台所へつづく廊下に不良のケンタウロスがたむろしている。首に鎖をじゃらじゃらつけたり、 褌を頭に巻いたり、九九の七の段を高らかと朗唱するような本物の不良ケンタウロスである。朝餉を拵える為には廊下を通らないと台所に入れないので、意を決して突き進む。ケンタウロス達は私を睨み眺めていたが、 その中の一頭が私のネグリジェを褒めちぎってくれるので私も緊張感がほぐれた。緊張がほぐれてからは早く、ピストル体操を披露できるまでの関係性を築くのに時間は然程かからなかった。私も不良の真似をして、おぼろげな九九の七の段を呟いてみる。やはり、躓く。「しちし」はどうしてもシジュウハチになる。多分、#私はまだ眠いのだと思う 。