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マサヤス龍之介
☆天国と地獄 / 東宝=黒澤プロダクション 1963年昭和38年公開
♯136で紹介したが、本夜の音声ルームに向けて再掲する。
円熟期に入った黒澤明監督の力の籠った現代劇である。原作をエドマクベイン『キングの身代金』としているが、黒澤は「予てから誘拐罪が日本では実に軽いことに憤りを感じていた。そんな時にマクベインを読んで、これだ!と思い一気に作りたくなった。」とこの映画のテーマを語っている。だが、この原作は、マクベインのものとしては余りいい作品ではなかったので、小説の中で、誰をさらおうと脅迫罪は成り立つと云うアイデアのみを、映画(シャシン)の中で犯人に言わせて、あとは全て黒澤や小国英雄、菊島隆三、久坂栄二郎と云う共同脚本で考えられた。ドラマの構成が緻密で、大胆に観るものを翻弄する。前半は権藤邸の中から一歩も出ない密室劇で観客は段々とストレスが溜まる。そしてその展開をガラリと変える為の工夫が、心憎い。まるで幕をサーっと引いているかの様に、新幹線(当時はまだ開通前だったので特急第二こだま)の疾走シーンで場面転換が計られる。こうした演出は複数人数で脚本を練り上げた成果であろう。
そして身代金受渡しでは国鉄(JRの旧名)の全面協力のもと、撮影のために実際に特急を走らせて運転台、乗降口、座席と受取人を撮影する為に張り込んでいた刑事たち、そして指定された洗面所の窓から用意した現金入りのカバンを落とす権藤…全ては一回限りの緊張と迫真のハイライトシーンである。黒澤はリアルさを追求するが為に、現金受け渡しの方法を模索中に、走っている特急から現金入りのバッグを投げるのはどうか?と云うチームのアイデアを採用したが、特急電車の窓は全てはめ殺しであり窓が開かないと判り万事休すとなり掛けた時に国鉄に確認してみようと云うことになったが、唯一開く窓がありそれをそっくりそのままストーリーに活かした。
評論家で黒澤とは戦前からの付き合いがあった淀川長治は、天国と地獄は、20世紀フォックス映画を観ている様な、スケール感があったと後年述懐している。
画(え)の緻密さに先のダイナミズム、そして或る日突然不幸に見舞われる人間の苦悩と、社会の反応、片や犯人の側からの憤りと犯行を生む劣悪な社会的背景など、黒澤は現代社会が抱えるありとあらゆる事象を活写する。






D
ピクシスバン買ったけど後部座席がはめ殺しの窓って知らなかった😭




もんぶらん

りりぃ
退勤まであと5時間………
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マサヤス龍之介
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