国記 黄昏の岸 暁の天』から引用
暗愚、役立たず。
そういった言葉で嘲罵されるのであれば、私は黙って受け止める。
無能な自分に嫌気が差しているのは、私自身だから。
それでも、卑怯者呼ばわりされることだけは、我慢がならなかった。

©ねてゆ
『残穢』(小野不由美 著)🎶🎶

k(CV:五ェ門)
—こんなものか、という気がした。
誰もがその行為、その言動から他者の内実を推し量るしかないのだし、こうに違いないという評価が決すれば、その評価だけが一人歩きを始める。すでに確信を抱いている者、確信を疑う気のない者に何を訴えても届くとは思えない。”
小野不由美著『十二国記 黄昏の岸 暁の天』から引用
前の日曜日、妹との対話の中で私が経験したことは、まさにこの時の景王陽子と同じ類のものだ。
”あなたが私の心中を推測するのは自由ですが、それはあくまでもあなたの推察に過ぎません”
今後の母亡き実家の整理の方針について、叔父なりに案を考えてくださった。叔父を含むグループチャットから離脱したままの妹に対しても、叔父は、意見を送り、賛否の返答を求めている。その叔父をずっと無視し続ける妹に対し、私はきちんと回答するよう求めた。先月、Zoomで弟含め3人で話し合いをした場でも同じことを求めた。
しかし、昨日の妹の私への答えは、想像の埒外のものだった。
叔父に対し自分の希望を主張できないでいる私が、妹をそそのかし、妹を利用することによって叔父の提案を断念させようと目論んでいる。私自身の利益のために。私自身の手を汚さずに。
だから、何度もやかましく、叔父に向き合わせようと仕向けるのだろうと。
全身から力が抜けた。
馬鹿馬鹿しくなって、どうでも良くなった。
妹の眼に、私が唾棄すべき俗物として映っているのかと思うと、情けなかった。
”叔父に対し、私は私の意見を自分の責任で言ってきました。それはこれまでもこれからも変わりません。”
最後にそれだけ述べて、妹との話を終えた。
続く
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キョロ作
#くらのかみ
#読了
#小野不由美
夏といえば、ホラー!ホラーといえば、小野不由美さん!ということで読んだ本書。
ホラー要素も少しはあるんだけど、全然怖くなく、むしろこれまで読んだ著者の本とはテイストが違ったので新鮮だった。
少年探偵団みたいな感じ。
やっぱり小野さんって古い日本家屋好きよね笑
子どもたちで集まって謎を解いてる時、自分までワクワクしながら読んでた。
おもしろかった〜!!


キョロ作
#営繕かるかや怪異譚 その参
#読了
#小野不由美
#漆原友紀
このシリーズ大好きー!!!
でも怖いんだよなぁ〜
怖くて実家にいる時じゃないと読めない。
内容は、家や家具に憑いている霊を、大工の主人公?尾端が解決していくお話。
本作は6個の話で構成されてて、個人的には1番最後の茨姫って話がほっこり出来て好きでした。
それ以外は怖すぎた…
あと装画が漆原友紀さんっていう蟲師とかを描いてた人なんだけど、この人のイラストも素敵過ぎる。
いつか漆原友紀さんの絵で漫画化しないかなぁと勝手に妄想してます。
今回も夏にぴったりの怖い話でした!


さき
小説、、、は、最近あまり読んでないんです
でも若い頃好きだったもの2つ紹介しますね
[星2]アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」
クリスティ作品は大抵好き。推理小説苦手な私が珍しくハマりました。推理小説の王道なんでしょうけど、彼女が今の王道を作ったんだろうなって思います。
古き良きイギリスの、イギリス人らしいイギリス人が出てくるところがたまらなく好き。
[星2]小野不由美「十二国記シリーズ」
ジャンルはライトノベルですかね、ここまで世界観作れるのって本当にすごい。最近人気の異世界物に近くもありますが、世界や人の残酷さや尊さを、異世界を通じて表現されていて、いつも感動します。
新刊何年かかっても待てる、訓練されたファンの一人です[大笑い]
#アガサ・クリスティ #そして誰もいなくなった #小野不由美 #十二国記

🦦
#緑の我が家 #小野不由美
余韻が凄い、


k(CV:五ェ門)
「憎みたくない相手を憎まねばならない苦しみ」
小野不由美著「十二国記 華胥の幽夢」の中の「乗月」という話の中に、そのような台詞がある。
ひとつ前の投稿で、連絡なしに訪れた母の話を述べた。
心ならずも母の行為を咎めねばならなかった。
その時の私の胸中は、まさに冒頭の台詞のようなものだった。
「次からは事前に言ってください」
そう言ってその場を収めることは、造作もないことだ。
しかし、私はそれをやらなかった。
それをしてはいけないと考えた。
これまでも、ずっとそうだったから。
「一言断れば良いだけなのに。なぜそれをしないのか」
そこに私の意思はない。
あるのは、母自身の思いのみ。
若い頃から数え切れぬほど、やり合ってきた。
鉄の信念の持ち主だった。
自らの正義しか信じられない人だった。
「私の自尊心を踏み躙るのはやめてもらいたい」
そう訴え続けた。
母の生前、そして今もなお、妹はそんな私を"ガキ"となじる。
どうなじられようが構わない。
私には、自分の意思がある。
そんな簡単なことをただ理解してもらいたかった。
そのことを母には最後まで理解してもらえなかった。
そして、その機会は、永久に失われた。
#十二国記 #華胥の幽夢 #乗月 #小野不由美

そまり
#潰える
#小野不由美 他
#読了
#読書
「考えうる、最大級の恐怖を」
がテーマな書下ろしアンソロジー
小野さん目当てで購入
怖いのに人ってそう悪い人ばかりでもないよなと読後なぜかホッとできる事が多いかるかやは最早癒し枠では?
鈴木さん、まさか新たな「リングサーガ」に出会えた幸運
澤村伊智:いつの間にか日常を侵食していく事実と妄想
原浩:理不尽に理屈が噛み合う恐怖
普段狙ってホラーを読みませんがとても楽しめました
あ、京極冬彦先生ありがとうございますwwww
