食べ物に執着が無くなった私ですが、1つだけ、生きている間に食べたいモノがあります。子供の頃近所にあった、たこ焼き屋さんのたこ焼きです。その場所を離れて、違うたこ焼きを食べるようになって気づいたのが、他のたこ焼きの生地はたいてい小麦粉の味で、出汁の味がしないってことを。今となってはそれが出汁なのかはわかりません。そのたこ焼き屋さんは、近づくと漁港の匂いがしました。父が「これはイワシの匂いだ」と言ったことから、私はイワシの魚粉を使っているものだと思い込んでしまいました。後年、いろんなイワシ料理屋さんで様々なイワシ料理を食べましたが似たような匂いを嗅ぐことはありませんでした。この思い出のたこ焼きを急に思い出したのは、タイ旅行中、ふと入った食堂で、あのたこ焼き屋さんの匂いがしたことから、ストリートビューでそのたこ焼き屋さんを確認、もう閉店されてましたが、跡地が写っていたことから、これならば関係者を探せるだろうって安心してしまって、すぐに行動を移さなかったのが大きな失敗です。仕事と人生に追われながらも、あのたこ焼きの再現をちょくちょく始めました。イワシ料理を散々食べましたが、どうも味が違います。あとタイの食堂で同じ匂いを嗅いだことから、ナンプラーも色々と試しました。微かな風味は似ているようですが、まったくほど遠いです。そして、GRAVITYの星と交信でこの話を飛ばしていたら、偶然にもあのたこ焼き屋さんの近くにお住まいの方から返事がありました。その方は、たこ焼き屋さんのことは知らなかったのですが、周辺区画整理で大きく街並みが変わったことを知らされました…東京に来てから、たこ焼き屋さんを見つける度にたこ焼きを食べてきましたが、思い出のたこ焼きとは全く違います…記憶にある店のオヤジの言葉「うちのは蛸はほとんど入ってないけど生地が違う。こんな美味しい食べ物ほかにあらへんやろ」私の舌の記憶で何とか再現するしかありません。