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k(CV:五ェ門)

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「弁当を作れなかった母」のメールを母に送った際、母には隠していたことがある。

私自身、ヤフーニュースの記事にコメント投稿していた。
メールの中でも、そのことについては触れなかった。

もしも、母が他のコメントにも目を通すような人だったら、もしかしたら、私のコメントにも気が付いたかもしれない。
その時はその時で構わない。むしろ、そんなふうに母自身に見つけてもらうことを内心望んでいたのかもしれない。きっとそうだ。
結局、母の口から私らしき読者のコメントに話が及ぶことはなかった。

いつだってそうだ。
私はずるい。

自分の気持ちを相手に委ねる。
相手に察してもらおうとする卑怯者。

ニュースの表題「一度も残したことがなかった母の弁当」同様、学生時代、母の弁当を残したことなど一度もなかった。
母は、毎朝勤めに出ねばならず、弁当に時間をかける余裕などない。冷凍食品なども使う。
ある日、学校での昼食の時間、遠巻きに私の方を眺めながら、ひそひそと話し合い笑っている連中がいた。
「弁当」という言葉も聞こえたので、三色冷凍野菜がたくさん入った私の弁当を見て笑っていたのだろう。

母に申し訳なく思った。
そんな下卑た侮蔑を黙ってやり過ごしことを。

クラスメートの中には、「まずい」と言って大仰に顔をしかめ、悪びれずに自分の弁当の中身を捨てる者もいた。むしろ、そうすることの方が当たり前の所作として求められる学校だった。

当時、ネットニュースにどのようなコメントを投稿したのか、写しを残していないので、はっきりとは覚えていない。
それでも、「私も一度も母の弁当を残したことはない」ことには触れたと思う。

昨年、100のやりたいことリストを作った。
その中には、母に関するものもあった。
018 母と共に東海道五十三次を踏破する
019 もう一度、家族の集合写真を撮る
020 母にジブン手帳(2025)を贈る
021 年に二回帰省する
068 いのち支えるよう努める
069 家族や仲間の変化に気づいて声をかける
072 温かく寄り添いながらじっくりと見守る

見果てぬ夢に終わった。

母が歩き旅などできる体ではないことは分かっていた。
それでも、その夢を母に語ることすらやれずに終わった。
楽しかっただろうな。
旅の様子を思い浮かべるだけでも。
生きる希望に繋がっただろうに。
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k(CV:五ェ門)

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続き

もしかしたら、この方は、もしも実際にお会いしたら、憎々しげな態度を見せるような人なのかもしれない。
本人の言うとおり、お子さんたちからは疎んじられているかもしれない。
けれども、匿名の世界だからこそ吐き出せたこの方の言葉の中に、私は、自身に対する苦悩と悔恨を感じた。

剥き出しの悪意や嘲り、侮りが氾濫する匿名の世界だからこそ、そこに抗ってみたいと思った。
もしも、好評価が相次いでいれば、そんなことしなかっただろうけど。

この方の私への感謝の投稿に対しては、一変して、好評価が付いていた。
同じ人の言葉でも、人は真逆の評価を下しうる。ある意味公正なのかもしれない。

人が人の本質を見抜くなど簡単なことではない。
目に見えることでしか、人は人を判断、評価できないから。
結果、他人から分かってもらえないと絶望に喘ぐ人も多かろう。

繰り返しになるが、この方は、お子さんたちから本当に恨まれているかもしれない。
先にお子さんたちの話を聞いていたら、お子さんたちに同情して、この方に対する憎しみに共感していたかもしれない。

そんなふうに、たまたま目の前にいる人に対してだけ、何かやった気になり、悦に入るのは、偽善に過ぎず、噴飯ものであることは承知している。

それでも、ちょっとした一言で、人は地獄にも落ちれば、希望も持てる。

それがこの世を生きる力にもなる。
いのち支える優しさの連鎖が人々の中に欲しい。

荒涼とした世界に身を置く時は、いつもそんなふうに思う。己が希求する世界は実在するのだと。
若い頃からそうだった。

だから、一言かけずにはいられなかった。
それは相手のためというより、私自身が欲した一言だっただけにすぎない。
私から私への声かけ。
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k(CV:五ェ門)

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2022年3月22日母宛のメール続き

この方の私への感謝の投稿に対しては、一変して、好評価が付いていた。
同じ人の言葉でも、人は真逆の評価を下しうる。ある意味公正なのかもしれない。

人が人の本質を見抜くなど簡単なことではない。
目に見えることでしか、人は人を判断、評価できないから。
結果、他人から分かってもらえないと絶望に喘ぐ人も多かろう。

繰り返しになるが、この方は、お子さんたちから本当に恨まれているかもしれない。
先にお子さんたちの話を聞いていたら、お子さんたちに同情して、この方に対する憎しみに共感していたかもしれない。

そんなふうに、たまたま目の前にいる人に対してだけ、何かやった気になり、悦に入るのは、偽善に過ぎず、噴飯ものであることは承知している。

それでも、ちょっとした一言で、人は地獄にも落ちれば、希望も持てる。

それがこの世を生きる力にもなる。
いのち支える優しさの連鎖が人々の中に欲しい。

荒涼とした世界に身を置く時は、いつもそんなふうに思う。己が希求する世界は実在するのだと。
若い頃からそうだった。

だから、一言かけずにはいられなかった。
それは相手のためというより、私自身が欲した一言だっただけにすぎない。
私から私への声かけ。

続く
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k(CV:五ェ門)

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「あの人には、このことは絶対に知らせない。知ったらきっと苦しむはずから」

そんなふうに、我が身に起こった不幸について口を噤み、おくびにも出さず、自分ひとりで苦しみを抱えて生きている人がいても不思議ではない。

「なぜ教えてくれなかったの?」
そんなふうに、批判めいた言葉を相手にぶつけられますか?
つらい思いをひとりで抱えてきた人に。
しかも、その沈黙は、自分を苦しめぬために為されたものなのに。

「これを伝えたら、相手はきっと悲しむ。自分のことのように」
しかし、当の本人が、その苦しみに耐えかねて、生きることを諦めてしまう。

そんなこともあるでしょう。

私は、嘘が嫌いだが、何でもかんでも本当のことを言えばいいというものではないことぐらい、知っている。
その板挟みにあう時は、沈黙せざるをえない。
答えようがないから。記憶にございますから。

「私は幸せです」
とは、なかなか言えない。
口に出す前に、躊躇いを覚える。
自分が知らないだけで、隣に、すぐ近くに、或いはたとえ遠くであっても、悲しい思いをしている人がいるかもしれない。
自分ひとり安全な場所にいただけだろうって。

知らない、知ろうともしない。
そんな己の無知の恥。

#いのち支える #無知の恥 #幸せ #告知 #沈黙
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