岸辺🏝️の100冊[新連載] ♯ 1☆ビブリア古書堂の事件手帖 : 三上延 原作者は小生がよく通う神田神保町にある富士レコード社の藤沢支店でアルバイト店員だったと、若杉実の著書に書いてあった。 ご紹介するこの変わったタイトルの小説は、小生は最初テレビドラマで観た。月9だった。 主人公の北鎌倉の駅前にあるビブリア古書堂の店主 栞子は剛力彩芽が演じていた。 原作では妹の女子高生だった設定が弟に変更されていたが、古書をメインに扱うドラマなんて嘗ての月9を知っている者からしたら、ちょっと考えられなかった。月9の視聴率が高い時代はとっくに去っていたのだ。こんなテーマでも充分見応えがあったドラマだったが、これは原作を読んでいても感じたことだが、この古書を扱う若くて可愛らしい女の子は、古書店主ではなく探偵ではないか?と言う違和感である。読書命の子だからか、凡ゆる書籍に通じていると言うのも超人的だが、古書にまつわる謎を解いていく過程ミステリー形態にした原作の三上延が一番描きやすかったのがこの謎解き手法だったので有ろう。 本好き、古書好きには実に楽しい主題だった。ドラマはワンクールで終わってしまったが、その後原作は続き7巻で一応の区切りが付いたのが、2017年平成29年の2月である。ここまでが第一シリーズでそのあとがきには三上延本人が今後もスピンオフとして継続するとか、アニメ、実写化のオファーも来ていると書いていたが、その実写映画化は2018年11月1日から公開された。 それに先立つ9月にリリースされた「扉子と不思議な客人たち」も楽しく読めた。以降第二シリーズは今年までは断続的に発刊されている。 物語の舞台となった北鎌倉は、かの小津安二郎の終の住処があった場所だし、原作に登場するもう一人の主人公五浦大輔の実家が大船で旧松竹撮影所の目の前の食堂と言う設定でもあった。因みに大輔の名は厳格な祖母さんが付けたのだが、それは夏目漱石の「それから」の主人公大助から取られたと言う。 大助は当時の言葉を借りれば高等遊民である。 つまりは金持ちのボンボン息子で定職もなくブラついている人種を指す。