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マサヤス龍之介

マサヤス龍之介

昭和流行歌総覧  ♯ 35

#GRAVITY昭和部


灰田勝彦 .30

 ♫燦めく星座 の改訂盤の裏面は♫ジャワの夕月 こちらも昭和12年1月に灰田の10thシングル盤としてリリースされた♫想い出の瞳 の改訂盤だった。前者はタイトルはそのままに歌詞を恋愛歌からその陸軍の象徴たる星に誇りを持つぞ!と云う内容に改めたのだが、こんな歌詞にしてわざわざ再発する意味なんてあるのか?と思わせる。
 しかし、後者は更に別れた女性を思い切れない遣る瀬無さを切々と呟く歌詞であり、前者よりも軟弱極まり無い男の歌である。この歌に当局からクレームが付いたのか、付きそうだったから先回りして改変したのかは不明である。が、日本が統治していたジャワ島の夕景を歌う歌詞に完全にすり替えられている。この違いは如何に。
 次に出たレコードは、戦後も長く歌い継がれた名曲♫南国の夜 であった。Spotifyでも灰田のオリジナルからモアナ出身で戦後ムード歌謡コーラスグループで一世を風靡した和田弘のVer.ほかがアップされている。昭和18年4月リリースの作品だった。日本は当時、東南アジア一帯を手中に治めていたので、楽曲のタイトルが"南国"なら問題無かったのであろう。灰田兄の晴彦の作品だからタップりハワイアン調で、マイナーキーなアプローチで良。さすがにスチールギターは憚られると思ったのか、前奏のみに使用、それ以降は大人しく単管にリズムセクションのみの編曲に検閲をスムーズに通す為の工夫のあとが垣間見れる。洋楽的アプローチが、極端に減ったご時世だったからこの演奏でも当時の洋楽ファンは快哉を上げたに違いない。昨日の投稿にも記したように、この年の1月には既にジャズレコードの発売は禁止されていたのである。アメリカ製ハワイアンに同名曲があるので混同しないように注意されたし。
 この戦時体制下での灰田勝彦のレコード活動はまだまだ続く。
 前曲と同じ4月にリリースされた♫緑の小径 と♫丘の青い鳥 は東宝映画『ハナ子さん』の挿入歌である。この映画は宝塚出身の轟夕起子が主人公で灰田勝彦や高峰秀子らも出演した。戦中には珍しい本場アメリカ仕込みのミュージカル映画であり、サラリーマン家庭の若奥様のハナ子さんが豪邸に住まうシーンがあるが、これは日本統治国でも上映されたことから、プロパガンダであると現在では解釈されている。

つづく…。
GRAVITY

南国の夜

灰田勝彦,灰田晴彦と南の楽団

GRAVITY
GRAVITY30
こう

こう

南国の夜明け前のスーパーフルムーン‼️
GRAVITY
GRAVITY20
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