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なまえは、まだない。

なまえは、まだない。

今日も神社に行った

たまたま元宮司さん会った

はじめて会った気がしない

遠い昔、いにしえの時代に会っていたような

「なんでお参りに来てるの?」と言われ

「仲間や家族のしあわせを願ってるんです」

「そっか、、、」

それだけ言い残して、わたしの顔を覗き込むなり

優しい笑顔で去っていかれた

その顔をみただけで、なぜだか

全てのしがらみから解放されたような

肩の荷が降りたような感覚になった

たまたま体調が悪く、それでも行かねば

と無理にでも行ったとき

その人に出会った


あの日以来、あの事件以来

口をきくことも許されない

目を見ることもできなくなった友人の


しあわせを死ぬまで願う
GRAVITY
GRAVITY15
なまえは、まだない。

なまえは、まだない。

地元に戻ってきて

たまたま車で通りがかったとき

不思議な感覚にとらわれた

あの神社が、わたしと関わりがあることを

友人の言葉に照らし合わせるならば


わたしが毎日あの場所で祈祷していること


元は、祈祷の場所だったこと


この国を統治していた時代から


元宮司さんからその歴史を語られたとき


博物館で、あの神社がなぜか気になると


一言漏らしたわたしの言葉を


意味深な顔でみられた


その意味がやっとわかった


竜宮城の夢を見る意味も


だからと言って魔女じゃない



☆小説の中のセリフです
GRAVITY
GRAVITY12
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