“残り火”宮森沙霧「やっぱり君は間違ってると思うよ」 僕の正面に座っているニシナさんが不機嫌な顔で僕に言った。 目の前の机には乱雑に開封されたつまみが3つ並んでいる。ソフトさきいか。一口サイズのカルパス。梅味の茎わかめ。どれも僕たちが好きなつまみだ。 ニシナさんに出会ったのは職場の懇親会だ。無礼講の酒池肉林に全員が舌鼓を打ちどんちゃん騒ぎをする中、その輪の中から外れた場所で1人静かに飲んでいる彼女に僕が声をかけた。 紺のブラウスにスラックスの彼女は、夏真っ只中とは思えないほど白かった。続く