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「居めし屋あつこ」さん
記憶の中にあったのに、たまに思い出していたのに、なぜか10年くらい足を運ばなかった居酒屋兼食堂なアットホーム飲食店。

自分のことを中途半端に知っているお店を避ける癖があったのかもしれない。

入ると最初に、青いアイシャドーが印象的なあつこママさんが、カウンターから「飲むの?それともご飯?」と聞いてくる。

「ご飯でお願いします。」
「ラーメンとご飯、どっちがいい?」
「ご飯で。」
「魚と肉ありますけど、どっちがいいです?」
「お肉食べたいです!」


他にこんなお店があるだろうか。
ご飯のメニュー表はなくて(ラーメンの品書きはある)、今日ある食材の中からランダムに、チャチャっと作って提供してくれる。

ミニカレー、春巻、からし付きの糸こんにゃくが最初に出てきて、
私が小柄だからレディースサイズを出してくれたんだろうかと勝手に思っていたら、お通しだった。

食べ終わりそうな頃、全くレディース量ではないしょうが焼き定食が出てきた。
驚いた。カレーもしょうが焼きも大好きなメニューだ。
まるでお母さんだ。

作り終わると、自分用にウイスキーの水割りを入れて、常連客の隣に座り、自分の息子の話をしていた。20年以上のうつ病の末、2年前に心筋梗塞で亡くなったらしい。

常連客が帰ると、私ともたくさん話をしてくれた。10年ほど前に私が来たことは流石に覚えていなかったが、だからこそ居心地がよかった。

「そうだ、カレー持って帰んなさいよ」と、タッパーに入れたカレーを持たせてくれた。


また行こう。
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