こんにちは。読書しました。夢ひらく彼方へ ファンタジーの周辺渡辺京二 著平凡社ライブラリー本書は、2019年に著者が熊本市の書店で講義したことをもとに、口述筆記した講義記録です。前半部では、『ナルニア国物語』とその著者C・S・ルイス、『指輪物語』とその著者トールキン、『ゲド戦記』とその著者ル=グウィンについて、詳細に語られています。この3つのファンタジーは、現代における神話の再創造に成功しているという意味で、ファンタジーの最高峰に君臨しており、その世界観も地に足が着いており、奥深いものがあります。また、最終講で、G・K・チェスタトンについて取り上げていたのはとても興味深かったです。僕もチェスタトンの『聖トマス・アクィナス』は読みましたが、作家としての機知に富んでいるところや諧謔というのはこういうことなんだなと感じさせました。チェスタトンの言葉として現実の人間の歴史を通じて、人間を正気に保ってきたものは神秘主義である。心に神秘をもっているかぎり、人間は健康であることができる。平常平凡な人間がいつでも正気であったのは、いつでも神秘家であったためである。一方の足を大地に置き、一方の足をおとぎの国に置いてきたからである。狂人とは理性を失った人ではない。狂人とは理性以外のあらゆる物を失った人である。が引用されていますが、ファンタジーというのは、まさに心を正気に保つための心の栄養剤なのかもしれませんね。#読書 #読書感想文 #ファンタジー #夢見る人こそ正気な人 #心の栄養