SHE'S MY IDOL ♯ 8#Guravityアイドル部 松田聖子8️⃣ 1983年10月のシングルは15枚目で呉田軽穂作曲の♫瞳はダイアモンド🔸 とカップリング♫蒼いフォトグラフ の両A面である。共に呉田軽穂、つまりはユーミンの作曲だ。松本の恐るべき嗅覚、やはり♫赤いスイートピー での聖子支持層が同性からのものに変化したことは、聖子の脱アイドル化への大きな布石となる。ユーミン→細野晴臣と一級のクリエイター達による聖子プロジェクトはここで再びユーミンを起用、女性層の支持率を更に深めようとする戦略だろうか。デビューから3年を経過して普通ならアイドルとしての寿命は下降気味になるところだが、そこは不動の人気がある女性アイドルの頂点に君臨する聖子である。おめおめとは引き下がれない。♫瞳はダイアモンド は交際しているカップルの関係に翳りが見え始める。その揺れる心情を女性の側からの視線で綴られる。ユーミンらしい陰のあるメジャーキーのゆったりしたスロウバラードで、編曲はユーミンと公私共に二人三脚の夫松任谷正隆。 ユーミンの聖子プロジェクトでは実質的なレコーディング監督たり得た。その編曲力はそれまで数多の女性シンガーたちをプロデュースして卓越した手腕を振るい続けたベテラン勢の一人だ。そうした強力な楽曲や編曲に乗り、松本の紡ぐ歌詞は最高度の完成度を誇る。圧巻なのは最後のサビの部分。…Ah 揺れないで MEMORIES 時の流れが傷つけても 傷つかない心は 小さなダイアモンド Ah 泣かないで MEMORIES 私はもっと強いはずよ でもあふれて止まらぬ 涙はダイアモンド… 松本の詞はそのタイトルの裏付けの核心を最後まで聴かないと判らないような仕掛けの詞が多い。太田裕美の♫木綿のハンカチーフ 然りだ。 両A面のカップリング曲♫蒼いフォトグラフ はTBS系ドラマ『青が散る』のテーマ曲として使用された。松本の詞は全体的にモノトーンだが、ユーミンのミディアムな曲調が明るさを表現していて、ちょっと聴いただけではラブソングなのか?と錯覚する。しかし、詞を吟味すると二人の仲はどうやら終わっているらしい。今一瞬 あなたが好きよ…と云いながら 明日になればわからないわ…と反転してみたりする。それは、一瞬好きになったに過ぎない。つづく…。